みしか

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イラストや文字を使って表現する創作グループ。メンバーはみそ・しの・かいの3人。こちらでは主に しの の作品を掲載。 「花筐」:https://mishika-hanagatami.tumblr.com/ ✉:mishika.hanagatami@gmail.com

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花筐(HANAGATAMI)とは

私たち「みしか」が運営しているサイトです。こちらでも紹介させてください。 花筐(はながたみ) 詰んだ花などを入れるかごのこと この言葉は、万葉集の時代から使われています。 色とりどりの花でいっぱいのかごのように、私たちのささやかな日常のなかで垣間見える世界の姿を、それぞれの表現方法で集めていきたい。 そんな場所にしたいと思い、この名前を付けました。 みしか(MISHIKA) みそ(miso)しの(shino)かい(kai)の3人の創作グループ。 自身を世界を見つめるレン

    • 「動きたくない」×「いざ出発」× #8EFFC6

       あの夜から、3週間が経った。  一人になることに抵抗はなく、ユウイチくんのいない生活には思ったよりも早く慣れていった。結局、私は彼に心を開いていなかったということなのかな。いつでも私のペースで生活をしていて、彼はあくまでも合わせてくれていただけ。彼は、私が彼に合わせていると思っていたかもしれないけれど、実際は逆だったのかもしれない。私は、結局どんなときも自分のやりたいことを優先しているのだ。  別れを切り出したとき、ユウイチくんは大きく動揺したようだった。 「ユウイチく

      • 偏見は気づかない×水筒×#B2B2FF

         カシャカシャと軽い音を立てながら、たくさんの書類がコピー機のなかに飲み込まれていく。社内では電子でもいいが、さすがに社外での打ち合わせではまだまだ紙ベースである。基本的に自分のことは自分で、が徹底された社内で、若い女性社員に「これコピーとっていて」をする男は嫌われる。 「渡辺さん、コピー終わりました。」 「よし、じゃあ行きますか。」  先輩の渡辺さんはいかにも“優男”って感じで、人当たりもとても柔らかい。女性社員からの風当たりが強い俺とは大違いだ。渡辺さんは素敵な人な

        • 頭がぼんやりする×エージェント×#F4A57A / しの

           たとえば、爪をじっくりと眺めてみる。大きくも小さくもない私の爪は、当たり前のようにそこに存在していて、でも私以外の誰にも必要とされていない。去年買ったばかりのネイルポリッシュには、ずいぶん前に飽きてしまった。爪はペラペラになるし、ずぼらな私には向いていない。数週間に一度、爪磨きをするくらいの手入れが私にはちょうどいい。 「サトコはネイルとかしないの?」  ユウイチくんが、放り出された私の手をとって爪をまじまじと眺めながら言う。その言い方があまりにも興味なさそうで、面倒く

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          強制恋愛

           つくづく、私は不器用な人間だと思う。  仕事で、ある俳優をオススメするための紹介文を書くことになった。それは去年から担当している仕事のひとつで、初めて自分で立てた企画を取引先との話し合いから窓口まで担当している。自分がやりたくて始めた仕事だから、紹介文を書くことに抵抗はない。映画を観ることは生活の一部で、むしろ、そんな楽しい仕事いいんすか!イエ―!って感じ。  しかし、これが全く進まないのである。思ったよりも進まなくて、自分でも驚くくらいには進まない。  これまで、上映

          強制恋愛

          「あと少しだけ!」×「ネイル」× #4D4398 / しの

           呼び出されたから来たものの、退屈すぎるからもう帰ってもいいかなーなんて考えている。薄いピンクのシフォンスカートに、昨日買ったばかりのざっくりとした網目のセーター。ヒールは6㎝だし、バッグはコンパクトなサイズでデートスタイルとしては完ぺきなのに。 「内藤、今日はありがとな。仕事のあとなのに」 「ううん、全然。」  にっこりと、鏡で練習したとおりに笑いかける。竹中くんは悪い人じゃないけれど、仕事で疲れたあとに会いたいほどではない。 「紅茶でよかった?」 「ありがとう」

          「あと少しだけ!」×「ネイル」× #4D4398 / しの

          「コードレビューまみれ」×「カウントダウン」×#228b22 /しの

           病み上がりの仕事はキツイ。深く息を吸い込んで、思い切り背筋を伸ばす。 「せんぱーい、これもいいですかー」 「おっけー送っといて」  返事をしながら、プロテインバーの袋をもそもそと開封する。しまった、これは開けにくいパッケージだった。握力が弱いからか、袋を破くのが苦手だ。会社となると、口であけるわけにもいかない。  病気というものは、つくづく土日に発症すべきでないと思う。それでも、私が病気になるときはきっちりと土曜日と日曜日だけ。我ながら、その責任感にはあっぱれだと思

          「コードレビューまみれ」×「カウントダウン」×#228b22 /しの

          「サポートは大切」×「くぎづけ」× #D2B48C

          「みゆきはかわいいからなぁ」  そう言って、私の頬を撫でる指が嫌いだった。愛おしそうに目を細めて、子ども扱い。やることはやっているくせに、一人の女としては見てくれなかった元カレたちには、なんとなく冷めていって私から別れを切り出した。といっても、元カレはせいぜい3人。彼らの名前は憶えているけれど、顔はすでにあやふやだ。 「顔色、よくなったね」  日曜日、ぼさぼさの頭で起きてきたさとみちゃんに朝食を整えながら声をかける。 「おかげさまで。」  目をシパシパさせながら、湯

