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家は手放すな!23歳の私に伝えたい事 後編 #8

自己破産はちょっと待って!!!
そう思って、担当弁護士に話をしに行った。

私は率直な気持ちを打ち明けた。
「母は自己破産しようとしているが、もうちょっと手続きを待ってくれませんか。私は自己破産してほしくないです。」

弁護士さんからはこのような返答が返ってきました。
「お母さんは、娘さんやご家族に迷惑をかけないように、って思ってやってるんですよ。
それに、自己破産した血縁者が居るからといって、信用リストに載ったりしないから、心配しないでください。」
って。

え??? 耳を疑いました。
そこじゃない。 そういう事ちゃうやん。 この人、なんも分かってないやん。

更に以下の会話。
弁「お母さん亡くなられたら、債務残るんですよ。それを生きてる間にキレイにしたいって思ってらっしゃるんです。」
私「債務が残ったら、相続放棄したらいいんじゃないですか?」
弁「相続放棄の手続は誰がされるんですか?その時にあなたに負担がかかるんですよ?」

マジで何言ってるんこの人、って思った。
遺族の事なんて考えてない。考えてるふりしてるだけで、
目の前の弁護士報酬欲しいだけやん。
あかん、この弁護士に言うても話通じひん。

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結局、母は意志を撤回せず、自己破産手続きしてしまいました。
(手続は、家庭裁判所で行います)

住宅ローン残債があるまま自己破産をすると、どうなるかというと、
・債務は無くなる
・不動産所有権も無くなる
・不動産は競売にかけられる
・競売で売れたお金は国に吸収される(もとの所有者には1円も入らない)

こうして私たちの家は無くなった。
私は賃貸マンションで一人暮らし。
弟も今も賃貸マンションで暮らしている。

生活保護で住める家の条件は金額が決められていて、
当時で、母子2人世帯で53,000円まで。

さらに、生活保護者に部屋を貸してくれる大家さんは少なく、キレイなエレベーターのついてるオートロックのマンションには、まず入居させてもらえない。
母と弟が住んだのは、木造2階建てのアパート。1階の1室に大家さんが住んでいるタイプのあれです。

これでよかったのかなぁ、、、、、。

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これでよかったのか?
その答えが分かったのは、私がファイナンシャルプランナーになってからです。あ、ちがうな、ファイナンシャルプランナーの試験のために、テキストで勉強している最中に分かりました。
その時、無知だった自分への悔しさや、社会のルールへの怒り、なんで誰も教えてくれなかったの?と色んな感情がこみ上げてきて、一人号泣しました。

「誰も教えてくれなかった」んじゃないんですねこれ。
誰も教えられなかったんです。
経験したことが無い状況だから、どうアドバイスしたらいいか、誰も分からなかったんだと思います。

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【23歳の私に伝えたいアドバイス】
今35歳の私が、23歳の私にアドバイスするとしたら、下記のように言います。

①まず、お医者さんに「余命半年」という診断書を書いてもらうようお願いできないのか相談する。

②お母さんは今はまだ退職してはいけない。まずは休職して「傷病手当」を申請してください。1年6か月まで受給できます。復職の見込みが無いとしても、「会社員」をいうステータスは延命してください。

③ ①で余命半年という診断書を書いてもらえたとしたら、団信を適用してもらってください。住宅ローン免除になりますので、「家賃のかからない家」を手に入れることができます。
 家賃のかからない家があれば、生活はなんとかなります。
お母さんの傷病手当(約10万円)とあなたの給与(約15万円)で毎月25万円(手取り)あれば、贅沢しなければ生活はできます。

④ ①で余命半年という診断書と書いてもらえないとしたら、
お母さんの傷病手当+会社員+ホステスのアルバイト(10+15+10=約35万円/月手取り)で、2年と決めて頑張ってみて。
(住宅ローンの返済は月75,000円でしたので、手取りで35万円あれば、3人が生活できます。)
酷な話だけど、確率論では2年生存率25%ということは、2年という区切りが目安ということ。1年半以内に余命半年と宣告される可能性はもっと高い。
2年後、あなたは25歳になっている。転職するには十分若いし、人生のチャンスはいくらでもある。ただ、何か目安がないと気持ち的にしんどいと思うので、2年と決めてやってみて。状況が変わったら、またその時に計画を変更しましょう。

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「結果論」「タラれば」と言われるかもしれません。
でももし、2年と思って踏ん張って、家を手放さずにいたら、私たち家族の生活はどう変化したでしょうか。


自己破産から4か月後、お医者さんから「1年以内にやりたい事は全部やっておいた方がいいです」と言われました。

母は自己破産から1年半で亡くなりました。

あの時、私が踏ん張っていたら、
・家族が離れて暮らすことにならなかった
・母の死後、私と弟は「家賃のかからない家」を手に入れることができた

そうでない現状は、
私はこの10年賃貸に暮らし続け、家賃+引越代で約1000万円支出。
・弟は今は姉と二人暮らしで、毎月家賃7万円支出
・私は実家を失い、帰省するためにはホテルに宿泊

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この話を書いているのは、同情してもらいたいわけでもなく、過去を悔やんでいるわけでもないです。

これを読んでくれているあなたや、私の周りの人に届けたいメッセージです。
●家というものが、どれほど大切かという事。
●もし、私と同じように家族に万が一があった場合、家を手放さないという選択を最重要に考慮してほしいという事。
団体信用生命保険という保険があることを知ってほしいという事。
(今は保障内容も当時よりもっと充実しています。こちらも後述。)
●この時、生命保険があったら?と考えてみて欲しい。(次回書きます)
●意見を聞く相手は選ぶ。専門家だからといって、「本当にあなたの為になる」ことを考えてくれるとは限らない。

同じように辛い思いをする人は居て欲しくない。
一人でも多くの人を救いたい。


そもそもこのブログを始めた理由でもあります。
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次回 「もしもあの時保険があれば 2」です。

生活保護や自己破産という選択をしたタイミングの時、
「最初にガンになったときに増えていた解約返戻金」があれば、
その後の選択と生活はどうかわっていたでしょうか。



 

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