この男、多彩につき。/神戸ソーシャルキャンパス 法幸 勇一さん(後編) #N男N女 File.2

明日の社会を良くしようと、様々な課題や問題と日々格闘するNPO法人。
そこで働く人たちを戦隊ヒーローに例えるなら、自らの正義を信じてリーダーシップを発揮する代表は赤レンジャーか。では、いつでも冷静沈着な青レンジャー、周りを明るくするムードメーカーの黄レンジャーは・・・?

定期連載「N男N女」では、それぞれの個性や強みを発揮しながら、熱い思いを持って団体の活動を下支えする職員らにスポットを当てる。

前編では、旅人・法幸勇一が持つ、その異色な経歴を見てきた。後編では、カナダから帰ってからどのようにして神戸のNPOに勤めることになったのか、また、旅人の目に映る未来について尋ねた。

その答えは、実に旅人らしいものだった。

外から見た「ニッポン」

カナダに住んでいたからこそ、日本が大好きになったんです。

そう語る法幸さんの目には、日本を外からじっくり観察したからこそ見える側面が映っている。
カナダで日本語教師をしていたとき、日本の文化や歴史、生活などに深い興味を持つ生徒に多く出会った。中には、来世日本に生まれたときのために日本語を学びたい、という気持ちを持った生徒もいたそうだ。

こんなにもカナダの人は日本のことを良く思ってくれているにも関わらず、当の日本人は自国のことを好きじゃない人があまりにも多く感じました。
僕もその中の1人で、それが当たり前のように感じていましたが、日本を良く思ってくれる人たちの価値観に触れ、僕自身、日本の良いところがたくさん見え、日本が大好きになりました。
また、自国の文化に誇りを持つことで、異文化の良いところも見えるようになり、様々な価値観を尊重できるようになったことも大きな変化でした。

日本のために何かがしたい。そう思った時にはすでに足は動き、気づいたら日本への帰国を決めていたと言う。日本でのコネは無い。
ただあるのはズバ抜けた行動力と人を惹きつけるトーク力。法幸さんはこの2つをフル活用し、日本に帰って来てから様々なコミュニティの集まりやイベントに顔を出しまくる。この時、頭の中にはある2つの軸があった。

拠点は関西にすると決めていました。自分の生まれ育ちが関西ということに加え、関西人の持つ、グローバルスタンダードなフレンドリーさにも惹かれていたのが主な理由ですね。
また、利益だけを目的とするビジネスにはあまり興味がなく、何かソーシャルグッドなことがしたい。そういった理由から、とにかくNPOのイベントに飛び込みまくりました(笑)帰ってきてからほぼ毎日プレゼンでしたね(笑)

ちなみに、カナダから帰ってきたのは現在(2018年7月6日)からおよそ3ヶ月前の4月だ。まだ最近のことながら、とても懐かしそうに話す姿が印象的だった。

数々のNPOがある中で神戸ソーシャルキャンパスに決めたのは、良い意味で幅広く中間支援を行っていたからです。NPOで自分が具体的に解決したい課題は見つかっていなかったからこそ、幅広く地域活性化やまちづくりをやっているところ、ということで決めました。
また、今の職場は週4勤務なんで自由に動けるんです。

幅広い層に伝えたい、NPOとの関わり方

何かソーシャルグッドがしたい。ただ、その具体的な課題は見つかっていない。
そんな状態の法幸さんだからこそ、伝えたいことがあると語る。

僕は週に4日NPOで働いて、他の時間を使って様々な取り組みをしています。
例えば、同年代が集まってそれぞれが自分らしく働けるように多様な価値観に触れられる場を作ったり、SNSなどで新しい働き方や生き方のヒントに繋がることを発信したりしています。
また、日本を訪れた外国人が集まれるようなコミュニティを作ったり、旅の記事を発信したりもしてますね。こういった活動も並行して行うために、フルコミットでNPOという選択はあえてしなかったです。この選択を受け入れてくれた神戸ソーシャルキャンパスには感謝ですね。

