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アフター.ザ.レイン

いつも気にしてしまう
〝周り〟と解け合えない
私は今日も
視線を外していた

窓から見える
雲はどこか寂しげで
言葉を頼りに
顔を思い浮かべる

毎日は不安だらけ
見れない表情に 戸惑って
怒られて
困らせて
動かない真実(わたし)は

もう嫌だよ

近付かないで
私の目を見たら
どんな暖かい 心 でも
たちまちのうち 固まって
動かなくなってしまうの

上手く笑えもしない
そんな私は 遠ざけられて
あたりまえだよね

あの日優しい顔で
「大丈夫」って言った
温もりも鼓動も
遠くへいって

遠くのお家の
「ただいま」って言って
返る「おかえり」は
時の流れに消えていった

ひとりぼっちは明日も
いやきっとこれからもずっと
諦めて
怖がって
開けない未来は

もう嫌だよ

寂しいなんて
言いたくないよ もう
これ以上 たくさんの人を
傷付けたらって
怖くて仕方ないんだ

歩く小雨の
帰り道一人 足音は
近付いてくる

夕焼け雲
私を呼ぶ声に
立ち止まる
どうしよう、
振り向けないよ…

その人はそっと
「大丈夫?」
少し後ろで
傘を差し出した

「近付かないで、
私は 怪物だから、
あなたを傷付けてしまう。」
そう言って
足を速めて――――

「風邪引くよ。」
それは唐突に 私の
目に映った〝人〟の笑顔


夕焼け色
染まる君の瞳は 初めて
見ることの出来た 表情(こころ)

固まったはずの未来が
少しずつ
溶けてくような



そんな 雨音(はじまり)