100年

100年

息子が生まれた
何事もなければ彼はこれから100年ほど生きることになる
何事もなければと言ったが、死なずとも人生において何事もないことなどない
当たり前のことだが、私が死んだ後も彼は生き続ける
私と妻との想い出を胸に、生き続ける
彼が生きる最後の年の頃には、車はやっと空を飛んでいるだろうか?傘という原始的な雨避けは違う形に進化しているだろうか?人間が持ついくつの悩みを解決しているだろうか?またはいくつの新しい悩みが生まれているだろうか?

息子よ
父が見ることのできない世界を、君は見ることになる
そのことが私の希望である
ただ見るだけでいい
私が見ることの出来ない世界を、出来るだけ見続けてくれさえすればいい
そして君に子ができたら、同じようにそう伝えてほしい

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