NPOにフルコミットする人ほど、強い情熱は持っていないけど、何か社会の役に立てることがしたい。そういう考えを持つ人は、自分の他にたくさん居るはずなんです。ただ、NPOと聞くと、そこに関わる人がみんな、強い思いを持たないとダメだ、みたいな認識があるから、なかなか一歩が踏み出せない。
もっとフランクに、もっと気楽にNPOに関われるということを、トリプルワークを実践している自分が発信することで伝えたい。NPOとは、決して熱意の塊を持つスーパーマンだけが働いている場所ではないんやで、と言いたいんです。

筆者は今までNPOに関わったこともなく、学生団体などに所属した経験もない大学生であるが、この筆者から見て、NPOの印象とは法幸さんの言うように強い信念を持った人の集まり、といったものであった。

このNPO未来ラボに入ってからは、様々なNPOの活動やそこで働く人の生の声に触れ、その印象は大きく変わった。彼らは1人の人間であった。だからこそ、もっと多様な形でNPOに関わる人が増える必要がある。
職員として、インターン生として、ボランティアとして、寄付者として・・・。関わる形が多様であればあるほど、そこに集まる人間も多様になり、そこに惹かれていく人間もまた多様になるように思う。
これからNPOに必要になるのは、そういったカジュアルさなのかもしれない。

また、関わり方の一つとして僕がオススメしたいのが、ホワイトカラーとして働いた人のセカンドキャリア、というものです。
僕みたいなマーケターはエンジニアとは違い、どの業界でも通用する専門スキルがありません。だから、転職がしづらい。冒険ができなくなってしまうんです。
でも、少し外に目を向けてみると、NPOではホワイトカラーの人たちが会社で、毎日当たり前にやっているようなことが回ってない。人が足りていないこともあるし、その経験を持っている人も多くないんです。

だからこそ、今持っているスキルでものすごく感謝される。必要とされる。現在ホワイトカラーとして働いていて、なんとなく新しいことをしたいけど、外の世界も知らんし・・・。なんて思ってる人たちの意識を変えたい。
あなたたちが今まで培ってきたスキルは、確かに他の世界でも必要とされていることと、しっかり伝えたいですね。

「NPOの間口をもっと広げたい」と話す法幸さんのように、他の世界からNPOに飛び込んだ人だからこそ感じる問題がある。その代表的なものが人手不足だ。そんな法幸さんに、NPOに少しでも興味を持っている人に向けて伝えたいことを聞いた。

まず1歩。どんなに小さくても大丈夫。話だけでもおっけー。twitterに連絡くれてもウェルカムです。とにかく1歩踏み出してほしい。それこそ、NPO未来ラボに参加しても良いし(笑)
そういうことについて語ろう。一緒により良くしていこう。もっとボランティアへの認識をカジュアルにして、気軽にみんなが参加できる場にしたい!しよう!

「NPOやボランティアになんとなく興味はあるが、どんなことをしてるのか分からないし、全力をかけられるだけの余裕もないし、関心が続く自信もない・・・。」

なんて思っている人は多いのではないだろうか。かくいう筆者もその1人だった。だからこそ、法幸さんは今日も発信を続ける。たとえどんなに小さくてもいい。1人でも多くの人を巻き込んで、それを大きな力に変えていくために。

その目に映る未来とは

最後に、今を生きる法幸さんに「5年後なりたい姿は?」という問いに答えてもらった。

ない。ありません。これから自分がどこに居てどうなってるか、想像はあまりしないようにしています。その分、今の自分が少しでも興味を持つこと全てにチャレンジしたい。
これまで、将来のことを悲観してやるべきことを真剣にやってこなかった経験があるので、今を真剣に生きることしか頭にないです。未来は、現在の積み重ねでしかないと思っていますから(笑)

”今を生きる旅人”法幸勇一の旅は続く。行き先は誰にも分からない。本人さえ分からない。ただ今の自分が持つ興味を重視し、ありのままの自分を生きる。その姿に影響され、自分の未来に希望を持って日々を生きられる人が1人でも増えることを筆者は願うばかりである。

文章・編集 藤原雅樹インタビュアー ひらいだいき

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