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#STOP! 埼玉県 子どもだけの登下校禁止条例!!署名⇒記者会見 怒涛の6日間ルポ


子どもだけの登下校禁止条例とは

正式な名称は埼玉県虐待禁止条例の一部を改正する条例(以降、改正案)です。
これは、2018年に施行された埼玉県の条例「埼玉県虐待禁止条例」の一部を改正したいというもので、埼玉県議会自由民主党議員団(以下、埼玉県自民党県議団)が県議会(令和5年9月定例会)に議員提案で提出した条例案となります。
※改正案の概要を含む参考記事「親子を追い詰める #子育て罰 条例の懸念、#埼玉県 #虐待禁止条例 、#憲法違反 の指摘も」

オンライン署名の立ち上げ

10月5日(木)朝、報道で改正案のことを知った埼玉で二人の子育て中のワーキングマザー野沢ココさんは、元同僚のmiracoの天野に情報を共有しました。
そこからは皆一様に「これはあり得ない」という反応で、グループチャットで改正案についてのやりとりが、どんどん流れていきました。
 子育て中の当事者から見て、この改正案は日本の子育て家族の実態を無視した内容になっていたからです。 この条例が可決されたら埼玉県では子育てがしづらくなってしまう。
 そして、全国に同じような条例が広がるようなことになれば、子育てを諦めるような国になってしまう。野沢さんは「それではいけない」という一心で、10月7日(金)18時~人生初のオンライン署名を立ち上げることになりました。
STOP!埼玉県 子どもだけの登下校禁止条例!!

2023.10.13署名最終日の画面

miracoではこれまでにオンライン署名のアクションの経験が複数回あり、代表の天野を中心に野沢さんのサポートをさせていただきました。

2017年2月 みんな #保育園に入りたい! 子ども子育て予算にプラス1.4兆円追加して、待機児童を解消してください
2017年11月 幼児教育・保育無償化は本当に必要な人から。圧倒的に足りていない保育の量と質の拡充を同時に!

反対の声が大きく広がり、改正案は取り下げへ

署名とともに集まったコメントをもとにしたワードクラウド

多くの方が署名と拡散をしてくださったことで、最終日には署名は10万人を超え大きく広がりました。
また、それだけでなく改正案は問題だと考えた多くの人が埼玉県議や埼玉県、基礎自治体の議員、国会議員に声を届け、SNS上でも署名の拡散とあわせて、議員に声を届けようという呼びかけが数多く見られました。
改正案への反対の声が大きく広がったことを受け、2023年10月10日(火)昼に埼玉県自民党県議団が記者会見を開き、改正案の取り下げを表明しました。

埼玉県自民党県議団の記者会見でわかったこと

  • 改正案の内容に瑕疵はないとの考えである

  • 田村たくみ団長の説明不足で世論が違う方向に動いた(埼玉県虐待禁止条例と改正案の全体構成についての説明、および、安全配慮義務があれば放置にならないという説明が不足していたとのこと)

  • 本会議質疑、福祉保健医療委員会(以下、委員会)での審議のいずれにおいても安全配慮義務について言及されなかったことについては、田村たくみ団長の指導不足だった

  • 県内外から不安の声があがるような改正案になった背景のひとつに、県議会全体、また県議団の男女比が偏っているという課題がある、とは捉えていない

  • 埼玉県自民党県議団の「虐待禁止条例の一部改正検討プロジェクトチーム」(以下、PT)で改正案について検討していた際に、埼玉県自民党県議団が独自にパブリックコメントを募集したが、集まった件数、内容は公開しないと決めている

埼玉県自民党県議団の記者会見における田村たくみ団長の発言内容は、私たち(署名してくれた皆さんを含む)が期待していた本質を捉えたものではなく、大変残念でした。

初めての記者会見にチャレンジ!

記者会見で署名活動の経過を報告する野沢さん

埼玉県自民党県議団の会見を見ると、今後タイミングを見て再上程するのではないか、別の都道府県や市町村の議会で類似の条例が提出される可能性があるのではないか、そのような不安が残りました。

そのため、取り下げを受けて動きを止めてはいけないと、野沢さんは改めて考えを発信することにしました。

野沢さんにとっては人生初めての記者会見。前日は、仕事を詰め込み、いつも通り子どもの食事などの育児・家事をして、残業をして(涙)、夜中にやっと記者会見の準備に取り掛かるという状況でした。さらに、当日はなんと自宅とは別の県での本業の予定をこなしてから霞が関に駆け付けてくれました!
(スケジュールの詰まり具合の差はあれど、世の多くの子育て世帯はこのようなスケジュールと、子どもたちのスケジュールを組み合わせ、できるだけ子どもと過ごそうとやりくりをしているということを、政治家のみなさんには理解していただきたいです!)
野沢さん本人はとても緊張していたということでしたが、とても堂々と忖度なしにまっすぐに考えを表明されていました。もちろん同席した天野も、末冨芳先生も忖度などなく考えをストレートに語っていました。当事者の生の声がまっすぐに記者の皆さんに届いたと思います。

記者会見でお話ししたのは以下2点です。
(写真をクリックすると記者会見の模様が流れます)

  • 署名活動の経過報告(記者会見の時点で99,616筆)

  • こども家庭庁への要望書について

記者会見中も署名の数が伸びていた

記者との質疑応答(要旨)

