5年で経験したNPO・ソーシャルスタートアップ悩みの変遷

まさか自分が一つの組織に5年もいるなんて、むかしは1ミリも考えられませんでした。

しかも自分が設立した非営利団体で!

私は、「防災があたりまえの世の中にする」ことをビジョンとしている一般社団法人防災ガールを5年間運営してきました。

5年も活動をしていると、たくさんの同世代の社会起業家や、様々な社会課題にコミットする仲間にも出会い、さらにはこれから立ち上がろうとする人たちからたくさん相談を受けるようになりました。

どうやったらいい人を採用できるの?
どうやって収益事業をつくったの?
どうやってPRしているの?

後にも記載しますが、このような団体を運営することで出てくる課題の解決を加速させたのはNPO法人ETICと孫泰蔵さん率いるMistletoeが運営する「SUSANOO」というソーシャルスタートアップ*アクセラレイトプログラム(社会起業家を育成するプログラム)で、わたしはこのプログラムが募集するソーシャルスタートアップの1期生として参加しました。

ソーシャルスタートアップ:
社会課題を解決することを短期間かつ社会的インパクトを最大化させておこなう団体のこと。いわゆるNPO/非営利団体やスタートアップとは違う。

このプログラムは1期に約10〜15団体、そしてたしか…5期まで運営されていたので、総計50団体以上が所属しています。(正確な数がわからなくてごめんなさい!) 募集時にエントリーした様多くの団体の中から選抜された日本の社会起業家たちがコミュニティ化され、そこにノウハウが蓄積されていたことで課題解決のスピードが早まり、相談をもしあえる素敵な仲間ができました。ここに出会えたことは自分にとって宝だとおもっています。


前の人の失敗を繰り返さなくていい

さて、いち非営利団体(自分たちはソーシャルスタートアップという言葉の方がしっくりきますが)の代表として、この5年間様々なことで悩んだり、課題に感じぐわんぐわんと模索してきました。そして、その”テーマ”がフェーズや年を追うごとに変化してきているなあと振り返ってみて気づきました。

この変化は出会うべくして出会うのか、もしかすると初めからこの課題を知っていたら事前に対策ができたのではないか–——

勝手なイメージですが、昔の野球部や古い企業のように「失敗して学べ」を履き違えている組織や人がたくさんいるなあと思っています。

失敗することは成功する選択肢を明確化できるため悪いことではないですが、多くの人がこれまで多くの人や団体が既に失敗してきた同じ轍を踏んで失敗するよりは、まだ誰も失敗していないところで失敗をして、NPOやソーシャルスタートアップ界隈ないしは人類の新たな学びにした方がいいに決まってる!

一歩一歩順序立てないと解決できないのはその方法しか知らないだけで、もっといい方法を見つける、「そもそもこれって意味あるんだっけ」と問える人が増えて欲しいし、私もそうあり続けたいと思っています。

そこで今回は、私の失敗や悩みの経験をこのnoteでつつみ隠さずまとめるので、ぜひ事前に備えることができることに対しては対策し、そんなところでつまづかずに新たな道を作ってもらえたらとおもいます!

そして、今まさに悩んでいたり課題を感じている団体の代表者は、自分だけではないと感じて欲しいし、もしあなたがどこかの団体に所属している場合は、代表たちはこんな課題を感じているかもしれない…と知って協力したり相談に乗ってあげて欲しいです。

世界の社会課題・問題は一つの団体で解決するのではなく、たくさんの団体が協力しあって解決した方が早く解決すると思っています!でははじめます!


悩みや課題はフェーズによって変わった

まずは、私がソーシャルスタートアップを創業して5年間で感じた課題や悩みをざっくりと一覧にしてみました。ちなみにこれら課題を抱えるのが早めなのか遅めなのか、そして事前に解決できたり、思慮が浅かったのかは当時は全くわからずがむしゃらに走り続けていました。

5年間の悩みと課題の変遷

以下、1年ごとに大まかにこんな課題や悩みを抱えていたなあということをまとめてみました。

1年目(2013.3-2014.3)
・社会的インパクトをどう出すか
 (単発のワークショップやイベントから抜け出せない)
2年目(2014.3-2015.3)
・団体と個人へのネットでの悪口
・自分の口座残金の底が見え、継続が困難に
・社会課題解決に向けての知識や手法など情報の少なさ
・金額は大きいけどやりたくない仕事への判断
3年目(2015.3-2016.3)
・メンバーの募集と採用、相性の合わない人とのコミュニケーション
・防災ガールブランドのの確立と行動への制限のバランス
・メンバー間のコミット格差
・類似団体や類似商品が発生
4年目(2016.3-2017.3)
・世間と自分たちの視点のギャップ
・団体が私を超えた
・うちの団体ってオワコンじゃないか
・行政のワナ
5年目(2017.3-2018.3)
・本当にこの手法で社会課題は解決するの
・メンバーの成長やチャンスを私が止めていないか
・本当に日本でやっていていいのか
6年目(2018.3-)
・私は人生を通してどうありたいのか

