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人を好きになるという事

これまでの生きてきた中でお付き合いをしていた方が、私にも何名か居た。
いつも何となくでお付き合いをしていて、最終的には私から別れを告げてた事が殆どだった。

高校生になってすぐの時は、友達作りも勿論の事5月~6月頃になると周りは途端に恋愛に色づき始める。
私も、クラスの中でいいなと思った人と運よく付き合う事になった。
今思えば、私もそんな周りの空気に飲まれて何となく『恋愛』をしてたんだろうなと感じる。

結論からいうと、高校の時に付き合った彼とは結局2か月ぐらいで別れてしまった。

人生で初めてキスをしたのがこの時の彼だった。
キスをする前は、「明日会ったらキスしようね」なんて事をメールでやり取りしてドキドキしてた。
その日の夜は、キスってどんな感じなのかなとか、緊張するのかなとか、色々考えながら眠りについた。

当日、キスをした。

(こんなもんか…。)
率直にそう思った。
そう思った気持ちを悟られない様に、すぐに彼を抱き締めた。
全然嬉しい気持ちが湧かなかった。
私は人を好きになる事が出来ないのかもしれないと、好きだと思ってたはずなのに好きじゃなかったのかも知れないと、色んな事を考えた。
なによりも「こんなもんか」と思う自分に一番ショックを受けた事を覚えてる。

この時に、私は自分で決めた事がある。

「ここから先の初めては、自分が心から本当に好きになった人とする事にしよう。」


あれから、12年。
この間に、マッチングアプリをやってみたり、婚活パーティーに行ってみたり、お付き合いに発展した方がいたりとそれなりに色々あった。
ちゃんと手も繋いだ事もあったし、キスもした。
でもどうしても、手をつなぐだけで気持ち悪く不快感があったり、キスをしても無の感情だったり、私が心からちゃんと「好き」と思えるお相手様では無く短期間でお別れをしてしまう事も多かった。
その度に私は手を繋ぐのが嫌いなんだと、スキンシップが嫌いなんだとそう思った。

そんな中で、たまたま偶然
「合コンするんだけど1人枠が空いちゃってよかったら来ない?」
とお誘いを頂けた。
まあ人脈を広げることは良いことだし、合コンなんて行ったことなかったし何事も経験だと思っていってみるかと承諾した。

女3人、男3人の計6人で対面席。
私たち女性陣が到着すると既に1人男性が到着していて席に座っていた。
お互い挨拶を軽くしながら私たちも席に座る。
私は端の席が良かったんだけど、「真ん中どうぞ」と言われ、合コンに誘ってくれた子、私、もう一人の女性の順番で座った。
その5分した後ぐらいだろうか、もう一人男性が来て計5人になった。
あともう一人は遅れてくるとの事で、先に飲み物を頼んだ。
この時、私の前の席が空席の状態。

男性2人は、お酒が飲めないらしくソフトドリンクを頼み、私たち女性陣はお酒を頼んだ。
ドリンクオーダーしてちょっとしてからだろうか、遅れてきた男性が入ってきた。

運命だと思った。
直感でこの人って思った。

それが彼との出会いだった。


合コン1次会の最初は、シ~~ンって感じでそこにいた誰もが「これは失敗に終わったな」って思ってたと思う。

だけど彼が気を利かして、話を沢山振ってその場を盛り上げてくれていた。
大皿で出てきたコース料理に手を付けてない人がいたら
「え?食べてないでしょ、食べてくださいよ!……俺が食べちゃいますよ?」
って気を使いながら笑わせてたり、沢山食べたり飲んだり…。
そんな彼を見ていて、退屈しなくて、面白くて気づいたら普通に爆笑してた。
「めっちゃ食べますね。」
「よく周りの事見てますね。」
なんて会話をしたのを覚えてる。
そこからは皆だいぶ緊張がほぐれたのもあって、盛り上がった。
お店の人にお時間ですって言われるまで時間も忘れてそれなりに皆楽しんでたと思う。
こんなに楽しくて、漸く打ち解けてきたのにここで解散は勿体ないなって
何となく私はそんな気がして
「2次会行きたいです!!!」
って皆を誘って二次会に行った。

二次会では、恋愛の話を主に盛り上がった。
「前の恋人はなんで別れたのか」とか「好きなタイプは」とか…。
本当に楽しくて、時間なんてあっという間で、そろそろお開きにしましょうって誰かが言ったのでお店に出たのだけは覚えてる。


