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イスラエルに対する世界の視線は異なっている

イスラエルを報復攻撃したイランは、米国をはじめとする西側諸国から非難されています。

EUはイランへの制裁を拡大することで合意したと発表しています。米国もウクライナと共にイスラエル支援の予算案を下院で採決へ入ろうとしています。

悪いはイランである、と。そして、イランの攻撃は、イスラエル側は各国と協力して99%撃墜したと発表しています。

果たしてそうなのでしょうか。

イランのイスラエル国内への攻撃は、これまで一度も行われなかったイランからイスラエルへの直接攻撃です。これは歴史的な転換を示しています。

RT(ロシアトゥデイ)が報道している中で次のような報道があります。

イスラエル国防軍(IDF)によるダマスカスのイラン総領事館に対する不当な攻撃の結果外交官11名とイスラム革命防衛隊(IRGC)の高官2名が死亡した。 イスラエルは当初、犯行を否定していたが、後にこの建物がハマスの作戦を調整する軍事基地として機能しているとの考えの下、この建物を標的にしたことを間接的に認めた。 この行為は明らかに、外交使節を保護する1961年と1963年のウィーン条約に違反していた。 通常、このような侵害は国交断絶につながるが、イランとイスラエルにはそのような関係がなく、数十年にわたって紛争の瀬戸際にあったため、イスラエルの突然の行動は宣戦布告と解釈される可能性がある。 この挑発に直面して、イランは非常に窮地に陥り、行動せざるを得ないと感じた。

まず、イランが悪いという報道が続く西側世界ですが、そもそも、今回のイランの行動の前提となったイスラエルの攻撃がウィーン条約に違反しているということです。

そして、それに対して、イランは報復攻撃を行いました。これにはテヘランタイムスが正当性を主張しています。

国連憲章第51条に違反しないように、イランは攻撃を行っているのです。

イランの国連常任代表部が言及したように、今回の攻撃はいかなる国際法にも違反していなかった。 国連憲章第 51 条は、加盟国に対する武力攻撃が発生した場合の個別的または集団的自衛の固有の権利に関するものである。

つまり、悪いのはイランであるという西側諸国の批判は当たっていないということになります。

そして、もう一つはイランによるイスラエルへの報復攻撃は、ほぼ迎撃されたというイスラエルの主張です。ここではテヘランタイムスやRTの記事を見ると別の見方が報道されています。

まず、テヘランタイムスです。

軍事アナリストらはまた、イランのミサイルや無人機の撃墜成功率が99%だというイスラエルの主張に異議を唱えている。 イランが標的とした厳重に保護された3つの軍事施設は破壊されたか、大きな被害を受けたと考えられている。

次にRTです。

世界がイランの反応を待つ間、ほぼ2週間の緊張状態が続いたが、論理的には避けられないと思われた。識者やアナリストは、イランが取りうる明白な選択肢として、鏡のような反応を示し、イスラエル領内かこの地域の外交事務所のひとつを攻撃するか、イラン自身と同様にイスラエルにとって問題である代理勢力を利用するかの2つを考えていた。しかしテヘランは、直接的な攻撃と地域の同盟国を利用するという第3の道を選んだ。この攻撃は、イランによるイスラエルへの初の直接攻撃として歴史に名を残した。とりわけ、記録上最も大規模な無人機攻撃であり、200機以上のUAV、150発の巡航ミサイル、110発のシャハブ3、サジル2、ケイバル地対地弾道ミサイル、7発のファッター2極超音速巡航ミサイルが使用されたと推定されている。攻撃は、イラン、シリア、イラク、レバノン、アンサール・アラー・フーシ派が支配するイエメンの一部など、複数の場所から行われた。

午前2時、イスラエル全土に空襲警報が鳴り響いた。 エルサレム、ハイファ港、ネゲブ砂漠の軍事基地、ベエルシェバ近くの空軍基地が爆発で揺れる中、パニックに陥った国民が街路に殺到し、急いで避難所を探した。 IDFは核施設に近いディモナの住民に対し、防空壕に近づかないよう呼び掛けており、ニュースフィードにはますます憂慮すべきメッセージが掲載されるようになった。 集中砲火はイスラエルの有名なアイアン・ドーム防衛システムを圧倒し、大量のドローンとミサイルが飛来して対処しきれないことが判明した。 これに応じて、英国、米国、イスラエル、ヨルダンの空軍が緊急発進して飛翔体を迎撃した。 イスラエルは必死の対抗策として、すべてのGPS信号を妨害し、イランのミサイルや無人機の誘導システムを妨害した。 テヘランは即座に、その標的は厳密に軍事基地、飛行場、政府施設であると宣言した。