          「サポートは大切」×「くぎづけ」× #D2B48C

          「やっちまった」×「どら焼き」× #8b968d

           竹中隼人は落ち込んだ。 『さとちゃんが風邪を引いたので、今日の約束はキャンセルさせてください。本当にごめんなさい。』  彼が、内藤みゆきにいわゆるデートに誘い始めてから約3カ月。ようやく漕ぎつけた約束だった。しかし、同居人である中川さとみが寝込んでいるというのなら、それを責めるわけにはいかないだろう。隼人は、今頃献身的に看病をしているであろう彼女を好きになったのだから。  隼人と中川さとみ、そして今回のデートの相手である、みゆきは中学時代の同級生である。さとみとみゆき

          「やっちまった」×「どら焼き」× #8b968d

          「まぶたが開かない」×「できなかった」× d6adff

           やっちまった……。扉を隔てたあちら側から、温かい匂いが漂ってくる。何も言っていないのに、さとちゃんはリビングに続く扉を少しだけ開けてくれていた。風邪のときは、みんな少しだけ心細くなっちゃうから、だって。  少なくとも、独り暮らしのときの私は風邪をひこうが、寝込もうがあまり気にしたことなかった。寝てれば治ると思っていたし、それはほぼ正解で。常備しておいた薬を飲んで、会社の帰りに買ってきておいたスポーツドリンクやらスープなんかで体調を整える。  でも、さとちゃんと暮らすように

          「まぶたが開かない」×「できなかった」× d6adff

          言いつづければ。

           デスクの上にイケメンが溢れている。  仕事をするためのデスクは、ある意味自分の城的な、そんな位置づけだ。  1日8時間も、仕事がある日はデスクにへばりついているわけで。もちろん、仕事をするためではあるけれど、癒しもなくちゃ同じところでじっとするなんて不可能だ。布団とかね、そういう“存在が癒し!”みたいなものなら話は別だけどさ。  ふと、仕事をしているとため息をついてぼーっと画面を見つめているときがある。もはや、どこかに異常があるとしか思えないのだが、ただ疲れているだけだ。

          言いつづければ。

          いびつな愛を、この手に

           『女王陛下のお気に入り』を観てきた。  といっても、勘違いしてほしくないのは、オリヴィアがアカデミー賞に輝いたからではない。それにしても、オリヴィアのスピーチはかわいらしかった。私たちが目指すべきは、ああいうチャーミングさなのよね。  話を戻して。3人の女優、オリヴィア・コールマンを筆頭に、レイチェル・ワイズ、エマ・ストーンが共演。これだけで、話がめっちゃつまらなくても観る価値はある。結論、話もめっちゃくちゃ面白かった。  観に行った当日は少し疲れ気味で、しんどいかもなーな

          いびつな愛を、この手に

          「5分」×「早起き出社」× #74325C

           年中無休で嫌いだけど、冬の目覚ましは特に嫌い。ぬくぬくと自分の体温であったまった布団って気持ちいいし、頭のなかがとろけそう。意識をしっかりさせようと、少し冷えた指先で目元をこするとちくちくと悔しさが胸をかすめる。学生みたいに、自堕落に、とめどなく、自分だけの時間を過ごすことって少しずつ難しくなってるんだって分かるから。  眠たいままに身体を起こして、ひんやりとした部屋の空気で頭を働かせる。もそもそと昨日寝る前に置いておいたブラウスに手を通すと、眠気がくすぶっている体温を微

          「5分」×「早起き出社」× #74325C

          少年よ、安らかに

           ジュゼッペが消えた。  ルナが軽口をたたきながら、ラブレターを渡して、小さなキスを交わしたその日にジュゼッペは居なくなってしまった。  『シシリアン・ゴースト・ストーリー』は、実際にシチリアで起きた事件をもとにつくられた作品である。  13歳のジュゼッペは、約二年にわたる監禁の末にこの世を去った。事故でも、自殺でもない。少年はマフィアの内紛に巻き込まれる形で、この世からいなくなってしまった。  ジュゼッペの父親は、とあるマフィアの一員だった。警察に捕まり、自身の保護を約束

          少年よ、安らかに

          「少し寒い」×「あと1時間」× #54917f

           狭苦しいキッチンに甘いとろけるような香りが立ち込める。  甘いものが苦手な私の部屋では珍しい。20を超えて早数年。アラサーに片足を突っ込んでいる私が手作りチョコレートを作っているってなんかおかしい。困らないくらいには稼いでいるんだから、ブランド物のチョコレートでも叩きつければいいのである。  バレンタインに染まった街は、そこらじゅうにピンクとハートが溢れていて、見ているだけで胸やけを起こしそう。恋人がいる私ですらそうなんだから、恋人がいない人は……そういう人はあまり街をじ

          「少し寒い」×「あと1時間」× #54917f

          「可愛い後輩」×「会議」× #5F9EA0

          『先輩、とても退屈です』  隣に座る先輩にメッセージを送ってみる。  週に1度のミーティングは面白くもないし、正直無意味だと思っている。勉強会も兼ねたこの集まり、正直何も得るものがない。 『私だって退屈』  ちらりと横を見ると、表情を崩さずに頷きながら熱心にメモを取る先輩の姿が見える。業務上、パソコンを使うことが多いから、メモは紙よりも電子。覗き込まれない限り、何をしているのかは分からない。  私はもはや指を適当に動かす元気すらもないのである。  こんなところで、

          「可愛い後輩」×「会議」× #5F9EA0