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連続無断欠勤をした新卒1年目の私が、少しだけ前向きになれた6日間の話。


【3月7日】木

無断欠勤をした。その日はミーティングすら無く、業務消化に費やす予定だった。
いつもの起床時間に目は覚めたものの、身体は動かない。布団に包みながら時計が就業開始時間を迎えた時、「あ、やってしまった」と青ざめた。
一方で、ここ数週間体調不良だった私にご褒美を与えてもらえたようにも感じた。「眠れる、好きにできる」もう私は休む楽しさで脳内が占められていた。緊急性の高い業務をだけを処理し、あとは一日中をベッドの上で過ごすことにした。「なんてダメ人間なんだろう」と少し蔑みつつ「明日から頑張れば良し」と気楽に捉えていた。

【かんたんな自己紹介】
・年齢:23歳(2018年卒の新卒1年目)
・職種:平たく言えば「コンサルタント」
 とにかく出張が多い
 PCとスマホがあればどこでも仕事ができる
 ゆえに課長や上司とも月に数回程度しか顔を合わせない
・ローテーション制度で二部署経験し、今年1月より現部署に本配属した
・現チーム配属3ヶ月目だが、一部の取引先を任されつつある



【3月8日】金

朝がきた。「今日は会社に行かなくちゃ」と起きあがるが、部屋をうろついては布団に戻る、を繰り返した。
流石にマズいと感じた私は「ニンジン作戦」を決行した。ちょうど、お気に入りのラーメン屋の新作が出たので、それを食べる目的で外出し、そのまま会社に向かおう!とした。
その作戦通り、開店時間に合わせて外出、新作「牡蠣ラーメン」を食すことに成功した。牡蠣の独特な香りはもう最高だった。満足したところで、ふと、いつもは頼まない替え玉を頼んだ。でも、一向に箸は進まない。のびた麺と、もう飽きた黄金スープをじっと見つめて、ふと気づく。「私、時間稼ぎしてる」と。

そのまま泣きながら、自宅に戻った。
現実が一気に波となって押し寄せ、もう潰されそうだった。自分が仕事を怠ることで業務がふられる同僚の表情を想像しては、こんなことで潰されそうな自分が情けなかった。こんな私を管理するマネジャーに対して、申し訳なさが募るばかりだ。でも、依然として私は仕事に手がつかない。「いま、何をするべきか」を理解しても実行できない、このやるせなさで、涙が止まらなかった。

そうして私は無断欠勤(2日目)を迎えた。

とりあえず、転職を控えた元同期に連絡した。3時間にも渡る相談の中、同期は「好きにしたらいい」と一貫して伝えてくれた。この価値観は有難かった一方で、同期への相談は根本的には解決しないことを痛感した。まず体調の回復を優先し、上司に無断欠勤の報告と休暇をお願いした。

お忙しいところ恐縮です。少し休暇をいただけないでしょうか。
ここ近日には会社にも出社できていない状態が続いており、自分の健康面を危惧しております。
勝手ではありますが、ご理解お願いします…。

数分後に「ごめんね、気遣えなくて。言ってくれてありがとう」という返信があり、まずは一安心した。


【3月11日】月

朝、正しい私は、私に語りかけた。

土日は楽しかったか?もう十分休んだだろう、体調もほぼ回復したじゃないか。これ以上休んでも何も変わらない。むしろ仕事の期限が迫っているから、状況が悪化するだけ。何もいいことないぞ。とりあえず、身体を起こすだけでもまずはやってみよう。やる気は出てくるものじゃないんだ。まずはスモールステップでもいいから行動すれば、驚くほど簡単に仕事に取り組めるようになるよ。だから・・・

とりあえず、私は午後から出張同伴することにした。
私がここ数日連続で無断欠勤したことを知らない先輩は、いつもと振る舞いが変わらない私を何気に褒めてくれた。どこか救われたような、偽ったような、複雑な気分だった。肝心の業務は全部消化し切れなかった。