事実確認と、これで誰かを傷つけないか、そしてぶっちゃけすぎていないかを確認するためにこのnoteを公開するまえにうちの団体の事務局長である良き理解者・中西須瑞化にこの一覧を見たもらったのですが、まあ返ってきたコメントの軽さに救われました笑

ありがとう笑


1-3年目の対外的悩みと4年目以降の内省的悩み

1-3年目までは具体的かつ解決策がある程度わかるもの。そして4年目以降は解決策があるというよりも、内省的で自分たちが思考停止せず考え続け決断し続けなければならないものであるように見えます。

一つ一つが、その当時は光の見えない暗闇を走っているような感覚で、何度も寿命が縮まるような思いをしていました。今思うと、ほんとうにいろいろあったなあと。いろんな素敵な経験をさせてもらえたこの環境や時代に感謝しています。

それぞれが一言では言い表せられないのですが、いくつかこれはいい解決のしかたをしたなあと感じるものを、もう少しだけ詳細に、そしてどう解決したか書いておきたいと思います!

これがだれかの暗闇からの光になりますように!

●1年目(2013.3-2014.3)

【社会的インパクトをどう出すか】

 目の前の課題をすぐ解決できるなら手足を動かしてすぐ解決すればいい。ただ、NPOやソーシャルスタートアップが取り組む社会課題はいわば社会システムを変化させたり、課題の範囲が広く単発的なものでは解決しきれないことがしばしば。そのため、いわば課題を解決しそれらが「持続可能」であることと、自己満足ではなく「成果」にこだわることが重要になってきます。

しかし、立ち上げたばかりのNPOや団体は手っ取り早くアクションを起こせる”単発のワークショップやイベント”から抜け出せきれないのが現状。私たちもその一つでした。

そこでわたしたちは、団体全体としてその体質を改善すべく「ワークショップやイベントは何かの目的達成のための段階的アクションであったりツールでしかない」という意識をみんなで持つことから始めました。

そしてそれ以外の、より継続的かつ成果が出る手法を模索したり、「そもそも何の課題を、いつまでに、どう解決したいのか」という根本や目的を何度も何度も話し合うことで、

単発のイベントから継続的プロジェクトへ、そして価値を感じてもらえるような収益事業へ変えることができました。

●2年目(2014.3-2015.3)

【自分の口座残金の底が見え、継続が困難に】

私は設立してから初めの2年間は完全無償で活動していました。活動に伴う経費などもろもろは、私がサイバーエージェント時代にいただいた給与からまかなっていたため、それだけで運営しようとすると限度があることは初めからわかっていました。

もちろん、会社に勤めながら団体を運営している人などはこのような課題は持ちにくいとは思いますが、私は猪突猛進型なので笑 収入の計画がないにもかかわらず、これはいける!と考えてコミットをしたはいいものの、1年たっても安定収益は見込めず、徐々に自分の銀行口座から一つずつ「0」がなくなってゆくのを目の当たりしました。(冷や汗…)

当時は、お金がなくなっていくことが不安につながり、精神的にもあまりいい状態ではありませんでした。事務局として一緒に活動しているみんなにも「一度止めなくてはいけないかも」「また就職しようかな」と弱音を吐いていたのを覚えています。

ただやはりこの活動を諦めたくない!という思いが自分の中で強いことに気づき、解決策として「中長期的に”団体の価値に繋がる仕事”を、団体を“最低限継続”しながら、“期間限定”でやる」ことにしました。

そして、そんなわがままなわたしを受け入れてくださったのは、動画クリエイターのプラットフォームサービスを運営していた株式会社Viibarでした。動画でのアウトプットの仕方や、表現方法を学びたくて。すごくお世話になったし、いまでも一緒に旅行に行ったりご飯を食べに行ったりしています。

週3〜4日朝から夕方まで時給で働き、防災ガールの活動は始発から朝の勤務までと夕方勤務が終わってから夜までの時間と土日に。そうすることで活動資金もためることができたし、なにより時間に限りがあるからこそ無駄を省けよりシンプルになりました。


