差別について

差別というものを初めて知ったのは、小学校の道徳の時間だった。

しかし、差別を身近に実感する機会が少なかった当時の自分にとって「ふうん・・・そういうことがあるのか」ぐらい、差別は他人事だった。

そんな自分が最初に差別を実感したのは、それから十数年後のこと。

20代前半の頃、仕事で会った関西出身の中年男性と話をしていた時、突然彼が部落差別発言を口にした。

とにかくギョッとしたし、強烈な気持ち悪さを覚えた。

授業では習ったし、フィクションではたまに見かけたけれど、現実にこんなあけすけな差別発言をする人がいるのかと心底驚いた。

しかし、同時に気づいたことがある。

彼は自分が差別しているという自覚がないのだ。

「部落の連中が卑しく醜くおぞましいのは事実なのだから仕方がない」
「事実を事実として受け入れることを差別とは言わない」

彼はそう信じてしまっている。

そこから学んだことはひとつ。

「差別者には差別している自覚がない」

つまり、今「自分は何ひとつ差別感情を持っていない」と考えていたとしても、本当にそうかは自分ではわからないのだ。

このことは常に心に留めておきたいと思った。

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