2018年女性歌手ベスト
ブログから古い記事をnoteに移行しています。本稿では2018年の女性アーティストのディスクを10枚選んでいます。
2018年は女性歌手の素晴らしいアルバムがたくさんあった。女性歌手が大好きな私には嬉しい年でした。
AISHA BADRU / PENDULUM
New YorkのSSW、Aisha Badru。吐息のようで、切なくて、絞り出すようで、個性的で魅力的な声をしている。翳りのあるサウンドと、彼女の佇まいが共鳴した、沈殿するような世界には、静謐ながら強力な磁力がある。
DIANA HORTA POPOFF / AMOR DE VERDADE
ファースト・アルバムでもそうだったけれど、彼女の創造する曲の持つ、ミナスらしさ、ミナス独特の感覚は、決して我々の感覚にはないものだ。決して上手い歌ではけれど、ほわんとした、柔らかい歌声が、その音楽にマッチしている。
ELLEN DOTY / COME FALL
ドラムとピアノと彼女の歌だけという、ミニマルな在り方が彼女の歌によく似合う。その歌のなんと繊細で、真っ直ぐで、でも蠱惑的なのでありましょうか。過剰にならない透明な叙情で綴られていて、間のあるサウンド。いや~、切ない。
EMMA FRANK / OCEAN AV
過剰な表現や、感情移入が強すぎるのは、苦手である。であるからして、逆にこういう涼しげな音楽には惹かれる。Aaron Parksを中心とした、クールでセンシティブなサポートを得て、彼女の控えめな、抑えた透明な歌が、実にしっくりくるのだ。
GANAVYA / AIKYAM: ONNU
Ganavyaは南インド出身の歌手、作曲家、でさらに学者。本作は彼女のデビューアルバムのようですが、南インドの歌唱法そのままに、個性をしっかり残した形で、ジャズなどの名曲を歌い上げています。強烈です。
JORJA SMITH / LOST & FIND
UKソウルの新星であります。ジャケットの眼差し、アンニュイで蠱惑的なこの視線が、彼女の音楽そのもの。サウンドはエレクトリカルな部分も強調された、斬新でシンプルな音作り。そして彼女の歌。ちょっと余韻を引きずるように気怠くて、とんでもなく魅力的です。
LUCIANA SOUZA / THE BOOK OF LONGING
なにしろ、「ルシアーナ命」という刺青を彫ってもいいぐらい好きなのだから、新譜といえば狂喜乱舞であることはご理解いただきたい。プロデュースは夫 Larry Klein。Joniの元旦那だ。深い陰影と知性の中に、彼女らしく抑制された柔らかく繊細な歌が、もう問答無用なのである。
MARI KALKUN / ILMAMÕTSAN
エストニアのSSW。使い古された言い方かもしれないけれど、彼女の音楽こそは伝統と今とを繋げるものだと思う。凛とした清潔な空気感、森の中に在るような肌触りは、彼女に備わった血脈そのものだと思うし、革新的な楽曲には、彼女の今が強く反映されている。
SNAIL MAIL / LUSH
なんと若干18歳なんだって。Snail MailことLindsey Jordanのデビュー・アルバム。基本的にはローファイなギターポップ。そう言って仕舞えばそうなのだけど、音楽の魅力というのは文字だけでは表現できない。この年齢だけの躍動やメランコリーが、極めて率直な歌に託されている。
TASHA / ALONE AT LAST
Chicagoで活動する、soul/R&B系シンガー。こういっちゃなんだが、最近の僕はあまりこってり、ねっちょりのsoulは聴けないのだ。で、このTashaですが、フォキーというかオーガニックというか、ちょっとお茶漬けの味というか、こういう感覚が良いですよ。
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