わたしは普段は息子が営む「南インド屋」というネットショップの手伝いをしています。

でもわたしのただひとつの天職は個人セッションであると信じています。現在はビデオ通話と通話の遠隔セッションと札幌市内近郊の対面セッションのみを行っています。メールでの個人的な悩み相談が多く、真摯に対応しきれない状態ですので公開でお答えすることにしました。

お読みの方で何かご相談があればご連絡ください。メッセンジャーもしくはbocellisogno@gmail.comまでお待ちしております。

今日のご相談です。霜だたみさん、お待たせいたしました。

結婚15年子供2人パート勤務40代です。夫とは幼馴染で大人になってから再会して結婚しましたが。細やかな心遣いができる人で良い父親だと思っていました。夫婦関係もうまく行っていました。つい最近夫が女性用の下着を身に着けていることを知りました。問い詰めるとずっと自分の心は女の子だと思っていたそうです。驚きのあまり怒ることも泣くこともできずにいます。40過ぎのオジサンが自分は女の子だと思っているなんて。そしてそれが自分の夫だなんて。私は女の子と結婚したの？私って何なのでしょう。混乱しています。夫は女の子の心である自分をそのまま受け入れて欲しい。離婚はしたくないそうです。

ご相談をありがとうございます。人生にはまさかの坂があると言いますが、霜だたみさんの坂はご主人が実は女の子だったということでしたか。

驚きですよね。世を忍ぶ仮の姿が遊び人の金さんだったのが実は北町奉行遠山景元だったのはテレビでお馴染み遠山の金さんです。見た目は子供、頭脳は大人は名探偵コナンでしたね。

普通の夫だと思っていたら実は王子様だったとか、某国のスパイスだったというのはロマンス小説の世界ですがね。

実はショッカーだったとか実は狼男だったというよりは良いではないですか。あ、慰めにはなりませんね。

霜だたみさん、このことは慰めるとか励ますということではないですよね。ご主人のまあ「下着のみ女装趣味」（以降略して趣味と表記します）というものは盗んだ下着でない限りは法律違反ではないですからねえ。勿論これが公になればとても暮らしにくい状態になることはわかりますよ。ママ友やパート仲間、町内会にも親戚縁者にも知られたくない。ご主人の会社関係にもね。

霜だたみさん、どんな方にも秘密のひとつやふたつはありますので、まずは気持ちをしっかりと持って、できるだけで良いです。食事をして眠ってください。

気持ちが落ち着くまでには時間が必要かと思います。仰天するような出来事があっても人は時間が経つと慣れるものなのです。ちょっぴりだけ心が落ち着いたなあと思ってからこの先を読んでくださいね。

世の中にそういう趣味を持つ男性は珍しくないようです。わたしの知り合いにも存在します。わたしが彼からその話を聞いた時には大層驚いたものです。だって寧ろ男性的とさえ見える彼、ごく一般的な家庭を持つ彼が心の中に女の子を住まわせているなんて。若い頃だったら受け入れられなかったことと思います。気持ち悪い！と逃げ出したことでしょう。

でもねなんだか納得しちゃったのですよ。彼が心の中に女の子を住まわせていること、実際の自分の姿と心の差に戸惑うことが多かったこと。今は密かに女性用の下着を身に着けることで良い塩梅のバランスをとっているらしいこと。これが彼が生きていくために見出した最適解なのであれば「良かったね」と思うしかないのです。

そして彼が特に親しいわけでもないわたしに（わたしは親しい男友達いないのよ）このことを打ち明けたのは、彼はわたしのことをお仲間だと思ったからなのですよ。

58歳になってもまだ心の中に女の子どころかお姫様を住まわせているわたし。普段は凄味のあるオバサンとしてのご利益を享受しているくせに時折心の中のお姫様へのご進物として妙に可愛らしいハンカチや箱入りのお菓子を買って喜んでいること。独り言の一人称はみさちゃんであること。どれをとっても40代男性の女性用下着姿に負けない不気味さですよね。知人は同類を見つける鋭い嗅覚でそんなわたしを見破ったのですね。

人は世の中に見せる姿と内面の姿に落差があるものなのですよね。わたしが小学生の時にドリフターズの公演が終わった後に黒塗りの車に群がる田舎の子供をふんぞりかえって無視する高木ブーさんの姿を今でも憶えています。霜だたみさんがご主人の趣味が平気になる日はなかなか来ないと思います。どうしても許せなかったらお別れすることも選択の一つです。でも「気持ち悪い！」って拒否反応を起こした時に「58歳威風堂々八島操がFeilerの眠り姫のハンカチを買って嬉々としている姿もけっこう気持ち悪いな」と思い出してくれたら幸いです。

霜だたみさんの心がやすまることを願っています。