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せいかつの軌跡(40)

トモシの風邪が治った。

と思ったら、自分が風邪をひいた。夜から出た微熱は翌日下がった。それでもこのご時世なので、一日家で過ごすことに決めた。

洗濯物を干し、床を掃き掃除。鶏にエサをやり、久しぶりに玄関の窓を拭いた。綺麗になったサッシから、静かな家に陽の光が差す。なんとなく幸福を感じた。
掃除を始めたら止まらなくなって、あっという間に時間が過ぎた。古民家暮らしは家事が多い。色んなものを「見ない」、「やらない」工夫が必要に思う。

隣に住むおばあちゃんから頂いた大根を洗い、葉と根を切り分けた。とても立派な大根に見えるけれど、出荷できないものらしい。白菜の外葉も大量に頂いた。しばらく大根と白菜料理が続きそうだ。こんなふうに、我が家の玄関先には大量の野菜が届けられることがある。「笠地蔵」みたいで、可愛くてありがたい。

午後はラジオを聴きながら繕いものをしたり、本を読んで過ごした。薪ストーブの火は柔らかくて暖かい。一人きりの静かな時間がものすごく心に沁みてきて、自分がかなり疲弊していたことに気がついた。

夕食は豚肉とネギ、生姜と白菜を重ね煮にして、手作り醤油をかけて食べた。料理が面倒な時は大体重ね煮を作る。最近ダイエットしたいと言っている哲は、日本酒を呑みながら何度もお代わりした。
途中でトモシは眠くなり、私の手をひいて寝室へ移動した。

布団に入って、絵本を読んだ。トモシがリクエストしたのは、バージニア・リー・バートンの「けいてぃ」。最後まで読み終える前に、トモシは寝てしまった。
つるっとした寝顔を見ながら、こういう時間も一人きりの時間も同じくらい大切だと思った。

共に泣き笑って君は夢の中
絵本は続くきっと良い明日

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