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日本のてっぺんで世界平和を祈るために富士山登ってきた(2017富士登山の記録)

なんのために山に登るのか。
「Because it there」
なんてことではなく、
ただ友だちと喋りながらだらだら散歩するのが楽しいだけで、標高200mクラスで充分、ちょっとがんばって丹沢(1,000m級)行くけど、今後は九合目まではロープウエイで行かれる2,000m級の山で苦労せずに景色だけ楽しみたいなどと考えているハイキング専門の私ですが、今回人生初登山・初富士山行ってきました。

きっかけは2016年の夏、Facebookで友人がアップした富士山頂でたくさんの人が御来光を見ている写真を見たことから。多国から来たであろう人たちのカラフルなウエアが朝日に照らされた様子は神々しささえ感じました。きっとこんな神聖な場所では邪念もなくなりみんな世界平和を祈るに違いない。夏は世界中からみんなが来て毎日ここで祈っている。こんなところ他にないじゃない!と感動し、自分も富士山に登って御来光にお祈りをしたいと思ったのです。

とはいえ周りに富士山登る人は見当たらず、行けたらいいなくらい思っていたところ、ミサリングファクトリーの生徒さんであるゆっこちゃんがご主人と何回か登っていて「今年も行きますが一緒に行きませんか。」と声をかけてくれたのです。お盆の時期の山小屋は4月には予約しないといっぱいになってしまうそうで迷いなく「行きます。」とお返事。

友人たちと作っている山のお散歩クラブ(通称山部)部長の塚田氏が富士山行くならその前にどこか登ってトレーニングしないと、と7月にバカ尾根往復(塔ノ岳)の計画を立ててくれて行ってきました。塔ノ岳は標高1,491m(登山口からの標高差1,218m)。登山て要するに標高差なんで、バカ尾根日帰り経験しとけば1泊2日の富士山(吉田口ルート標高差1,410m)は楽勝というのです。バカ尾根は全然楽勝じゃなかったけど、事前に1,200mの行程を実感できたので気持ちに余裕ができました。ゆっこちゃんたちも「バカ尾根往復できるなら大丈夫」と少し安心してくれたと思います。

8月12日〜13日が登山予定日。この時期になって関東地方は雨続きです。前日に天気予報を見ると13日が雷雨になっていたりして、今回は登頂どころかもう中止?くらいの悪天候でした。でも行ってみないとわからないのが山。ひとまず予定通りの準備をして12日早朝4時、自宅出発。ゆっこちゃん家に5時に到着してそこから車に同乗して富士北麓駐車場へ向かいました。

6:45分富士北麓駐車場到着

富士山は夏のシーズンマイカー規制をしています。ここに車を停め、ご一緒するもう一組のご夫婦と合流し、シャトルバスで五合目へ。

8:05分 五合目到着
1時間ほど滞在して高度に身体をならします。天気は霧雨。予報では13日の午前は晴れ予報に変わっており、御来光見られるかもという状況。うん、ペルセウス座流星群も御来光も見られるに違いない。いいイメージ作ります。

登山届もちゃんと出しました。

9:15 五合目(標高2305m)スタート

雨は降ったり止んだり。涼しいので半袖にレインウエアの上着だけ。曇っているので景色は見えません。でも暑さで体力を奪われることがないので楽に登ることができました。

10:10 六合目(標高2,390m)到着

五合目から55分(通常50分)。少し休んで七合目に向かいます。
途中晴れ間も出てきました。やっぱり景色が見えるとテンションあがります。下に雲海を見て高いところに登っているんだと実感。レインウエアを着たり脱いだりして暑さを調整しながら登ります。

11:45 七合目(標高2,700m)花小屋到着

六合目から95分(通常60分)。ちょっと時間かかりましたがゆっくりゆっくり途中休憩をこまめに取りながらなのでこんなもんかな。

ここからちょっと危険な岩場も出てきます。

12:15 七合目トモエ館到着

12:30 鎌岩館到着(標高2,790m)

13:10 鳥居荘着(標高2,900m)

山小屋ごとに10分ほどの休憩を取ります。

14:25 八合目太子館到着(標高3,100m)

