イスラエルに対する世界の視線は異なっている
イスラエルを報復攻撃したイランは、米国をはじめとする西側諸国から非難されています。
EUはイランへの制裁を拡大することで合意したと発表しています。米国もウクライナと共にイスラエル支援の予算案を下院で採決へ入ろうとしています。
悪いはイランである、と。そして、イランの攻撃は、イスラエル側は各国と協力して99%撃墜したと発表しています。
果たしてそうなのでしょうか。
イランのイスラエル国内への攻撃は、これまで一度も行われなかったイランからイスラエルへの直接攻撃です。これは歴史的な転換を示しています。
RT(ロシアトゥデイ)が報道している中で次のような報道があります。
まず、イランが悪いという報道が続く西側世界ですが、そもそも、今回のイランの行動の前提となったイスラエルの攻撃がウィーン条約に違反しているということです。
そして、それに対して、イランは報復攻撃を行いました。これにはテヘランタイムスが正当性を主張しています。
国連憲章第51条に違反しないように、イランは攻撃を行っているのです。
つまり、悪いのはイランであるという西側諸国の批判は当たっていないということになります。
そして、もう一つはイランによるイスラエルへの報復攻撃は、ほぼ迎撃されたというイスラエルの主張です。ここではテヘランタイムスやRTの記事を見ると別の見方が報道されています。
まず、テヘランタイムスです。
次にRTです。
イスラエル軍の報告書は、イランが発射したミサイルと無人航空機のほぼ99%が撃墜されたと主張したが、西側諸国とグローバル・サウスの多くの軍事専門家は、メディアで公開された映像を頼りにこの声明に疑問を抱いた。
日本でもイスラエルの発表がそのまま報道されていますが、テヘランタイムスやRTを読む限りは、イスラエルや米国の発表をそのまま鵜呑みにはできない気がします。
もちろん、イランやロシアの発表をそのまま鵜呑みするわけにはいかないでしょう。しかし、少なくとも、イランの攻撃は事前に分かっていましたので、もちろん迎撃できるはずです。ところが、RTの報道はより詳細であり、真実味があります。その為、イランの攻撃は元々人が住む地域は狙っておらず、今回の攻撃は一定の成果を収めたと見るのが妥当でしょう。そして、それは、大量のミサイルやドローン攻撃、あるいは超音速巡行ミサイルはアイアンドームを突破できるとイラン側は考えているようです。
米国はイスラエル支援の予算を可決させ、EUは制裁を強化し、G7も制裁を検討しています。そして、イスラエルは何らかの報復を行います。
しかし、BRICS、グローバルサウスの側からすると、ウィーン条約に違反して攻撃してきたイスラエルに国連憲章に反しない範囲で攻撃を行ったイランに制裁するというのはおかしな話です。イランに制裁するのであれば、イスラエルにも制裁しなければおかしい。
つまり、これはイスラエル支援なのであって、国際社会の秩序を保つという行為ではありません。その国がイスラエルを支援するという判断をするのは、その国の判断です。しかし、それが絶対的正義という考え方はおかしい。
イスラエル支援を明確に打ち出せば打ち出すほど、BRICSやグローバルサウスの反発は大きくなります。世界が分断していくことになります。
現在、原油価格は下がっています。米国の原油在庫が増加していること、中国の需要に対する見方が悪化していること、そして、イランの攻撃が終わって、現状では新たな動きが出ていないことなどが要因と思われます。1バレル86ドルまで言っていたWTIの指標は現在、83ドルを切っています。
しかし、イランが西側を本気で敵に回すとすると、ホルムズ海峡の閉鎖があり得ます。イスラエルを支持する西側を一撃で仕留めることができるのがホルムズ海峡の閉鎖でしょう。
ホルムズ海峡が閉鎖されると、原油価格が急騰します。第三次石油ショックです。世界の1日の原油の需要は1億バーレルですが、その20%の2000万バーレルの原油がホルムズ海峡を通過しています。この封鎖は途轍もないダメージを西側に与えます。インフレは再び上昇し、米欧日は共に金利を引き上げなければならなくなります。これは、米国、EU、英国には壊滅的な打撃になる可能性があります。
また、ホルムズ海峡が封鎖されると、大きなダメージを受ける国に、日本と中国があります。しかし、日本と中国では根本的に異なることがあります。それは、中国は対処してきているという事です。
中国は中国・ミャンマー経済回廊と呼ばれる天然ガスや原油パイプラインを稼働させています。全てではありませんが、ここから中東の原油を輸入できます。中国は対応策を取っているのです。対して、日本は無策であり、最も打撃を受ける国です。
しかし、日本は米国、G7に従いイスラエル支持、イランへの制裁側に回っています。
世界の現実を知ることはできているでしょうか。世界の現実に目を向けているでしょうか。世界を知る努力をしているでしょうか。
私たちは、世界を両の目でしっかりと見据える必要があります。日本人こそが、世界を見つめ、世界の事情を知り、そして、世界の平和に貢献する行動をとれる民族であるはずです。
まず知る。そこからはじめて行くしかありませんが、多くの人にしっかりと目を見開いて世界を見て欲しいです。
自分が関心があることを多くの人にもシェアすることで、より広く世の中を動きを知っていただきたいと思い、執筆しております。もし、よろしければ、サポートお願いします!サポートしていただいたものは、より記事の質を上げるために使わせていただきますm(__)m