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正しい言葉と教えるということ

”その言葉が、真実ではなく、事実ではなく、利益をもたらさないと知るなら、ブッダはその言葉を語りません。

その言葉が真実であり、事実であり、利益をもたらすと知るならブッダはそれを語る時を知っています。

その言葉が真実であり、事実であり、利益をもたらすと知り、適切な時である場合、聞く人が「好まず、不快なもの」か、あるいは聞く人に「好まれ、喜ばれるもの」かにかかわらず、ブッダはその言葉を語ります。”

(中部経典58)『エイトマインドフルステップ バンテ・H・グナラタナ著 出村佳子訳』より


先日、湘南ダンマサークル主催の出村佳子先生をお招きしての八正道勉強会に参加して来ました。教材は出村先生訳・グラナタラ長老著の「エイトマインドフル・ステップ」。今回のテーマはStep3 正しい言葉。

深くは話合われなかったのですが、「(今は多少変わってきているかもしれませんが)日本の教育は間違いを指摘して正す傾向にある一方で、アメリカの教育は褒めて伸ばす姿勢があるのではないか?」というお話が出ました。

なるほど、日本人は(と一括りに断定してはいけませんが)礼儀正しさなどが賞賛されることがある一方、自己や他者に要求するスタンダードレベルが凄く高いのではないのか。親や先生がなかなか子供を褒めない、自分自身に対してなかなか満足できない。その裏には”この程度ではない、もっと出来て当たり前”というような自己や他者に対する過度な期待があるのではないか。これがいい面では礼儀正しさや協調性の高さ、悪い面では窮屈さやストレス、個性を潰すことなどに繋がるのではないかなと感じました。

一方でアメリカでの褒めて伸ばすやり方。こちらはそれなりの研究や理論があってやっていることなのかもしれませんが、もしかして”楽しいほうがいいじゃん、イェーイ!”っていうアメリカ人的?ノリみたいなものの産物だったりして。クスッ。と妄想してしまいました。

余談ですが、その昔、趣味でボルダリングをやっていた時期がありました。ボルダリングというのは岩場で登るルート(課題)を設定し、設定者がそのルートにグレード(難易度)を付けます。このグレーディング、日本人の付けるグレードはめちゃくちゃ辛くて、欧米人が付けるグレードはめちゃくちゃ甘いという話を聞いたことがあります。(笑)


さてタイトルの後半、教えるということの方。まだまだひよっこな私なのですが気功の先生というお仕事をさせて頂いています。

先生という仕事をする中で人にアドバイスするという大切な役割がありますが「慢」の強い私にとって、これが本当に難しくもあり、またとても自分の学びになることでもあります。

アドバイスするということは、自分と人を比べて、相手を自分の思い通りに変えることではないんだなと。

相手の幸福を考え、相手の利益に繋がることを、理性と客観的な視点に基づいて伝える。自分がその人にこうして欲しいこと、こうあって欲しいことを伝えるのではない。

シンプルなことなんですけど・・・。結構難しいんですよね。実行するにはものすごく強力なサティ(気づき)が必要だと感じます。

そして、教えることを通し自己のメッター(慈悲)を培っていくこと。日本には情けは人の為ならずという言葉がありますが、慈悲の心は他者と自分自身を幸福にするお守りのようなものかもしれないなと感じています。人と自分を比べていても決して幸せはやって来ないのでしょうね。教えるということは、本当に自分自身を育ててくれるなぁ。

Image by Sasin Tipchai from Pixabay

#初期仏教  #ダンマを日常に

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