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前本彰子 「龍姫の水ノ珠」 コバヤシ画廊


前本彰子の個展が銀座のコバヤシ画廊で開催されている。5/11(土)まで。



前本彰子 「龍姫の水ノ珠」展示風景




前本彰子《私の子どもは私が守る》1998


前本彰子《龍姫の水ノ卵》2024



私の子供は私が守る
そして世界の子供は世界で守るべきだと私は思う
彼の地で子供たちが大量に虐殺され人為的に餓死させられているのは今、誰もが知っている

今回の出展は、まだ未就学児だった子供たちとの日常の中で時間をもぎ取るようにして制作したリアル子育て中1998年作『私の子供は私が守る』と、
その後のひとりの女性としての立場から2024年版、新作『龍姫の水ノ卵』としました

左右には虐げられもがく女と天井にぶつかる女
そしてそんな女たちに「任せとき!」とでも言うように世界に挑む龍姫
ここにはシスターフッドの概念も込められています。
赤く燃える髪に過去と未来が同時に見える双眼を携え
龍姫の手には今まさに孵化しようとする卵、後ろ手には幻影のような剣

「守るために戦う」ことの矛盾を孕んだ前年『花留姫縁起』の、続編ともいえる今展となりました
産み育てそしてさらに挑むすべての女性たちに向けて贈ります

私たちは渾身の力で世界を守り、祈り思いやり、そして繋いでいかなくてはならない
決して無力感に屈してしまわぬように

今も被災中の故郷石川県を想い、能登半島地震当日の元旦から祈るように作り始めた小さな神棚作品『青の天使』も共に添えました

観るものそれぞれの気持ちによってこの空間が満たされますように

前本彰子によるステイトメント


前本彰子《龍姫の水ノ卵》 2024 部分


前本彰子《龍姫の水ノ卵》 2024 部分


前本彰子《龍姫の水ノ卵》 2024 部分




前本彰子 「龍姫の水ノ珠」展示風景



前本彰子《私の子どもは私が守るⅡ》2024


前本彰子《龍姫の水ノ卵 2》2024




前本彰子《青の天使》2024


前本彰子《青の天使》2024 部分




バックヤードの小作品


バックヤードの小作品



前本彰子《龍姫 1》2023



前本は日本現代美術史上「ニューウェーブ」のひとりとして登場、「アゲインスト・ネイチャー」展へ出展をするなど80年代を代表する作家であり、また、Bゼミで長く講師を務め、多摩美でも短いが教鞭を執り、教え子の美術家も多い。その制作と授業で多忙な中、子供を二人育て上げた。
ここ数年は羊毛フェルト小品販売とギャラリーを兼ねた高円寺にあるスペース「ストロベリー・スーパーソニック」を運営、店のファンだけでなく美術関係者も集う交流点になるなど、精力的な活動は美術にとどまらない。
最近は美術館への作品収蔵が進み、フェミニズム、ジェンダーの観点からの再評価も高い。

レビューとレポートでは前本彰子に関するテキストを複数掲載している。詳細はそれぞれのURL先にて。




前本彰子 龍姫の水ノ珠
コバヤシ画廊
2024年4月29日 ~ 5月11日
祝日開廊、日曜休み 
11:30 ~ 19:00(最終日は17時まで)
http://www.gallerykobayashi.jp/




フェミニズム・ジェンダーの観点からの論考


ストロベリー・スーパーソニックについて


その他


愛知県美術館へ収蔵された作品


レビューとレポート