【3月12日】火

私は無断欠勤(3日目)を迎えた。
さすがに憂鬱な気分になり、朝からGoogle検索に躍起になった。

「急に会社に行けなくなった」「無断欠勤 上司」「人に迷惑をかけたい」「いっそ病気になりたい」「真面目系クズ」「鬱 さぼり 違い」「会社に行けない 死ね」

慰めの言葉・肯定の言葉・罵りの言葉を漁る、自慰みたいな行為だった。

課長から「早めに仕事の整理を一緒にしよう」という提案があり、夕方に会社近くのカフェで面談することになった。(電話中は酷い罪悪感に苛まれ、お腹をひたすら掻き毟った。後で全面赤ピンクに変色したお腹を見て「悲劇のヒロインかよ」と驚いた…)

また、オンラインカウンセリングサービス「cotree」を利用した。今すぐ相談ができることが何よりも有難かった。

(課長との面談では)怖いと思っていること、不安に思っていることを伝えるチャンスができたわけですので、正直にお話をされたらいいと思います。…(中略)…業務量を減らすという方向ではなく、「訊く人がいない」「任されて不安に感じている」ことを伝えて、どうしていけばいいか話し合っていくということでしたね。うまくいくようお祈りしています。
(担当カウンセラーのメッセージより引用※一部加筆)

上記アドバイスを踏まえ、私は課長と対面した。

二時間半、私の話を真摯に聞いていただいた。
そして、信頼関係ではない、単に仕事の進め方が合わない人との仕事は、課長の配慮で一旦引き下げてもらうことで、話は収束した。(数値で表すとすれば、業務量は100%から30%に減少したと思う)
最初は課長の目も見れない状態だったが、最後には「会社でやりたいこと」が楽しく話せるまでに回復していた。



【6日間の所感】

正直なところ、拍子抜けした。。
私のマネジメント価値観では、<連日無断欠勤した後輩の話を真摯に聞く>ことが有り得なかった。100歩譲っても、お叱りを受けないというのは、想定外。
課長の懐の深さには本当に驚いた。

また、ここ数日は、先輩や同期から心配のメッセージを都度いただく。
その内容は、誰も私を責めていない。
(これって、私が私を責めているから?)
母にそのことを話すと「いい会社に入ったね」と言ってくれた。

まずは【恥をさらしても助けを求める】ことが突破口だと痛感した。
後輩の悩みなんて、先輩からしたら杞憂だったり、カワイイものみたい。


結局、無断欠勤になった原因の根本は、上司との仕事の折り合いにあった。
コミュニケーション不足だろうが、指摘されて気づけただけでも財産だ。

<目標だけ共有して、手段(アイデア)を一任する仕事の振り方><目標だけでなく、手段(アイデア)もある程度共有する仕事の振り方>を比較すると、前者が「仕事ができる人への任せ方」だと私は捉えていたが、結局、好き嫌いでしかなさそうだ。

(現に私は後者の仕事、特にアイデアマンと働くことが大好きだ。
アイデアマンの発想をツールに落としこむ作業がたまらなく好きなのだ)

以前は前者の仕事こそ「一人前と認められていない」と思い込み、むしろ喜んで引き受けていた節があった。
しかし、今回の無断欠勤の経験を通して、

①愚直に引き受ける
②ある程度は頑張る
③身体に拒絶反応がでる(=動かなくなる)
④結果的に仕事を投げ出す
⑤周囲に迷惑をかける

という流れに陥るパターンに気づいた。。
文章にするとなかなかに酷い(笑)

これを避けるためにも【自分から依頼者に対してかけあう】ことを大切にしたい。もう少し、依頼を受ける前からイメージングを共有してもらう。もっと「ツールに落とし込む作業」の能力を高めて、それに特化した仕事を積極的に受け付ける。等々…。他は何があるだろうな~。


実は、最後に課長と話す中で、私はデザインの勉強がしたいと打ち明けた。
現状の仕事に直接的な関わりはないものの、部署全体のアウトプットは各段に底上げできる。それは仕事を通じて実感していた。

やりたいことがみつかるというのは、まあまあ嬉しいものだ。
せっかく時間も作ってもらえたし、もう少しワガママを言って、自分のやりたいことに集中させてもらおう。


最後に、今回、
cotreeのカウンセリングや、課長との面談には、心底救われた。
この場で感謝の意を述べたい。

こうやって文章にすると、確かにカワイイ悩みとさえ思えてくる。
が、確かに渦中の私は、途方に暮れていたし、ティッシュ2箱分は泣いた。
お先真っ暗だと、人生詰みだと、クズだと、本気で思っていた。

思いつめて思いつめて、真剣に死を考えなくてよかった~~~~~~


おしまい!

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