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あいさつ-スペイン視点-

スペイン王立アカデミーの辞書によれば、あいさつの第一定義は「出会った時、または別れる時、アディオス、オラなどと言いながら、相手にむける丁寧な言葉、相手の健康を気にかける、またはそれを願う言葉」(拙訳)とある。
アディオス(さようなら)は、神様があなたと一緒にいてくれますように、の省略形であり、相手への気遣いの意味合いにおいて、日本語の「お気をつけて」などが近いだろうか。
 
一方、オラ(こんにちは)は、挨拶として、スペイン語で最も使用頻度の高いことばだろう。友人と会った時、店に入った時、バスに乗る時、相手への確認などにも使われ、状況により、こんにちは、やあ、どうも、聞いている?などと訳し分けることになる。
 
私が小さかった頃の日本では、近所の人に話しかけられたら必ず、挨拶をするように躾けられたが、今では、知らない人に話しかけられたら、答えてはいけないと教えられる時代になった。
 
スペインではいまだに目が合うと相手が微笑み、近所ですれ違えば、知らない人同士でも、オラ、おはようと挨拶を交わす。日本と異なり、同一民族ではないことも関係しているのだろう。挨拶は、あなたを敵視していないですよ、という暗黙のメッセージなのだ。

ここでの知らない人からの挨拶は、殆どの場合、単なる礼儀に過ぎないのだが、それを知らないと、妙な好意と勘違いするハプニングが起きることもある。たかが挨拶とはいえ、その匙加減は、意外に難しい。

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