主に以下の質問に登壇者3名がそれぞれに回答するという形で進行しました。

  1. 改正案を巡る状況と署名への反響の大きさの背景についてどう思うか

  2. 条例をつくるというプロセスに市民がどう関わるのが望ましいと思うか

1.への回答

  • 野沢さん:県民の生活実態と埼玉県自民党県議団の認識に乖離があった。改正案を巡る状況は大変残念だった。反響の大きさの背景は、一概には言えないが、改正案を成立さえさせれば、予算や制度がついてくると考えていること(への不信感)だったのではないか。まず、受け皿をしっかり確保するということが求められていると思う。
    埼玉県自民党県議団には、まずはいったん立ち止まり、こども基本法を踏まえて何が子ども達にとって最善のものなのかを考え直していただきたい。今後パブリックコメントを実施するにしてもオープンにやってほしい。

  • 天野:埼玉県自民党県議団の認識と我々の実態に大きな隔たりがあった。また、報道機関や議員の方が持つアンコンシャスバイアスも背景にあると考えている。報道に関しては、委員会の審議時点では新聞報道も地方ニュース扱いだった。今日は女性記者の方が多いが、デスクは男性というケースも多いだろう。記者がこのニュースの重要性を主張しても、デスクがそうは判断しないということがあったのではないだろうか。また、埼玉県自民党県議団はPTのメンバーには女性もいる、またパブリックコメントは実施したとのことだが結果は非公開だった。それではとても表面的である。ダイバーシティ&インクルージョンのインクルージョンが足りていないということだ。そして、言葉はきつくなってしまうかもしれないが、多数派である人たちの驕りがあったのではないか。
    付け加えるならば、埼玉県自民党県議団は改正案の議案に瑕疵はないとの立場だが、私達から見ると瑕疵だらけだ。瑕疵だらけだと思っている人が署名の数にも表れているので、ここは率直に受け止めていただきたい。
    また、10月6日の委員会にはTVカメラが多数入っていたが、すべて放送しないとだめだというような報道規制のようなものがあったと聞き及んでいる。やはり、オープンにしていくことが必要だ。オープンな形で本当のこども真ん中政策をやっていただきたい。
    安全配慮義務についても、委員会では出てこなかった話で、とってつけた感があったので、襟を正していただきたい。

  • 末冨先生:まずは、改正案が一度止まったのはよかったと受け止めている。この間、関係者へどうしてこのような事態になったのでしょうかと問い合わせをしたのだが、改正案の提出前から懸念があったと聞き及んでいる。一度立ち止まり子どもや子育て世帯の実態にあった条例案だったのか、検討段階で立ち止まれなかったのはどうしてなのか、埼玉県自民党県議団には振り返っていただきたい。そして、今後実態に寄り添ったよりよい埼玉県にするために、今回のことを学びの機会にしていただきたいと考えている。

2.への回答

  • 野沢さん:これまで政治に関わってこなかったというところもあり、私たちの側も意識を変える必要があると思っている。議会だけに任せておいてはいけないということが今回の署名への反響でよくわかった。議員に任せているだけでは我々の生活が(良い方には)変わらないということがはっきりした。市民の側もしっかりと政治がどのように動いていくかを見ていく必要がある。私にとって良い学びとなった。

  • 天野:埼玉県自民党県議団は型通りのプロセスを踏んだと考えているのだと思うが、やはり「こども基本法」に立ち返り、こども若者、子育て当事者の意見を取り入れて、子どもの権利と最善の利益を実現するという視点を大事にしてほしい。ヒアリング、パブリックコメントを行い議会でも沢山の議論が必要だ。今回は非常に拙速だった。

こども家庭庁への要望書について

改正案は大人の視点で子どもの安全を確保することに焦点が当たっていると解釈できるのですが、はたして子どもたちの視点は取り入れられているのか、ということが疑問でした。
2023年4月1日施行の「こども基本法」第11条※に規定される「こども若者、子育て当事者の意見表明・参画および意見反映」が、埼玉県議会で実現されていればこのような事態は起きなかったのではないでしょうか。

そこで、記者会見に先立ち、こども家庭庁を訪問し、全自治体首長・議会に対して「こども基本法」の周知徹底をしてほしいということを中心とした内容の要望書を提出してきました。対応してくださった佐藤参事官からは、要望書の内容については、引き続き取り組みたい、長官にも報告するとの力強い回答をいただきました。

要望書をお渡ししました


(こども施策に対するこども等の意見の反映)
第十一条 国及び地方公共団体は、こども施策を策定し、実施し、及び評価するに当たっては、当該こども施策の対象となるこども又はこどもを養育する者その他の関係者の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。

「こども基本法」第11条

おわりに

今回の改正案は、子育て当事者の生活実感とあまりにかけ離れていたため、反対の声が大きくなったと思います。
それ故に、今回は短期間でストップすることができました。
しかし、この条例案に気が付く人が居なければ、可決成立していたかもしれません。

また、同じような内容の条例案が埼玉県だけでなく提出される可能性もあります。引き続き政策動向をウォッチしていく必要性を感じています。

尚、今回こども基本法の11条である「こども・子育て当事者」の声が届いていなかったわけですが、これは「県議会の男女比が男性に大きく偏っている」「投票率が低く無投票となる選挙区も少なくない」といった、選挙・民主主義の根幹の課題から地続きになっているとも考えます。

今回のように声を挙げれば変えられるんだ!
という小さな成功体験を積み重ね、政治に絶望せずにいたいものです。
絶望してしまってはそれで終わりですから。みんながそれぞれのやりかたで政治に参画していきましょう!

(まちこ、雑木林琢磨、SHIMA、さちべえ、Yukari)

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