ついに3,000m到達。3,000mを越えるとさすがにちょっと違います。深呼吸をしたり、携帯酸素を吸ったりするのだけれど、少し登るとすぐ疲れるのでまめに休憩を取ります。ただ、休むとまた歩き始めが苦しくなるので休みたいなと思ってからもうひとがんばりしてから休憩、を繰り返しゆっくり登りました。若干冷えてきたのでレインウエアの下に長袖を1枚追加。

15:00 八合目蓬莱館到着

15:45 八合目白雲荘到着

気温は14度。風もないので歩くのには寒くもなく暑くもなくちょうどよい気温。

16:45 本八合目トモエ館到着(標高3,360m)

七合目から4時間20分(通常3時間)。私達が泊まる山小屋はもうちょっと上の御来光館。だいぶ時間はかかってますが今日はもう泊まるだけなので焦りもなく、無理のないペースで登ります。わたしとしては15時には御来光館に着くつもりだったのでちょっと悔しかったけど、登れないものはしょうがない。

17:10 八合五勺御来光館到着(標高3,450m)

スタートから8時間(通常6時間10分)。ついに今夜の宿に到着。まだ明るいうちに着きました。それにしても空気が薄い。ちょっとずつ身体を慣らしながら登ったつもりでも頭痛がします。
雲海と夕陽という素晴らしい光景も見られました。登山中の天気といい、心配していたのが嘘のようにすべてラッキー続き。

御来光館は一番上の山小屋です。1日目にがんばってここまで登っておくと翌日が楽です。夕ご飯はハンバーグ弁当。翌朝の鮭弁も作ってくれてありました。(食事付きは選択制です。)

寝るスペースは一人分が80cm×200cmくらいかな。3人分のスペースが一区画。ぎゅうぎゅうですがちゃんと布団が敷いてあり、わりと快適。他の山小屋はもっと狭いしシェラフだとゆっこちゃんが言ってました。私にとっては人生初山小屋です。
着替えはもちろん持っていきましたが、大して汗もかかなかったので着の身着のまま寝ました。洗面所もありません。水だけで歯磨き。

1時半起床の2時出発の予定で、19時には睡眠…といっても全然寝られない。頭は痛いし周りはうるさいし暑いし寒いし身動き出来ないし空気は薄いし。でも明日のために体力を回復しないといけません。眠れないのは仕方なく目を閉じているだけでも休息です。しかし6時間もじっと身体を横たえているのって結構大変。飛行機乗った時に眠れないのと同じ。もっと大変か。
途中あまりにも頭痛がひどいので鎮痛剤を飲みました。そんなに治まらなかったけど少しは緩和。時間が遅くなってまわりが静かになってきたこともあり2時間くらい眠ったようです。目が覚めると12時半。もうすっきり目が覚めて寝てられない。ゆっくり起床の準備を始めました。
トイレに行くのに外に出てびっくり。下の方からヘッドランプの長蛇の列(動画有)

上を見上げると山頂まで続いています。山小屋の周辺には野宿をしている人たち(外気温5度以下!)。無断で山小屋の中に入って仮眠を取っている人、登山道のロープの外側でテントを張っている人までいます。これは禁止されてることなのでしてはいけません。いやー、すごいな。

1:45分 御来光館出発
さすがに外は寒いです。ダウンにフリース、レインウエアの上下、ニット帽という装備で。ここからは60分の距離なのですがなにしろものすごい大渋滞。渋滞するとは聞いていたけど本当にすごい。岩場もあるのに追い越していく人もいたりしていろんな意味で危険。九合目〜山頂は一番苦しい時間帯です。ちょっと登ると息が上がり深呼吸すると胸が痛い。頭痛もガンガン。そんな時は脇に逸れて酸素を吸って水分を取って頭痛が取れるまで休みます。暑くてフリースは途中で脱ぎました。空にはペルセウス座流星群。流れ星がバンバン流れていたのですが、「すごーい!」とみんなが歓声をあげていますが首を後ろに回すのさえおっくうです。それでもいくつかの大きな流れ星を見て「わぁ」と軽くびっくりするくらいはしてみました。

4:00 富士山頂上(標高3,715m)
御来光館から2時間15分(通常1時間*)ついに頂上!鳥居くぐった時はほんとに涙出た。辛かったーー。もうやだーーー。
 *五合目から8時間25分(通常6時間10分)

