韓国ドラマ「ザ・グローリー」はどんな教訓を教えてくれるのか
昨年末にNetflixで配信されて、まだみていなかった「グローリー~輝かしき復讐~」をみました。
「トッケビ」「太陽の末裔」という名作ドラマを手掛けてきた、韓国ドラマを代表する脚本家キム・ウンスクの新作ということで、配信前から話題になっていました。
邦題の副題にもあるように、「復讐」がテーマの物語。
高校時代に壮絶ないじめにあった主人公が、人生をかけていじめ加害者たちに復讐していくストーリーです。
「梨泰院クラス」で、御曹司グンウォンがクラスメイトをボコボコにして牛乳をかけるシーンですら辛くて一旦視聴離脱するくらい、いじめシーンが苦手で……
「ザ・グローリー」は、周りの韓ドラファンの反応で相当ひどいいじめシーンを予想して、覚悟の上視聴したので、想像していたよりも平気でした。(年末にサイコパスばっかり見てたから、免疫がついたのかも……?)
しかし、このいじめ、フィクションと思いきや、韓国ではその時代の学生ならわかる校内暴力事件の実話だそうですね。
いじめシーンは残酷でしたが、手の込んだ脚本と演出に惚れ惚れして、一気に見てしまいました。
「イカゲーム」は、人がバタバタ倒れていく視覚的インパクトに引き込まれてしまって一晩で見たのですが、「ザ・グローリー」はセリフのひとつひとつや演出に、じわじわ引き込まれていった感じ。
物語のキーになっている、「囲碁」の使い方がとてもよかった。実際に囲碁を打つシーンもあり、囲碁が復讐のメタファーになっているのに気がついたとき、
「あぁ、韓ドラってこれだから面白いんだよなぁ……」
と、唸りました。
大人になった当事者たち。
高校時代のあからさまな暴力ではなく、じりじり相手の人生を蝕んでいくいく復讐。
優しく微笑んで相手の懐に入り、その人のほしい言葉をかけ、自分の味方につけていく元いじめ被害者の主人公の姿は、まさに頭脳・心理戦で戦う囲碁そのもの。
ドラマの中にもありましたが、囲碁は下手(したて)が黒を持ちます。
弱い立場にあったドンウンが黒、ヨンジン中心のいじめ加害者が白。 囲碁の白と黒、陰と陽、セリフにも出てくる白夜(ヨンジン)と極夜(ドンウン)を象徴しています。
物語の癒しとも言える、「先輩」と囲碁を打つシーン、印象的でしたね。
このシーン、ただ美しく年月を描くだけでなく、囲碁が持つ歴史とかけてると考えています。
囲碁のマス目は四隅合わせて365日、四隅は四季を現していて、占いの道具だったという説もあるそうです。
韓ドラのストーリーと演出が面白いのは、物語の骨組みがしっかりしてるからだよなぁ……と、いい作品に出会うたびに思います。
「ザ・グローリー」は、現在8話まで配信されていますが、完結はしておらず、続編が3月に配信されるそうです。
怒りと悪に忠実に、黒が盤を埋め尽くした後には何が残るのか。
「ザ・グローリー」がどんな結末と教訓を語ってくれるのか、とても楽しみです。
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