イスラエル軍の報告書は、イランが発射したミサイルと無人航空機のほぼ99%が撃墜されたと主張したが、西側諸国とグローバル・サウスの多くの軍事専門家は、メディアで公開された映像を頼りにこの声明に疑問を抱いた。

日本でもイスラエルの発表がそのまま報道されていますが、テヘランタイムスやRTを読む限りは、イスラエルや米国の発表をそのまま鵜呑みにはできない気がします。

もちろん、イランやロシアの発表をそのまま鵜呑みするわけにはいかないでしょう。しかし、少なくとも、イランの攻撃は事前に分かっていましたので、もちろん迎撃できるはずです。ところが、RTの報道はより詳細であり、真実味があります。その為、イランの攻撃は元々人が住む地域は狙っておらず、今回の攻撃は一定の成果を収めたと見るのが妥当でしょう。そして、それは、大量のミサイルやドローン攻撃、あるいは超音速巡行ミサイルはアイアンドームを突破できるとイラン側は考えているようです。

米国はイスラエル支援の予算を可決させ、EUは制裁を強化し、G7も制裁を検討しています。そして、イスラエルは何らかの報復を行います。

しかし、BRICS、グローバルサウスの側からすると、ウィーン条約に違反して攻撃してきたイスラエルに国連憲章に反しない範囲で攻撃を行ったイランに制裁するというのはおかしな話です。イランに制裁するのであれば、イスラエルにも制裁しなければおかしい。

つまり、これはイスラエル支援なのであって、国際社会の秩序を保つという行為ではありません。その国がイスラエルを支援するという判断をするのは、その国の判断です。しかし、それが絶対的正義という考え方はおかしい。

イスラエル支援を明確に打ち出せば打ち出すほど、BRICSやグローバルサウスの反発は大きくなります。世界が分断していくことになります。

現在、原油価格は下がっています。米国の原油在庫が増加していること、中国の需要に対する見方が悪化していること、そして、イランの攻撃が終わって、現状では新たな動きが出ていないことなどが要因と思われます。1バレル86ドルまで言っていたWTIの指標は現在、83ドルを切っています。

しかし、イランが西側を本気で敵に回すとすると、ホルムズ海峡の閉鎖があり得ます。イスラエルを支持する西側を一撃で仕留めることができるのがホルムズ海峡の閉鎖でしょう。

ホルムズ海峡が閉鎖されると、原油価格が急騰します。第三次石油ショックです。世界の1日の原油の需要は1億バーレルですが、その20%の2000万バーレルの原油がホルムズ海峡を通過しています。この封鎖は途轍もないダメージを西側に与えます。インフレは再び上昇し、米欧日は共に金利を引き上げなければならなくなります。これは、米国、EU、英国には壊滅的な打撃になる可能性があります。

また、ホルムズ海峡が封鎖されると、大きなダメージを受ける国に、日本と中国があります。しかし、日本と中国では根本的に異なることがあります。それは、中国は対処してきているという事です。

中国は中国・ミャンマー経済回廊と呼ばれる天然ガスや原油パイプラインを稼働させています。全てではありませんが、ここから中東の原油を輸入できます。中国は対応策を取っているのです。対して、日本は無策であり、最も打撃を受ける国です。

しかし、日本は米国、G7に従いイスラエル支持、イランへの制裁側に回っています。

世界の現実を知ることはできているでしょうか。世界の現実に目を向けているでしょうか。世界を知る努力をしているでしょうか。

私たちは、世界を両の目でしっかりと見据える必要があります。日本人こそが、世界を見つめ、世界の事情を知り、そして、世界の平和に貢献する行動をとれる民族であるはずです。

まず知る。そこからはじめて行くしかありませんが、多くの人にしっかりと目を見開いて世界を見て欲しいです。

自分が関心があることを多くの人にもシェアすることで、より広く世の中を動きを知っていただきたいと思い、執筆しております。もし、よろしければ、サポートお願いします!サポートしていただいたものは、より記事の質を上げるために使わせていただきますm(__)m