そして山頂も大混雑。ここは竹下通りか。まだまだ下方から人が登ってきます。御来光が見える場所に陣取り、座ったらもう動きたくない。ぐったり。富士山登頂成功に感動する元気もちょっとしかありませんでした。ちょっとはあったよ。

この日の日の出時刻は4時51分。それまでぼーっと座っています。寒いけどしっかり装備で我慢できる程度。それにしても空気が薄い。まわりは大変な混雑です。遠くのほうに最高峰の剣ヶ峰(標高3,775.6m)が見えるけどもう1mも登りたくない、お鉢めぐりなんてとんでもない、早く御来光見て下山したいという心境。

そしてついに御来光です。雲海の上下がどんどん明るくなっていき、太陽が顔を出しました。乳白色の雲海、ピンク色の空、下から登ってくる太陽。見たことのない神々しい景色です。これを見るためにここまで来たんだなと思うとさすがに感動が広がりました。御来光をFacebookでLIVE中継(動画有)し、登った太陽に手を合わせて登頂できたことへの感謝と世界平和をお祈りしました。

日が昇るともうとにかく下りたい!笑
一緒に行った皆さんが所要を済ませるのを待って下山です。
写真を撮る気力もなかったのですが一応お鉢方面もパチリ。あそこが最高峰(3775.6m)剣ヶ峰…かな。

ロープの中は入っちゃいけないのにたくさん人が。落ちるよ。

6:15 下山開始
下山道は砂利道を一気です。段差がなく自分の歩幅で歩ける砂利道は私には楽。下山道は幅が広いのですがやはり渋滞しています。「こういうところで転ぶとまわりにも迷惑だよね」と言った瞬間に1回転びました。注意していてももう脚に力が入らないのでずりっと滑るのです。富士登山用に今回買ったストックが登りも下りも大活躍。段差時や砂利道の身体の負担がだいぶ軽減されます。

疲れているものの下山道は高山病の心配もなく気持ちも楽です。かなり雨が降ってきましたがそのお陰で心配していた砂埃がなくよかったです。

10:15 五合目到着

頂上から4時間(通常4時間5分)。途中何度か休憩しながらほぼオンタイムで無事下山〜。富士山アタック成功です。

雨もひどかったので五合目では休憩せず、さっさと車まで戻ろうということになり、下山後すみやかにバス停へ向かいました。バス停はかなり人が並んでました。雨の中、傘もなく(レインウエアだからいいんですけど)じっと待ちました。私たちはかなり早くに並んだ方ですが待っている間にバス待ちの列はどんどん伸びていきます。シャトルバスは30分おき。最後尾はいつバスに乗れるのか。疲労困憊してやっと下山したのにそこからバス数時間待ちとかありえないな。3台目にやっと乗れて駐車場まで戻りました。

帰りに温泉寄ってほうとう食べてさっぱり。

上りの東名が渋滞しており横浜到着は19時でした。(ほうとう食べるのに店が混んでて2時間くらいかかったせい)

行きも帰りもガスっていたため一度も富士山の姿を見られなかったので、さっきまで富士山の頂上にいたという実感もなく帰ってきました。

【今回の発見】
富士山では行き交う人がこんにちはを言わない。あんな人数言ってたら大変だけど。
外国の人がものすごく多い。特にアジア系。
若い人が多い。(山頂で御来光の行程だからではないかとのこと。)
山頂は意外に俗っぽかった。
3,000m級の山なのに軽装備の人が多い。なめてるでしょ。
馬が人助けをしていた。
登山のおやつにはスニッカーズとこんにゃくゼリー(袋タイプ)←個人の感想です。
なにはなくとも携帯酸素。タブレットや水に溶かすタイプもあるけど携帯酸素が一番効く。登下山で2本はもっていくといい。軽いし。

