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韓国時代劇を観る。

韓国のドラマを観るようになってから、最初はなかなか観る気が起こらなかったのが時代劇です。時代劇という性格上、演技が過剰になりがちだし、物語もベタだっていう先入観もありました。しかしそれ以上に入り込めなかった理由は韓国時代劇の用語です。官職や役所の名前や役割など、全くチンプンカンプンなので、それを理解しようともがいている間に物語を追えなくなってしまうのです。だから時代劇はなかなかに敷居が高いのです。

なんぞと言いつつも徐々に何編かの時代劇を観ていると、自ずとその辺は慣れてきて、やっとその頃には時代劇を楽しみむことができるようになります。そうすると今度は何本かに1本は時代劇を観ないと気が済まない状態になります。

ただ時代劇は恐ろしく長いものも多くて、20話を超えるような作品(『トンイ』とか『宮廷女官チャングムの誓い』とか『イ・サン』とかああいうやつです)は僕は根性がないので観ていません。だからここで選んだものは、20話以内に収まっているものだけです(「還魂』はパート1が20話なので入れました)。そういう条件のもと10作品を選んでみました。結果的にいかにもベタな時代劇は選んでいないつもりです。




『赤い袖先』

2021年/原題:옷소매 붉은 끝동
脚本:チョン・ヘリ
演出:チョン・ジイン、ソン・ヨンファ
出演:ジュノ、イ・セヨン、カン・フン

本作は朝鮮王イ・サンと宮女とのナイーブなラブロマンス。この時代の女性としては、極めて稀な自立した女性と、王との愛情をを描いた美しい時代劇でした。イ・セヨンがはまり役。


『還魂』

2022年/原題:환혼
脚本:ホン・ジョンウン
演出:パク・ジュンファ
出演:イ・ジェウク、チョン・ソミン、ファン・ミニョン、ユ・ジュンサン、シン・スンホ、オ・ナラ、チョ・ジェユン、カン・ギョンホン、ユ・インス、アリン

ダークファンタジーで時代劇という、およそ韓ドラ初心者は手を出さない設定ながら見始めるとこれがはまる。各々のキャラクターが個性的で、ステレオタイプの時代劇ではない。30話で完結だが、シーズン1は20話まで。


『恋人』

2023/原題:연인
演出: キム・ソンヨン、チョン・スジン
脚本: ファン・ジンヨン
出演:ナムグン・ミン、アン・ウンジン、イ・ハクジュ、イ・ダイン、キム・ムジュン、チョン・ヘウォン

後金(清)が朝鮮に攻め込み、武力で朝鮮を属国化させた丙子の乱の激動の中、すれ違いや紆余曲折を経験しながら、固く愛し合った男女の壮大なラブロマンス。ナムグン・ミンにハズレなし。ラストは号泣です。


『コッソンビ熱愛史』

2023年/原題:꽃선비 열애사
脚本:クォン・ウンミ
監督 :キム・ジョンミン
出演:シン・イェウン、リョウン、カン・フン、チョン・ゴンジュ、オ・マンソク、ハン・チェア

一見穏やかなようでいて実はサスペンスフルなプロットです。市井の物語から、徐々に王室がらみのドラマへと連なっていく。シン・イェウンは笑うと表情がクチャっと崩れて愛嬌があるので、物語の深刻さが救われる。


『最愛の敵~王たる宿命~』

2022年/原題:붉은 단심
脚本:パク・ピルジュ
演出:ユ・ヨンウン
出演:イ・ジュン、カン・ハンナ、チャン・ヒョク、チャ・スンベ、ホ・ソンテ、パク・ソンヨン、パク・チビン

チャン・ヒョク以外は配役も地味だし、世間的な評判も全く聞こえてこないのですが、ストーリーもスリリングだし、構図や色彩などこれだけ美しい映像の時代劇なんてそんなにないと思います。これ隠れた傑作です。


『シュルプ』

2022年/原題:슈룹
演出:キム・ヒョンシク
脚本:パク・バラ
出演:キム・ヘス、キム・へスク、チェ・ウォニョン、ムン・サンミン、ペ・イニョク、ユン・サンヒョン、ユ・ソンホ、オク・ジャヨン、キム・ガウンなど 

本作は王室における「母」にフォーカスした視点と、宮中を走り回る王妃役の大女優キム・ヘスの貫禄と気迫のある演技が、実に斬新な作品。「ホドン君」という息抜きもあり、時代劇に対する拒絶感も少ないと思います。


『哲仁王后(チョルインワンフ)~俺がクイーン!?~』

2020年/原題:철인왕후
脚本:パク・ゲオク
演出:チャン・ヤンホ
出演:シン・ヘソン、キム・ジョンヒョン、ペ・ジョンオク、キム・テウ、ソル・イナ、キム・イングォン、チェ・ジニョク、イム・チョルミン、ユ・ヨンジェ、チョン・ベス

現代のシェフの魂が朝鮮王朝の王妃の体に入ってしまうという突飛な物語だが、韓国時代劇でこれだけ笑ったのはこれしかない。主演のシン・ヘソンがコメディエンヌとして最高。時代劇が嫌いな方も本作は是非観てほしい。


『ミスター・サンシャイン』

2018年/原題:미스터 션샤인
監督:イ・ウンボク
脚本:キム・ウンスク
出演:イ・ビョンホン、キム・テリ、ユ・ヨンソク、キム・ミンジョン、ピョン・ヨハン、キム・ガプス、チェ・ムソン、イ・ホジェ、キム・ウィソン、キム・ビョンチョル

日本の支配下にあった朝鮮半島を舞台にした史劇。イ・ビョンホンとキム・テリという日本でも人気のある俳優を配しているのに話題にならないのは、日本人の残虐性を描いた部分が多いためか。実にスリリングで面白いのに。


『恋慕』

2021年/原題:연모
監督:ソン・ヒョンウク
脚本:ハン・ヒジョン
出演:パク・ウンビン、ロウン、ナム・ユンス。ペ・ユンギョン、チェ・ビョンチャン、チョン・チェヨン

あのパク・ウンビンが、女性でありながら男装の世子から、王になるプロットなのであまりに彼女が可愛らしくて、ちょっと無理もあるのだが、物語はスリリングで王室ものとしてとても面白い。


『私の国』

2019年/原題:나의 나라
演出:キム・ジンウォン
脚本:チェ・スンデ
出演:ヤン・セジョン、ウ・ドファン、キム・ソリョン、チャン・ヒョク、キム・ヨンチョル、アン・ネサン、ジ・スンヒョン、イン・ギョジン

朝鮮王朝創世記の若き主人公たちを描く。歴史の中心ではなく、背後にいる人間を通じて、新しい国の誕生を見つめたドラマ。途中から主役はチャン・ヒョク演じるイ・バンウォン(太宗)になっちゃった感も。ソリョンが美しい。



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