気づいたら、彼と手を繋いでた。
私から手を繋いだと思う。

恋人繋ぎ。

バカだなって、アホだなって、危機感無いなって誰もが思うと思う。
正直私もシラフの状態でそんな子を見たら同じことを思ってると思う。

でもそれよりも、他人と手を繋ぐのが嫌いなこの私が、自ら他人と手を繋ぎたいと思ってつないだことに驚いた。

酔ってて、あまり記憶が無くて、その後一緒に合コンに誘ってくれた子(仮にAちゃんと言おう)に聞いたら
「居ないな?って思って後ろ振りむいたら、いい感じだったよ」
なんて失笑気味で言われた。
「私、Aちゃんと3人で手を繋いで歩いてたと思った」
「違うよ、二人で手を繋いで歩いてたよ。」
なんて会話を聞いて、更に自分のした意味が分からなかった。

1次会が終わった後に、みんなで写真を撮ってたのもあってライングループが作成された為、連絡先はお互い知っていた事もあって、それから彼と連絡を取りあって電話したり何の他愛も無い会話をしたり、一緒に出掛けたりして、最終的にはお付き合いをした。


彼と話してると、食の違いなどはあるものの、似てるなって思うところが結構あった。
その中で一番驚いた事は、
「好きじゃない、という言葉と嫌い、という言葉を使い分けてる。」
と唐突に言われた時だった。
まったく同じだった。
過去に人に、「嫌いも好きじゃないも一緒じゃん」と言われたことがあったのだが、私の中では全く違う物だと思っていて、私のこの考えを理解してくれる人はあまりいないんだろうなと思っていたので、彼からその言葉が出た時は咄嗟に
「え!?!?めっちゃわかる」
って体を前のめりにして話した思い出がある。
あまりにも考えが似すぎていて、前世双子でした?って思うときもあった。

スキンシップも、何故か彼だけは全然不快に思わなかった。
むしろ触れたいと思っている自分がいた。
その時に私は、これが人を好きになるという事なんだという事に初めて気づいた。
この歳で、漸く好きを知ることになった。
気づかせてくれた彼には感謝しかない。大事にしたいと心から思った。



しかし、人間の感情というものは絶対というものでは無くて、中々上手くいかなくなることがある。
ちょっとしたタイミングで、どんどんズレていく。

つい先日、距離を置きたいと彼から告げられた。
本当にショックで、立ち直れなくてご飯も入らなかった。
しんどい。

何がしんどいと思うんだろう、何が辛いと思うんだろうと考えた時に
私が彼を無意識に苦しめていたのかもしれないという事実が辛かった。

それと同時に、あの時にこう思ってたなら伝えてくれれば良かったのにな。信用されてなかったのかな。と思う事もあった。
でもきっと、何かを彼が思った時に言えなかったのは、私から無意識に圧を感じてしまったからなんだろうなと思った。
お付き合いをすると言うことは、お互いが違う価値観を擦り合わせて、思いやりを持って相手の気力や自信を向上させる事なのに、私は彼の気力や自信を下げてしまってるのではないかと思った。
そう思うと、辛くて悲しくてやるせない気持ちになった。

「気持ちが落ち着いたら連絡する」
そう言われて、彼との連絡は止まっている。


距離置きたいって連絡来る前日、一緒に会ってた時彼は一体何を思ってたんだろう。
都合が合わなくて、「来年は一緒に桜見に行こうね」って言った私の言葉をどういう気持ちで聞いてたんだろう。
思えば思うほど今でも胸が苦しくなる。


人によってはよくある話のつまらないノートだったかもしれない。
でも私にとって、この先うまくいっても行かなくても大恋愛な事には間違いないと思った。
私って人を好きになれるんだと、純粋に思えた。
手を繋ぐことやハグをする事、それ以上の事が気持ち悪く感じてしまっていた自分に、好きな人とスキンシップが取れることがこんなにも幸せだと教えてくれた彼には感謝の気持ちしかない。

好きになった相手が、彼でよかった。

あの時に、合コンに参加しなかったら今の私は居なかった。

もし、彼に別れを告げられたら私はそれを受け入れようと思う。
大好きだから、愛しているから、運命だと思ったから離れようと思う。

お互いが、前向きになれるように。

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