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肺が壊れる話①

 前回、肺への空気の出し入れから、その先の小さな風船のような肺胞での酸素の取り込みまでを、さらっと説明しました。

 では、どのような時に体に酸素がうまく取り込めなくなるのでしょう?

 それは
①肺の中に空気が入って行かない時
②肺に空気が入っても、末端の肺胞から血液中に酸素が取り込めなくなる時
に分けられます。
 実際はこれらが重なってる時も有りますが、分けて考えると解りやすいです。

 まず、②の場合。
 肺に空気が入っても、末端の肺胞から酸素が入らない時。
 ひとつは、肺炎なんかの時です。
 肺胞まで入って行った酸素が、血液の中に入る時には、肺胞の壁を通り抜けて肺胞の周りに這っている血管に入っていきます。
 細菌感染による肺炎なんかで肺胞の中が滲出液で詰まったり、肺胞の壁が厚くなる間質性肺炎なんかだと、酸素がうまく壁を通り抜けられなくなり、体に酸素が取り込めません。
 もう一つは、肺胞の構造自体が壊れてしまっている時です。
 酸素が肺の奥に入っても、酸素を血管の中に取り入れる機能自体が壊れてしまい、酸素が取り込めなかったり、逆に二酸化炭素が出せなくなったりします。
 これが、慢性閉塞性肺疾患(COPD)で、タバコで肺の構造自体が壊れてしまった状態です。
 ちなみに、壊れてしまった肺の構造は元には戻らず、残った肺が補います。

 思いの外長くなってしまいました。

 次回は、①肺に空気が取り込めなくなる時について説明したいと思います。

 私が、調べ物でよく使っている、『MSDマニュアル』の家庭版です。
https://www.msdmanuals.com/ja-jp/ホーム/やさしくわかる-病気-事典-:05-肺-と-気道-の-病気

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