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ロンドン市:車の超低排出ゾーンを市内全域に拡大

交通分野からのCO2や有害物質の排出をどう減らすか、なくすかは、大きな課題です。英国のロンドンなどでは、経済的なインセンティブを盛り込んだ対策で効果を上げています。紹介しましょう。

ロンドン市は「超低排出ゾーン(ULEZ)」を、2023年8月29日からロンドン全域に広げました。この制度により、排出基準を満たしていない車両がロンドン市内を通行すると、1日12.5ポンド(約2,000円)を支払う義務が課されます。

ロンドン市では、世界初となるULEZ制度が2019年にスタートしています。当初は、ロンドン中心部のみが対象でしたが、2021年にインナーロンドン地区までゾーンが広げられました。この制度のおかげで、ロンドン中心部では約50%の有害な二酸化窒素が削減され、2016年から2020年の間、ロンドンは英国の他地域よりも5倍の速さで汚染物質が減少しています。

それでも、世界保健機関(WHO)のガイダンスによると、大気中の有害物質(粒子)はアウターロンドン(インナーロンドンの外側)の全ての地区で、安全水準を超えています。アウターロンドンには、喘息持ちのロンドン市民の半数以上が
暮らしています。新たなULEZは、アウターロンドンも含めたロンドン全域が対象です。

今回のゾーン拡大に伴い1億1000万ポンド規模の「廃車計画」も始まりました。この計画により、低所得者やハンディキャップのあるロンドン市民が、不適合車両を廃車にする場合や、基準を満たすように改造する場合には、現金やバス・トラムの年間パスを受け取ることができます。ロンドン市では、バスのネットワークを充実させる計画も発表しています。

(新津 尚子)

幸せ研ニュースより
https://www.ishes.org/happy_news/2023/hpy_id003138.html

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