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フランス、ウクライナに装甲車供与へ 欧米製で初~もはや停戦はない~【日経新聞をより深く】

1.フランス、ウクライナに装甲車供与へ 欧米製で初

フランスのマクロン大統領は4日、ウクライナのゼレンスキー大統領と電話し、仏製の装輪装甲車「AMX10 RC」を供与すると伝えた。AFP通信などが報じた。仏側によると欧米製の装甲車がウクライナに供与されるのは初めてで、これまでより踏み込んだ軍事支援になる。

仏大統領府は供与する台数や時期などの詳細は明らかにしなかった。ゼレンスキー氏はSNS(交流サイト)で「軽戦車を供与する決定に感謝する」と述べたうえで、マクロン氏との電話協議で「防空能力などを大幅に強化するためのさらなる協力に合意した」とも明らかにした。

ウクライナは反攻作戦を視野に、ロシア軍との地上戦に有効な戦車や装甲車の供与を欧米に求めてきた。既に東欧などの旧東側諸国は旧ソ連製の戦車を供与しており、米国もウクライナのためにチェコが保有する旧ソ連製戦車の改修を支援するなどしていた。ロシアとの軍事的緊張の高まりを恐れる米欧は西側製の戦車供与に慎重だった。

仏軍のホームページによると、「AMX10 RC」は機動性の高い4人乗りの偵察用装甲車両。フランスは運用するための訓練も提供する。

ゼレンスキー氏は3日夜のビデオ演説で、ロシアが大規模攻勢のために新たな兵士動員を計画しているとの見方を示し、「ロシアの計画を阻止しなければいけない」と述べた。

(出典:日経新聞2023年1月5日

ロシアは大規模攻勢の前に停戦交渉の時間を取っていたようですが、どうやら、ウクライナはまったく応じる様子はなく、全面激突へ向けての準備を進めているようです。

私は以下のニュースを知らなかったのですが、youtubuで国際情勢を伝えておられる及川幸久さんのチャンネルで知りました。

ウクライナ東部のドネツク、ルガンスクとウクライナ政府とで結ばれたミンスク合意は、ウクライナを強くするための時間稼ぎの合意であったとメルケル元首相がインタビューで語っているのです。

このニュースのもとになった記事、あるいは報道を翻訳しました。ただ、メルケル元首相のインタビューはドイツ語の為、翻訳は完全機械翻訳ですので、ご了承ください。

そもそもミンスク合意とは何かを確認しておきます。

2.ミンスク合意とは?

2014年2月、ウクライナで行われた選挙で親ロ派のヤヌコーヴィチが大統領に選ばれたことを不満とした親EU派の勢力が西側諸国の支援を受けてクーデターを起こしました。いわゆるマイダン革命です。このクーデターにより、ウクライナ東部のロシア語を話す人々が弾圧を受けることとなり、紛争が勃発しました。そして、新政権の弾圧に屈しない人々がドネツク人民共和国(DPR)とルガンスク人民共和国(LPR)を形成し、独立宣言を行いました。

ウクライナは早期に服従させようと武力行使を行いましたが、決定的な勝利を得ることができませんでした。そして、ロシアや欧米諸国が平和的解決を求めるも交渉は難航しました。

この不安定な状況の中、ウクライナ、ロシア、欧州安全保障協力機構(OSCE)で構成される「ウクライナに関する三国コンタクトグループ」と、ウクライナ、ロシア、ドイツ、フランスで構成される「ノルマンディー方式」で、「ミンスク議定書」と呼ばれる交渉が行われました。この合意の名称は、中立の立場を示すベラルーシの首都ミンスクで行われたことから、そのように呼ばれるようになりました。

最初の合意の「ミンスク議定書」は2014年9月5日に調印されました。しかし、その合意では戦闘が終わらなかったため、それを更新した合意が行われました。これがいわゆる「ミンスク合意2」で、2015年2月12日に調印されました。

ミンスク合意は以下のような内容でした。

  • 当事国は停戦を約束し、接触線から軍を撤退させた。

  • 緩衝地帯に重火器を設置することは厳しく禁じられた。

  • 多連装ロケットシステム「ウラガン」、「スメルチ」及び短距離弾道ミサイルシステム「トーチカ」は、接触戦から70キロメートル離れた地点に撤収されることになっていた。

  • OSCE(ウクライナに関する三国コンタクトグループ)のオブザーバーは、これらのルールが実施されていることを監視する予定だった。

  • 「すべてはすべてのために」という原則に基づく捕虜交換に加え、紛争時に捕虜となった人々の恩赦を実施することが義務付けられた。

  • また、ウクライナ側はドンバスの両共和国の代表の立場を考慮し、ドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国の分離地区の特別な地位に関する法律を採択し、そこで地方選挙を実施することになっていた。そして、その選挙の翌日、ウクライナは州境を完全に掌握することになっていた。

しかし、ウクライナ側はその後、これらの合意の政治的条項の履行を控え、その代わりにドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国の間の国境の支配権をまずウクライナ政府に引き渡すように要求してきました。

ドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国の当局、そしてロシア政府はこうした要求を拒否しました。ロシア政府は、ウクライナ軍が国境を支配して共和国を外部から事実上遮断して、反対勢力を武力で鎮圧しようとするのではないかと考えたからです。

また、ドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国の当局、そしてロシア政府は、ウクライナ政府が緩衝地帯の居住地域を不法に占拠し、そこに軍事設備を配備していると繰り返し非難していました。

西側諸国は、ウクライナ政府がこの二つの合意を守らないことに目をつぶりました。

この目をつぶったのが、メルケル元首相の口から「時間が稼ぎだった」という言葉となって、明るみに出たのです。

元々、ウクライナの軍事力を増強するための時間稼ぎだったとのです。それが合意に参加した国の元首相の口から明らかになったのです。

3.もはや停戦はない

もはや停戦はありそうもありません。ロシア元大統領のメドベージェフ氏は、数十年はまともに西側諸国と交渉することはないと語っています。信頼に値するリーダーがいない、と。

また、プーチン大統領も「結局のところ、誰もミンスク協定のどの部分も履行するつもりはなかった」「この協定の他の参加者は少なくとも正直者だと思っていたが、そうではなく、彼らもまた我々に嘘をつき、ウクライナに武器を持たせ、軍事衝突の準備をさせようとしただけだったことがわかった」「どうやら、正直なところ、我々は方向性を掴むのが遅すぎたようだ。しかし、我々はミンスク協定の枠組みの中で解決できることを望んでいたのだ。」と、無念そうに語っています。

「信頼はすでにほとんどゼロに等しいが、このような発言の後では、どうやって交渉することができるだろうか?何について?誰とでも協定を結べるのか、その保証はどこにあるのか?」プーチン氏は、最終的には何らかの合意に達しなければならないことを認めつつ、こう問いかけています。

日本のマスコミは、まだウクライナ支持、ロシアは悪と書き立てていますが、世界の潮流はどうなのでしょうか。

果たして、米国とEUが主導する世界観に、他の国々は追随するのでしょうか。

メドベージェフは、近い将来、それぞれ独自の価値観とルールを持ついくつかの地域ブロックが出現し、ロシアが新しい秩序の中でその地位を占めることになると予想しています。

ロシアは金担保のデジタル通貨を発行しました。新しい動きは始まっています。ロシア悪というだけで、本当に良いのか。日本人は考え直さなければならないと感じています。

未来創造パートナー 宮野宏樹
【日経新聞をより深く】

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