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ウルトラマンがやってきた!

4歳の時。

田舎のスーパーにウルトラマンがやって来た!

私は喜び勇んで握手会に並んだの。

ウルトラマンが私の手を『ギュッ』と握ってくれたんだ!

それがもう、嬉しくて嬉しくて!

『私がとびきり大好きなものをウルトラマンにあげたい』

そう考えた私は、当時、大事にコレクションしていたセーラームーンのカードを2枚、ウルトラマンに渡したの。

『ありがとう!!』

そう、ジェスチャーで受け取ってくれたんだ。

それがまた、嬉しくて嬉しくて!

私はスキップするようにスーパーの中を歩いた。

母の買い物が終わり、店を出ようとした時。

私は衝撃的な光景を目の当たりにする。

そこには、フードコートで頭を剥き出しにしたウルトラマンが座っていたんだ!

中に入っていたのは30代くらいの痩せた男性。

汗をダクダクと流しながら水を飲んでいた。

雷が落ちたかのようだった。

私は男の人にカードをあげたんじゃない。

ウルトラマンにあげたんだ。

ショックと物凄い後悔が私を襲った。

帰りの車の中で、悔し紛れに母に尋ねた。

「ウルトラマン、喜んでくれたかな?」

母は答えた。

「うん!きっと喜んでくれたよ!」

けれども気は晴れなかった。

胸のモヤモヤを打ち消すように、私は力強く足をブラブラさせてみたのだが、その記憶は苦い思い出としてしっかり刻み込まれてしまったのだった。

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