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不倫沼②

最初のデートは池袋だった。

私が水族館に行きたいと言い出し、それなら池袋でお泊まりしてから行こうということになったのだった。

新宿で待ち合わせしてから、一緒に池袋のホテルへ向かう。

その夜のことは、ほとんど覚えていなかった。

全てが夢の中みたいで、思い出そうとしても泡の記憶として消えていく。

おそらく緊張していたのだと思う。

気持ち良かったのかどうかさえ思い出せず、ただ、あまり眠れなくて、翌日は眠くて仕方なかった。

Fもそれは同様だったみたいで、2人で水族館を歩きながら眠い眠いと言ってあくびをしながら笑った。

生き物を見るというよりも、ただブラブラと過ごしていた。

お昼を食べたり、お茶をしても、特に何という会話も無かった。

それでも、私は今までにない幸福感に包まれていた。

好きな人に抱かれる。

好きな人と一緒にいられる。

それってこんなに幸せなことだったのか。

それは生きてきた中で、初めての感覚だった。

私はFに本気になってしまっていた。

どこが、と言われても、上手く言葉にできない。

ただ、一緒にいたい。

好きってそういうものなのかなと思った。

だが、現実として、私たちはお互いに既婚であり、そのことだけが澱のように胸の中でつっかえていた。

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