【今回の学習】
・とにかく無理をしないことと装備の重要性。若い人なら体力で乗り切ってしまうのでしょうが、快適な機能性ウエア、負担を軽減してくれる靴やストック。こういう装備が体力の無さをカバーしてくれます。
・荷物はなるべく軽く。行く前に重さを量ろう。小柄な女性なら5kg目標。私は量っていかなかったけど7kgくらいあったのでは。今回涼しかったので水をあまり飲まず1kgくらい無駄に運びました。山小屋がたくさんあるので水は高くても必要に応じて買う方がよいかも。
・山部部長は「登山は要は標高差だから。塔ノ岳も富士山も変わらないよ。」と言ってたのでなるほどと納得してたけど、高地は甘くなかった。体力的には余裕があったけど2,000〜3,000mの山は少し登るとすぐに息が上がってしまうので1,000m級の山登りとは全然違います。

・山歩き未経験の人は低い山で基本を身につけてからチャレンジしましょう。歩幅、体重のかけ方、ペースの取り方などを知らずにいきなり富士山は辛い思いばかりになってしまうのでやめたほうがよいです。

・富士山はさすがにいろんな装備が必要です。一度に全部揃えると大変なのでちょこちょこ買い足して揃えていきましょう。
・高山病はゆっくりペースで登っても、なるときはなるというのは誤算でした。頭が痛くなったら無理をせずその高度で順応するのを待つこと。頭痛は休むと治ります。携帯酸素が有効。頭痛をおして登ってしまうと絶対治らないそうです。
・万が一の時のために保険に入りましょう。今回私はモンベル野あそび保険に入りました。1泊2日で掛け金250円・500円です。

生徒さんで富士山行ってみたいという人多かったので、「じゃあ、ミサリングファクトリーで富士山行こうか。」なんて軽く言ってたけど無理。今回は真夏とは思えない涼しさで体力を消耗しなかったのと、ゆっこちゃん夫妻がいろいろとフォローしてくれたのでアタック成功しましたが、灼熱の登山だったら無理だったんじゃないかと思ってます。また、下りてきてあらためて実感したのが初心者を富士山に連れて行くことの大変さです。今回3名の富士登山初心者を連れて行ってくれたゆっこちゃん夫妻のすごさに敬服。心から感謝しています。そしてミサリングファクトリー山部は結成前に解散決定です。笑

ものすごく楽しかったし行って本当によかったと思っているのですが、相当辛かったので、「もう富士山は見るだけでいい。」「もう登らない。」と散々言いながら帰ってきました。しかし。帰宅して写真を見たり、もらったアドバイスブックを見ていたら、次はこうしたらいいのかとかああすればよかったかなとか思い始め、また行きたくなってきちゃいました。山頂で御来光というのはもういいけど、違った富士登山をするのはいいかなと思います。富士登山で得た経験、心のゆさぶりは思っていた以上のものでした。さすが日本一の山。

下山後の筋肉痛はいかに。今日のところ(翌日)はまぁまぁです。

世界遺産に指定され、ますます観光化が進む富士山。マナーの悪い登山客によるルール違反や環境破壊なども懸念されています。マナーを守って事故のない楽しい登山をしてほしいと思います。

【今回の装備】
ナップザック(30リットル)+ザックカバー
トレッキングブーツ
Iグリップのストック
ゴアテックスレインウエア
速乾性Tシャツ(2枚)
速乾性アンダーシャツ(2枚)
サポーテックタイツ
ラッピングスカート
中間着(長袖の速乾性シャツ)
トレッキングソックス
フリース
ウルトラダウン
ネックウォーマー
アームカバー
スキー用手袋
軍手
サングラス
帽子
ヘッドランプ
携帯酸素
水(500mlのペットボトル)
オーエスワン2本←暑くなかったので水の方がよかった。
携行食
ハンカチ
ポケットティシュ
ロングタオル
絆創膏
鎮痛剤
アロマオイル
精製綿
モバイルバッテリー
スパッツ(砂よけ)
日焼け止め、化粧水、化粧品
ゴミ用袋
細かいものはジップロックに入れておく
小さいお財布に必要最低限のお金
保険証
免許証

【車に置きっぱなし】
温泉グッズ
デジイチ←使わなかった

晴雨兼用傘

【次回準備したいもの】
ペットボトルをリュック前方につけるなんか
フォームパッド(座る時下に敷くもの)
スニッカーズ←おいしそうだった
冷凍こんにゃくゼリー←もらったのがおいしすぎた


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