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コスメフリークはブスばかり

 この衝撃的な一文を見て、落ち込まずにはいられなかった。私もかつてその一人だったのだ。美容雑誌は欠かさず購入し、新商品が出れば化粧品カウンターへ赴いた。それだけに「ブスばかり」と言われると、かつての自分を否定された気持ちになる。

 「化粧をする」といっても人によって程度は違う。隠す要素の多いベースメイクだけをしてそう言う人もいれば、彩る要素の多いポイントメイクだけでも化粧をしていると言える。フルメイクをしてもベースをBBクリームとパウダーだけですませている人がいる一方で、下地、ファンデーション、コンシーラー、パウダー、ハイライト、シャドウなど作り込む人もいる。化粧はコンプレックスを隠すためにするのか、チャームポイントを引き立たせるためにするのか、それはどちらも正解だと思う。私は、隠すこと、彩ること、両方あっての化粧だと考えている。

 コスメフリークを卒業して何年も経っただろうか。やめたのは明らかにコストパフォーマンスが悪いからで、化粧品に使用期限さえなければ今でも買い漁っていたと思う。どうやりくりをしたところで顔はひとつ。毎日化粧を変えたところで使いきれる化粧品の量は限られている。というわけで化粧品(自分の顔)への投資はほどほどに他の趣味に散財することとなった。

 そうは言っても顔は常にここにあるわけで、化粧への興味は尽きることなく化粧歴はおおよそ10年となった。先日、文房具以外の趣味について聞かれ、非常に答えにくいものの正直に化粧品の話題を持ち出すと、何年ぶりだろうか。大いに盛り上がった。相手も化粧品が好きだったのだ。10月発売のFLOWFUSHIモテライナーを購入した悦びと感想を報告する相手がいないままうずうずしていた私は数年ぶりのコスメトークに花を咲かせ、大満足だった。

 何かを好きだと言うことには抵抗がある。私には他にも化粧品を始めとするいくつかの趣味がある。共通の話題として盛り上がるにはいいけれど、普及活動をしているわけではないので個人的に楽しめばいいのだけれど、化粧に関しては好きだと言えば、「化粧品好きで完成品がこれ?」と顔面や体型を心の中で冷笑されているのではないかと思い、公言しづらい。

 しかし、コンプレックスを隠すために化粧を始めた私は、もし自分が生まれながらの美女だったとしたら、化粧はほどほどに不美人が必死でメイクをする中「すっぴんでも美しい私」をアピールしていると思う。すっぴんですみませんとかいうハッシュタグをつけてSNSに写真を投下する勇気など私にはない。

 でもめげない。コスメフリークな私の友人は皆もれなく美人だし、そもそも、化粧は時々面倒で、大抵楽しいことだから。好きでいいんだ。これからは化粧が好きだということを公言し、美容情報を聞き続けたい。

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