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忘れられた巨人 カズオ・イシグロ

本書での巨人は?一体?

本紙の最後まで巨人が何なのか明確には答えがなかった

個体なのだろうか具現化された何者かなのか

それとも形のない状態をさすのか

わたしは過去の記憶が彼らの巨人であったような気がする

アクセルとベアトリスは、二人が一緒に
しあわせに暮らせる島にわたる前に気づく事実

過去の二人の間の辛い記憶も次第に思い出しながら
それでも寄り添っていた二人が
霧の深い川岸で離ればなれになる
夫婦間にで決して許すことができない事柄も
お互いの過去の過ちを霧が隠すことによって
いたわりあい愛し合える存在だった
自分たちの絆は強固なものだ大丈夫だと信じていた二人

同じ船で渡ることを切に願った二人だが

アクセルはベアトリスが別々に川を渡ることを選択した時点で
アクセルの気持ちが固まったのだろうと思った

妻をお姫様と呼び愛情で包み込む夫は 彼の記憶の中の妻の不貞を許せなかった

最後の抱擁の後

哀切なシーンで終わった

イギリスのEU離脱 移民問題 をテーマだったことに
壮大すぎる内容に胸が押しつぶされそうに

国を守るのか 人を守るのか 解決されることなく続いていく問題

経済問題から宗教や文化の違い民族間の争い集団心理や環境などで起こる争い

ロシアとウクライナの戦争のように

中国のウイグル族弾圧 中国の台湾統治

アフガニスタン紛争 シリア内戦 クルド対トルコ紛争

記憶に新しい出来事

何故 紛争や戦争を止めようとしているはずなのに

何故武器を提供するのだろうか

モヤモヤが残り 自分の生きてきた記憶と照らし合わす

受け継がれる歴史

この世界での人間関係は 善と悪 明と暗 白と黒 判断できない

戦争や侵略を繰り返してきて今に至る

エドウインがウイスタンに教え込んだブリテン人への恨み憎しみ
韓国人が日本人の過去の過ちを許さない感情が同化した

先住民であるアメリカのインディアンにしても日本のアイヌにしても
侵略されてきたのだ 勝ったものが歴史を湾曲する
それが正義だ

わたしの父親は仕事はしたが酒豪でお酒に飲まれるタイプの男だったが
子供から見た父親像はさほど悪くはなかった

母親に関しては愛情の薄い女だったと子供の私はそう感じ取っていた

収入のバランスはわからないが
かなり父親の酒代に収入は消費されていたのだと感じれれる

いつも不機嫌な母親、自由な父親

夫婦間の繋がりは子供にはわからないが

何度も喧嘩をしている場面を目の当たりにしてきたので
仲は良くなかったと記憶する

しかし母親の終期には父親は号泣し悲しみを体全体で表していたここと

すこし驚きながら私は見ていた

お互いの過去の過ちを忘れることもなく常に心の底に持ち歩いていても
それは薄れることはなくとも歳月を重ねることにより許すことができるのだろうか
それとも自分自身が霧を作り出しその過ちや受けた傷を包み込むことができるのではないだろうか

大きな悲しみも忘れはしなくても時が解決してくれる

#忘れられた巨人
#カズオ・イシグロ
#夫婦
#わたしの本棚


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