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【レポ】2023年12月13日 中瀬智哉 モーツァルトピアノ協奏曲第23番@入善コスモホール

2023年12月13日(水)
入善町70周年記念演奏会

山下一史 指揮
中瀬智哉 ピアノ
オーケストラ・アンサンブル金沢 管弦楽
森麻季 ソプラノ
林美智子 メゾソプラノ
錦織健 テノール
大空宇宙 バリトン
70周年記念合唱団


🟣プログラム

モーツァルト/ 
ピアノ協奏曲第23番

※ソリストアンコール
ベートーヴェン/エリーゼのために

ベートーヴェン/
交響曲第9番《合唱付き》

ピアノはスタインウェイ。


平日夜の開催にもかかわらず、チケットは完売。
補助席も稼働しての超満員のホール。
第一ヴァイオリン6でもステージ端まで目一杯。これに大合唱団が入るのだから奥行きも目一杯。
それでも音響は変わらず素晴らしい。

前半は入善出身、中瀬智哉くんのモツコン23番が70周年に華を添えます。
昨年10月以来のプログラム。
私にとってはようやく聴く機会が巡ってきた嬉しい機会。
去年は学校行事のため断念したのです。



笑顔の山下マエストロと中瀬くんのアイコンタクトで始まったコンチェルト。
安定のOEKサウンドと、伸びやかで優しい中瀬くんのモーツァルト。二つが絡み合ったときに生まれる、あたたかな世界。物憂げななかにも包み込みこむような熱が常にあって、心が幸せな気持ちで満たされました。

時々聞こえてくるマエストロの声。
そして…もう一人?
中瀬くんも歌ってる?

音楽を心から愛して楽しんで弾く姿。
弾かない時もカラダ全体で音楽に入り込んでる姿。
私、藤田真央くんを思い出していました。

その真央くん、「モーツァルトって難しい」って言ってましたよね。
音数が少ないから。
中瀬くんの弾く一音一音、とっても丁寧に作り上げられていて、どこからやってきたんだろうと思ってしまう音の美しさ。
どうやったらピアノからあんな音が出せるのだろう。
どんな魔法?
その音を浴びるのは本当に気持ちよかった…。

たくさんの拍手とマエストロの笑顔と。
何度もステージに呼び戻され、マエストロにあと一曲!とゼスチャーされて弾き始めたのはベートーヴェン。
ベートーヴェンで繋いでくることは予想はしてたけど、この曲で来るとは。
「エリーゼのために」

昨年コンクールでこの曲を弾いた娘。半泣きで聴いていました。
どんどん引き込まれていく憂いを帯びた世界。
短い曲の中にもストーリーが見事に描かれていて、今まで聴いたどのエリーゼとも違う奥深さ。昔の中瀬くん自身の演奏とも、もちろん。
演奏家によって好き嫌いがはっきりする曲だけど、本当に素敵としか言いようのない繊細な表現。心奪われました。



後半は、初めてホールで聴く第九。
第三楽章までは、今年起こった辛い出来事を思い出しながら聴いていました。
あまりにも辛くて涙がこぼれそうに。
そんな私をよそに、暗譜で汗だくになって指揮するマエストロの熱がすごかった。
そしてお待ちかねの合唱。
合唱団、力強いブラボーな歌声。
4人のソリストは当然ながら圧巻の声量と響き。
森さんの白、林さんの赤の衣装。
お祝いにふさわしいカラー。
林さんの笑顔と大西さんのバリトンが印象的。
それにしても。
たくさんのパワーをステージから送られて思ったのは、
…人間ってすごいってこと。
理由もなく希望が湧いてきて、頑張ろうって気持ちに。
きっとみんな、そう。
だから年末になると聴くんだね。

熱気に満ちたホール。
70周年のお祝いにふさわしい、素晴らしい演奏会となりました。
大好きなコスモホール。
また行きたい、ホール練習もしたい。
後ろ髪を引かれるように帰りました。


いつもいつも、文章をもっと簡単に短くするつもりでいるのに、書き始めると長くなってしまい、しかも削ることできず…。
どれもそのとき感じたことを出来るだけその場でメモして持ち帰った大切な記録。
聞き手によって感想も変わるから、どれが正解とかもなく。
でも、私はこう感じたよ、というのを全て残しておきたくて長文に。字数制限内だとホッとします。

最後に。
中瀬くん、幸せな時間をありがとう。
またどこかのホールで!


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