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大丈夫

 松下友香さんの「あなたが言われて嬉しい言葉はなんですか」という企画。

 今日が最終日です。

 フォローしているnoterさんの多くが参加していて、みなさんの記事を読むたびに私も立ち止まって考えるのですが、どうしてもこれと思い定めることができないまま、最終日になってしまいました。

 その「言葉」をめぐるみなさんの物語がそれぞれに素晴らしく、その都度胸を打たれたり、心奪われたりしています。

 ひとそれぞれだけれど、やっぱりどれもが、「相手を思って素直に口から出た言葉」という共通点があるように思います。

 お世辞でも嬉しい、と言いますが、本当にお世辞であっても、その言葉は相手を心地よくさせたいという気持ちから出ているものだと思いますし、それが伝わってきたらから嬉しく感じる、というものだと思います。

 相手の心を軽く、明るくしたいという思いは、純粋でとても柔らかいもの。

 マシュマロみたいなそれをふわっと投げて、それをふわっとキャッチするようなやりとりが、心と心をつなぎ、発したほうも受け止めた方も、嬉しいなと感じるものなのかもしれません。

 子供が小学校の低学年のころ、「ちくちくことば」と「ふわふわことば」ということを学校で教わってきて、なるほどうまいことをいうものだなぁと感心しました。

「ちくちくことば」というのは、相手の心をちくちく刺すような、悲しい気持ちにさせたり嫌な気持ちにさせる言葉を言います。

 対して「ふわふわことば」は、相手を褒めたり、元気づける言葉です。

 これは、社会生活や学校生活でも大切ですが、家庭の中でも大切なもの。
 
 初めて聞いたときは、どれほど子供に「ちくちくことば」を刺してきたかと、大いに反省させられたものですが、親子となるとなかなかこれが、気心が知れ過ぎている分、コントロールが難しいところもあり、日々是反省です。親しき中にも、というものですね。

 さて、この「ふわふわことば」のひとつに「大丈夫」があります。

 私は「大丈夫」は魔法の言葉だと思っていて、すごいパワーが宿っていると思っています。

 かつて、ちょっとメンタルをやられてしまっていたときに、夫に矢のように意味不明なLINEを送り続けていた時期があります。

 パニックになっている私に、夫はたったひとこと、「だいじょうぶ」という言葉を送ってきました。

 これが不思議なことに、なにひとつ解決していないのに、そのままでよし、と太鼓判を押されたような気持ちになり、落ち着いたのです。

 このときの「大丈夫」は、どんと構えて、ゆるぎない感じで、受け止めたよ、あなたを信じている、あなたを支えている、あなたが大切だという意味を込めていうことがポイントだと思います(夫は最後のほうはさすがにうんざりして、ほぼスタンプ状態でしたが、笑)。

 なにかたくさんの言葉を重ねるより、たったひとことの「だいじょうぶ」が私を支えてくれたように思います。

 まあ、夫は私のパニックの原因を作る人でもあったのですけどね。笑

 音楽シーンにも、「大丈夫」や「きっと大丈夫」という歌(ウルフルズ、Hilcrhymeや嵐、RADWIMPS、wacciなど数えきれないほど)が沢山あり、タイトルにはなくても歌詞に入っている歌も無数にあります。

 昭和の歌謡曲には安心させたり励ますような歌詞やタイトルはあまりありませんでしたが、特にこの20年ほどで急増しているようにも思います。

 しかし「大丈夫」は、使い方を誤ると、もろ刃の剣のように「ちくちくことば」にもなってしまう危険性もあるのです。
 とくに、疑問形で使う時。

 若いころ、私はよく、周りの人に「大丈夫?」という声掛けをしていました。意図的ではなく無意識にしていたように思います。

 でもある日、友達のひとりが言ったのです。

「大丈夫?って聞かれるの、私嫌いなんだよね。大丈夫?って言われると、大丈夫、って答える以外に何も言えなくなるから」

「大丈夫?」という問いかけが、「相手に不平不満を言わせないため」「押さえつけるため」の言葉として受け止められることがあるのだと知って、ハッとしました。

 私自身はそんなつもりは全然なく、心配して発したつもりだったのですが、彼女は私の言葉の中に、「大丈夫なんだよね?」とプレッシャーを与えるような意味合いを、感じ取っていたのかもしれません。

 同じ言葉でも、言う相手や言い方、シチュエーション、立場などによって、受け止め方が変わってしまうんだなと思いました。

 相手の人の感性をよく汲み取ったうえで「ふわふわことば」を発することが大切なんですね。

 というわけで。

 私が言われたい言葉は「大丈夫」。

 根拠はなくてもいいんです。
 信頼している人からの、揺るぎのない「大丈夫」「きっと大丈夫」は、心を強くしてくれる魔法の言葉だと思っています。

 ※松下さん、駆け込みになってすみません!

 

 

 

 

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