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しょうがない、と許していい空。

いつもと変わらない朝。雲ひとつない。薄いカーテンに太陽がまっすぐに飛び込むけれど、風に揺れかわされる。床には木漏れ日がゆらゆらと。カーテンはふくらみ、しぼむ。まるで呼吸をしているみたいだ。

みずいろの空は、濃くなく、薄くもなく。チューブ絵具のキャップをくるくると開け、キャンバスにみずいろを押し出した。少し湿った筆を乗せ、迷いなく引く。すっと大きく、世界中すみずみまで。今日の空は、そんな色だ。

「しょうがないよね」と思えることが増えた。それと同時に何かに苦しんでいるときは「しょうがない」をうまく味方につけられていないときだと、気づいた。

執着してる。手放せないでいる。

そんなとき、心はアイスが溶けたようにドロドロだ。わかる、溶けていくのが、わかる。溶けて形がなくなれば、ひとりで立っていられなくなる。頼りたくなる。肩をもたれかかりたくなる。荷物を持って欲しくなる。ああ、これが依存か。そう気づくのにたくさんの涙を流してきた。

残酷なのは気づいたからといって次の日から直せるわけではないということ。死ぬまで完璧はないと許せたら少し楽になれた。わたしは生まれてこの方、本気の本気で完璧であらなければならないと生きてきたようで。それは壊れても仕方ないね、一度壊れておいてよかったね。といまなら言えそうだ。

自分の気持ちは自分で整え、バランスをとる努力をすること。人によってやり方は違えど、少しでも自分の足でまっすぐ立てるようみんな一生懸命生きてるんだ。自分の足で立てれば、人をほどよく頼り、甘えることもできるんだね。

寂しい。かまってほしい。愛してほしい。

そんな感情は、呼んだらすぐ駆けつけてくれるご近所さんのよう。気を抜くとつい長話をしてしまい、ペースを飲まれてしまうから要注意だ。

でもしょうがない。人だから。そういうときも、あるから。自分も人も、許してもいいんだ。大事なのはそのうえでなにを積み上げるのか。どうせなら楽しく、面白く。


いまこそ知恵の絞りどき。

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