「この言葉は本来の意図に合わないから、ニュアンスの違う別の言葉に変えましょう」という機会があった。

こういう話は、うまくのみこめる人とそうでない人が分かれるのが常だ。実際、難しい感覚だと思う。

だけど、この話が理解できるかどうかに関わらず、人間は言葉にひっぱられる。

攻撃的な言葉選びを続ければ頭も攻撃的になっていくし、曖昧な言葉ばかり使えば頭も曖昧になっていく。微妙な言葉のニュアンスの違いを知らなければ表現や思考の粒度は粗くなるし、優しい言葉を使えば優しい思考になっていく。

『言葉なんて識別記号じゃないか』

それもある意味で正しい。識別記号だからこそ、どう識別できるかが大事だ。他者とのコミュニケーションに使う場合は、万人が同じ言葉をみて同じ理解はしないから、関わるみんなができるだけ近いニュアンスで識別できる言葉を選ばなきゃいけない。いつでも正解になる言葉なんてものはない。

そう考えるなら、難しい言葉を使うよりみんなに伝わる簡単な言葉を使えたほうがいい。平易だけど伝わる言葉を選べることはひとつの才能だと思う。