【社会課題解決に向けての知識や手法など情報の少なさ】

初めての起業、そしてとくにソーシャル分野で起業をしている知り合いは一人もいなかったので、わからないことだらけ。何が何だかわからないまま始めたので、たくさんの小さな壁にぶち当たりました。

どれも選択と決断をするための「情報不足」によるもの。そして同じ視点で活動する「仲間」がいなかったことが原因でした。

そこで私は、前述した「SUSANOO」というコミュニティに入ったことがきっかけで一気に道がひらけ、何かわからないことがあればこのコミュニティの仲間に相談するし、相談されたらなんでも力になると決めています。

みんな異なる社会課題に立ち向かう戦友であるからこそ、争うのではなくお互いを高め合い、サポートしあえる仲なのですごく気が楽で刺激的です。

(みんなだいすきだよーーーー❤️)

●3年目(2015.3-2016.3)

【メンバー間のコミット格差】

やる気のあるメンバーが思いっきり活動しようとしても、レスポンスの少ないメンバーの存在によってそのパワーを有り余らせてしまい、やる気のあるメンバーもモチベーションが下がってしまう…

これはどの団体も一度はけいけんしてきたのではないでしょうか!

もうこれって、いつでもコミュニティを運営するにあたってついてくる課題なんだなと感じています。コミュニケーションは強制するものでもないし、スピードや頻度はひとそれぞれ。興味がなければ入っては来ないから、みんなやりたいけれど本業や学業とのバランスや優先順位もある…もうこれは仕方がないこと。

でも事業を運営して行くにあたっては、一番ゆっくりの人にあわせてしまうと何も進まなくなってしまいます。

少し厳しいことを言いますが、「事前にどれだけのコミットが必要なのかちゃんと伝えていない」のが原因の一つです。どんなにいい人でも、求めるコミットメントの量や質がとれなければ「今は一緒にいるべきではない」のかも。何百人もメンバーがいるボランティア団体や学生団体ならまだしも、特に私たちはまだ人数が数人しかいない”スタートアップ”であることを忘れてはいけません。

そしてあくまで仲良しメンバーで集まっているのではなく、「特定の社会課題を解決するために集まった仲間」であることが前提。そこを目を瞑ってしまったらなんのための団体なのでしょうか。

私たちは、特にこんなことをやってある程度整理がつきました

・入る前に必要なコミットメント量や質を伝える
・最後は自分で決断してもらう
・定期的に状況をヒアリングして適材適所となるよう調整する
・コミットに段階をつける
(事務局、コアメンバー、メンバー、サポーターなど)

今は、「一緒に業界を変え、社会を変えていきたい人だけを求めている」と面談の時に伝えているので、それでもやりたいと決めた人たちだけが残っているため、それぞれが高め合えるいい関係になれています。


●4年目(2016.3-2017.3)

【団体が私を超えた】

これは伝え方が難しいのですが… ふと、「私の知らないところで勝手に団体が動いている」と感じたことがありました。

それは、メンバーがイベントで登壇したりメディアの取材を受けているということもありますが、それとは別に、知らないところで防災ガールの話をしてもらっていたり、私のことを知る前に団体のことを知る人が増えてきたということがあります。

これまでは、自分で言うのも恥ずかしいですが、自己紹介をするときは防災ガールのことを知らない人が多かったので「へえ、そんなこともしているんだね」という反応が多かったのです。ただ最近は、「ああ、あなたが防災ガールの代表だったんですね!」という私個人の前に団体が存在するという状況が増えました。

先日、秋葉原で自分たちが作った商品を身につけている人を見かけて自己紹介もせず「それ知ってます!いいですよねー!」と大きめの声で言いました笑(バレてないことを祈る)

これは悩みや課題というよりも、このアンコントロール感に少し不安になりました。自分が大切にしている想いが伝わらず、言葉や形だけが届いてしまっていないかと。でも何も届かない、知ってもらえないよりは嬉しいことだよねとすぐ理解したのでまあ、悩みではありませんね笑


【うちの団体ってオワコンじゃないか】

これは月に1度くらい襲ってくる波のようなもやもやなのですが、事務局やコアメンバーによくいうのは「うちって、オワコン*になってないかな」ということ。

オワコン:
ちょっともうオワコンって死語だとおもうんですけど、いわば「終わってる」「ダサい」「古い」「時代にあっていない」みたいなニュアンスです。

これを言うとちょっと悪口っぽくなっちゃうかもしれないんですが、諸先輩方が業界をひっぱってきて、轍を作ってくださったから今の私たちがいる。それは嘘偽りなくそうだとおもいます。ただ...時代はものすごいスピードで変わっている。

