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ビジュツノゲンバ -梅津庸一個展「遅すぎた青春、版画物語(転写、自己模倣、変奏曲)」、版画工房カワラボ!編 その3

『ポリネーター』の刊行展を銀座 蔦屋書店で開催中の梅津庸一さんの版画制作の現場を紹介する連載、今回は先回の取材から1週間後、三月の下旬近くに訪問した時の様子、搬入を考えると残り1週間とちょっとしかない頃です。


再び訪問すると梅津さんは過去の作品を模倣している作品のエッチング作業中でした。


銅版画の制作工程は展示会場に流れている動画を見るとよく分かると思います。大判の銅版画制作中にエッチングを施しながら梅津さんがいろいろ話しているところを撮影した様子などが記録されています。





モノタイプ作品を今回の取材までの間に作っていたそうで、見せてくれました。巨大ですね。初めて取り組み、失敗ができない一発勝負でやったものだそうです。上が最初の1枚、下の色が濃いものが2枚目とのこと。

モノタイプを制作している様子は会場で流している動画で見ることができます。
https://youtu.be/cqpqQrAuMN8?t=1797



ポスターのデザインを担当している阿部宏史さんが作業をしていました。
いくつかアイデアを出していますが、今と全然違いますね。




いつのまにか梅津さんはカワラボ!に泊まり込みで作業をするようになっていて、2Fのレジデンススペースで寝泊まりしながら制作していました。寝るギリギリまで制作し、起きたら絵の調子を確認してすぐ制作に取り掛かっているそうです。もしかしたら理想的な生活環境なのではないでしょうか。


2F中央のレジデンススペース
奥で寝泊まりしているそうで、その周囲には同時進行で乾燥させている手彩色の版画作品があふれています。



2F上がって左側の部屋




最後に銅版画に使用する銅版を見てみましょう。刷るために使われるので作品ではなく、エディションある場合は刷り終わると破棄されたりしますが、エッチングが施され作家が直接手を入れたものでなかなか趣きがあります。





本来の目的だった対談収録、この日は軽くごはんを食べながらリラックスした雰囲気での撮影になりました。



実は梅津さんは泊まり込みを始めてからお昼すぎの休憩がてら町田駅まで買い出しに行っていました。スタッフに振る舞うシュークリームやドーナツ、そしてカワラボ!が用意してくれたディナー用にワインとチーズを買ってきていて、特にワインにはこだわり、高くて良いものを提供していました。
色々制作費がかかっているうえにこんなことしては出費が激しいのではと梅津さんに聞くと「お世話になっているからお返しをしないと」とのこと。ということなので私もワインを楽しませてもらいました。ありがとうございます。




前回までの記事はこちら




梅津庸一作品集『ポリネーター』刊行記念展
「遅すぎた青春、版画物語(転写、自己模倣、変奏曲)」


会期 :2023年4月1日(土)〜4月19日(水)※終了⽇は変更になる場合があります。
時間 :11:00~20:00
会場 銀座 蔦屋書店 GINZA ATRIUM(イベントスペース)
主催 :銀座 蔦屋書店
協力 艸居、Kawara Printmaking Laboratory Inc.、安藤祐美、みそにこみおでん、シエニーチュアン、阿部宏史、美術出版社
お問い合わせ :03-3575-7755(営業時間内) / info.ginza@ccc.co.jp
https://store.tsite.jp/ginza/event/art/32671-1314100327.html


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