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再生可能エネルギーを考える-ver.2

これからのエネルギー問題をどう考えるのか?・・・

エネルギー問題と自然環境問題は、優先順位をどうするかという短絡的な問題でもないでしょう?
2024年、G7の環境相会合で、2035年までに石炭火力発電を段階的に廃止していく方針を打ち出した。
また3.11福島第一原発事故で、原子力規制委員会の方向性について、一喜一憂した状態の中で、その安全性等の是非が問われています。
現代社会において、電力供給なくして、それを話するのは無理な時代になったといえるでしょう。
しかし、エネルギー問題と自然環境とを同じまな板で、同時に議論していかなければならないのもまた事実であると思います。
すなわち、どちらを優先するのかを問うべきなのか、それとも両者ともを両立するための道を探るのかを皆がまず、意見を出し合い考える時ではないでしょうか。


わからないことだらけの中で

そもそも風力発電について、もっと知ろう


風力発電の構造図

風力発電とは、ブレードという大きな風車を回して、発電機を動かします。
当初はローターブレードの長さは平均約25メートル程度でした。
しかし現在では、効率を求めて大型化が進み、技術革新の賜物として陸上発電設備では約70メートル、洋上では80メートル超のものも建設されるようになってきました。それは想像を絶するスケールであり、巨大なブレードが回転することになります。
懸念される問題として、一つには回転時に発生する風切り音の騒音問題、そして次には人間の耳では聞くことのできない超低周波の音の影響である。
そのことについては環境省の見解は下記のとおりである。
「風力発電のローターブレードの回転に伴い発生する騒音については、”交通騒音等と 比べ、著しく大きなものではない”」としている。
2018年に環境省が実施したアンケート調査によれば、そこに寄せられた苦情が継続している風力発電施設 の大半は 20kW 未満(13 箇所)であり、近年では、20kW 未満 の苦情発生施設箇所数の割合が増えているとしている。
また、同時にその時発生する20Hz 以下の超低周波音については 人間の聴覚閾値を下回り、また、他の環境騒音と 比べても、特に低い周波数成分の騒音の卓越は見 られないとしている。

ブレードの風切り音とは、低周波とは・・・

巨大なブレードの回転力により、より回転トルクの大きな力を得て大きな発電機を回すことができます。少なくとも小さな羽根車で回すことと比較すれば、素人の私でも当然わかることだが、ブレードが巨大化すればするほど、エネルギー効率は向上できたとしても、それとは相反してそれに伴う周辺への影響も大きくなることを理解しなければならない。それがまずは騒音問題だろう。

環境省の定める騒音基準である夜間40デシベルを下回っていれば問題ないとする基準をクリアしたとて、今まで夜は静かに眠りについていたのが、それが基準以下のわずかな音でもそこに住む住民にとっては騒音は騒音であり、またそれとは別に人間の聴覚閾値以外の超低周波についても、慎重に検討すべき事項があることは間違いない。

風力発電構造詳細図

健康への影響への懸念とは・・・


騒音の音量、音域のほかに風切り音は低周波音や超低周波音は波長が長いため、数キロメートル離れた場所でも確認でき、広範囲で健康被害を生じる可能性が指摘されています。
低周波音や超低周波音による人体への影響として、心血管系(血圧、心拍数など)の変化や、集中力の欠如、めまい、倦怠感、睡眠障害、鼓膜の圧迫感、振動感などが報告されています

雑音の種類


少なくとも下の図に示す低周波が及ぼす影響は、示された研究結果がある以上、無視すべきではないと考えます。

低周波と影響評価

しかし、その時に発生する低周波についても、専門家の意見では周辺の森林の木々がそれを吸収し、木々が打ち消しあって人体への問題はないという見解もある。
いずれにせよ、上記の内容を踏まえて今言えることは、風力発電の建設の是非を論じる前に、できる限り偏りのない客観性の高い情報をもとに、ともに皆が、そのメリット・デメリットを知り、その点を十分に議論する必要があると思います。
そこで議論した結果が重要だと思います。現段階では決して政府、事業実施主体の一方的な意見だけではなく、多方面から幅広い意見を集め、理解を深めるべき段階にあると思います。

その他の懸念すべき事柄とは

野鳥が回転するブレードに衝突するいわゆる”バードストライク”という問題である。そう頻繁に発生する事故でもないという見解もあるが、希少動物の棲息に関わる重大な問題だけに軽視すべきではない。
そのほかに、設置工事における環境影響の問題である。相当の高さの構造物を建設するにあたり、それを支える基礎も相当強固でなくてはならないであろうし、その強大な構造物の部材の搬入路についても環境への影響を検討していかねばならないだろう。

「小形風力発電機14機種の徹底比較」より

何を優先すべきか?


今、脱炭素社会の構築のために再生可能エネルギーなら何でもいいから、少しでも安く、少しでも安全なら方法を考えるよりも建設を進めるべきだという考えを優先すべきか、それとも自然環境を優先して考えるべきかを議論しても解決の糸口は見えてこないと思います。
まず、風力発電の建設の是非を考えるためには、幅広い角度で議論する必要があることは間違いないことだと考えます。
少なくとも、偏った意見だけに執着することは、幅広い多くに支持を得ることにはつながりずらいと思います。
まずは、客観的な情報をできるだけ多く集め、そしてそれを皆で議論する場を持つことが、回り道のようでも一番の有効な近道にあるのではないでしょうか。みんなで、議論しよう。

賛成、反対を議論するのは、それからでも

前述のようなことを省略して、性急な答えだけを求めても、それでは決して多くの支持を得ることにはつながらないと思います。
今現在周辺の意見を聴きとってみても、人それぞれの価値観の相違があることも確かです。
ある人は、自分の家の前にできるのは嫌だけど、遠いところで建てるなら構わないとか、脱炭素社会のためなら仕方ない、原子力発電よりましだとか、自然景観を損ねえるようには思えないという意見が様々あるのも事実です。
そのような状況で、その是非をより多くの人々と話し合いを持つことが重要であり、また次世代がそれを引き継いでいくわけだからこそ、今の世代の人が真剣に議論する必要があると思います。
そして、大切なことはまず皆が、十分な情報を広く取集し、それをもとに知ること、学ぶことから始めていくことが大切だと思います。そして議論を重ねることが一番大切なのではないでしょうか?建設の是非はそれからでもいいのではないでしょうか?わけもわからず、やれ賛成だ、反対だとしてもそれは将来に禍根を残すことになるのではないでしょか?
そして、今まずは、このことを通して未来に向けてエネルギーのあり方、自らの暮らし方を考える機会にしていくべきだと考えます。




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