もう”お涙ちょうだい”の可哀想だから支援・寄付するというPR方法には人は心動かされないし、もう最低限のデザインが入っていないwebは読まれない。
いいことしてるでしょ!だから応援して!みたいな(ほんとうにいいことをしていたとしても) 偽善者にみえてしまうようなPRはもう流行らない。

社会の”課題”というどちらかといえばネガティブをポジティブに変えていく活動だからそういう伝え方や手法になってしまいがちなのはわかりますが、やはりもうちょっとそれは「オワコン」な気がしてならないのです。そんな感覚を、もっと私たちより若い子達からみて私たちがそうなっていたらいけないなあといつもオワコンチェックをしています。

みんなの団体や、伝え方、オワコンになってない?


●5年目(2017.3-2018.3)

【本当にこの手法で社会課題は解決するの】

これはいつも悩む。課題の解決方法なんていくらでもあるけど、その中で「この手法」を選択して間違っていないかと振り返ることがよくあります。

もちろん、色々試行錯誤した上で、これが最速・最大の解決策だと自信を持って活動していますが、実は自分たちのアイデア不足・視野の狭さ・スケールの小ささ・固定概念に凝り固まっている可能性があるのではないかと常にドキドキしています。

もっと現場で目の前にいる助けを求めている人のそばで活動することもできるし、すぐには変えられなくとも社会の仕組みを変えることでいつか大きな変化になり、もっと多くの人や環境を解決できるかもしれない。じゃあ私たちの選んだ解決策は本当に今ある選択肢の中で最善なのだろうか。。

この悩みを抱えた時は、他の起業家たちはどんな社会課題に対してどんな解決方法を選択しているのか色んなパターンを知り、どうしてそれを選んだのか、その”哲学”を聞くようにしています。

(実はこれを書いている瞬間も、ソーシャルスタートアップの聖地と呼ばれるウブドという地域にいるのですが、海外の方々にもヒアリングして学びを得ています!いえい!)

(先週ここで沐浴してきました!すっきり!!!)


そこで見つけた方程式はこちら。

もちろん解決の仕方はなんでもいい。それをダメ出しする人なんていません!でもなぜそれを選択するかというと、より早くより良い未来をつくるため。だからこそ、自分が興味が湧いた社会課題に、自分の強みを活用し、さらにこの時代に合わせることでさらに加速させ、継続的にできるように自分のスタイルにあわせていく。

私で言えば、右側のような感じ。(まだ模索しているけれど)

この方程式が成立した時に、モチベーションも高まり、成果が出しやすく、幸福度も増していきます。

実はこれ、後から気づいたのですがすこし”ikigai”を見つける方程式に似ています。ぜひこれも見てみてくださいね!


自分の課題解決パターンをもっておく

さて、これで最後になりますが...

これまで私は、悩んだ時は2週間程度海外に旅に出てきました。これを理解してくれる仲間と一緒に仕事できていることがもう幸せなのですが笑

(海外でもある程度重要な仕事は止めませんが、イランにいったときはgoogleもfacebookも使えなくてすごく迷惑かけました笑)

どんな課題もその場で立ち止まっていても何も解決しないので、まずはチームメンバーに相談したり、それでも解決しにくいことは似たような課題を経験した人に相談、それでも解決しない課題や悩みは自分自信に問題がある(自分次第で解決できる)ことが多い。だからこそ、解決に向かうよう自分自身にいい刺激を与えるようにしています。

もともと大学時代にバックパッカーだったこともあって、非日常に身を置くことで心身共に刺激され、新しいアイデアが生まれたり、新たなイメージを膨らませることができる自分のトリガーを知っていたのでわたしは「海外に旅に出る」ことを選択していますが、それは人それぞれ。

ぜひ自分がもやもやしたときや、なんだか解決できない課題があるときは「これをやるとすっきりする」「これをやったときに解決しやすい」などのパターンを持って置くといいと思います!


なんだか最後は精神的な話になってしまいましたが笑


とにかく立ち止まって考えても何も解決できないから、
わざと間違えたり、失敗しにいくつもりで行動したほうがいいよ!


選択肢を増やしたり減らして、だれでもなく、一番自分がとりたい選択肢をとってね!

そして新しいタイプの悩みがでたら、

「次のフェーズに登ったんだな」っておもって悩みや課題を楽しんでね!


そもそも私たち課題解決するために活動していますし。

という叫びで終わりたいと思います。


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ええええいいんですか!ありがとうございます!スキー!!!!
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田中美咲

NPO・ソーシャルスタートアップ

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