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音楽の中だけでも

時々どうしようもなく悲しくて苦しくて 
その気持ちに押しつぶされそうになる。
今日もそんな気持ちを抱えて帰る
電車の中でふと聞きたくなって、
塔の上のラプンツェルの「輝く未来」
を聴いてきた。
といっても恥ずかしながら私はこの物語に
詳しくないし、ちゃんと観たこともなくて。
でも音楽は大好きで。
大音量で聴きながら電車から窓の外を
眺めていた。
ランタンの美しい光はないけれど、
特急で通り過ぎる駅の灯りが夜空に映えて
美しく見えた。
こんな状況にはそぐわない曲なのかも
しれないけど、この曲を聴いていたら
現実のいろんなことから解き放たれる 
ような気持ちになれた。 
空に向かって大声で歌いたくなった。

いざ言うべき時には自分の意見を言える
タイプだと思ってはいるけれど、
それでも押し殺して言えない本音がある。
そんな気持ちを日々心の奥底に抱えて
生きているのはきっと私だけではない。
それでも容赦なく朝はやって来て、
また日々は進んでいく。
どうしようもなく進んでいく日々に疲れ
時に現実から少し距離を置かせてくれるのが
私にとっては音楽だと
会社員になりたての頃から感じていた。
初めて上司になった人は
本当に理不尽な人だった。
それでもただひたすら耐え続けて
仕事を続けた。
お昼休みに大好きなミュージカルの 
音楽を聴くことでしばしその現実から 
離れることができた。 
その物語の中に入ることができた。
そこでは私はどこまでも自由に
自分の気持ちを歌で解き放つことができた。
現実社会では到底ヒロインとは程遠い
裏方の仕事をしている。
主役のために日々黙々と名もない仕事を
している。
でも音楽の世界の中だけは
わたしもヒロインでいられる。
誰になんと言われようと
私はただ1人のヒロインだ。
大声で力の限り自分の気持ちを歌で
表現している。
現実の世界でも口ずさんで歌っていなくても
心が想いの限り歌い叫んでいる。
音楽の中だけは自由にのびのびと。
想いのままに。

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