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なぜクックパッドで絵を本気で教えようと思ったのか

 クックパッドデザイナーの三嶋です。こんにちは。
さて今日は会社でなぜか絵を本気で教えている話をしようと思います。

 私はバックグラウンドがIT業界のデザイナーには珍しく(?)アカデミックなデザインを学んできた経歴があります。東京芸大で絵を本気で学びました。
高校一年生の頃から絵の予備校に通い、鉛筆で24インチのモニターよりも大きな画用紙(木炭紙大というサイズです)に絵を描き続けてきました。2浪して大学に入ったので、5年間ずっと毎日絵を描いて過ごしてきました。最近ブルーピリオドという漫画が出て、その頃の生活をリアルに思い出しています。あの漫画はとてもリアル。心情までリアル。リアルすぎて自分の限界まで苦しみながら頑張っていた頃を思い出して苦しい気持ちになります。

 私はその5年間で自分の限界まで何かに本気で取り組むこと、なぜうまくならないのか本気で考え続けることをずっとやっていました。PDCAをまわしつづけたその期間は、自分のその後の人生の大きな軸になっています。

 そして、今年も新卒が入ってくる時期になりました。一人の新卒の子の担当デザイナーになりました。私は今年で多分社会人歴13年目になるので、何人目のデザイナーの先輩担当になったか覚えてないほどたくさんの新卒の子の育成担当になってきました。最初の会社では新人研修を担当していたりして、Mayaという3Dソフトの使い方や、Photoshopの使い方などの講習を毎年新人デザイナー相手にしていたりしました。

いろんなデザイナーがいる、みんなすごい

 最近のIT業界のデザイナーは多種多様です。エンジニアリングが得意な人もいれば、グラフィックが得意な人もいれば、コーディングが得意な人もいる。体験からしっかりとUIを考えていくことができる人もいる。そして各々の専門で得意だとしている分野を、クックパッドのデザイナーは各々がしっかりと持っていて、デザイナーのメンバー全員がなにかしら尊敬できる部分があります。しかしながらIT業界の何社か働いてきた中で、私はいつも感じていました。「グラフィックが弱い」ということを。クックパッドに限りません。美大出身の人ばかりでないのでそれは当たり前だと思っています。

 グラフィックが弱くても、先述したように得意なものが別にあるデザイナーはたくさんいて、その方々は自分の得意を活かしてものすごく活躍されている人も多いです。ただデザイナーという職種において、グラフィックに強くなくてもチームで一人しかいない場合などに、何年間も使うであろうロゴを作ったり、キャラクターをつくったりするような仕事をする場合もあります。カーニングもよくわからないままにそれらを作っているケースを前職までに何度も見てきました。

 しかしながら、私が絵を学んできたような経験を会社に入ってから再現していくようなことは、各人の志向もありますし難しいとも常々思っていました。前職のときはそのことを考え、そもそも入社するまえからグラフィックが強い子を採用したらよいのでは?という仮説のもと、新卒採用の活動に参加して、日本中の美大を回ったりすることもしたりしていました。

 でもその方法にも、問題を感じざるを得ませんでした。美大系の人達の多くは「グラフィック以外が全部弱い」んです。(もちろん中には該当しない人もいますが)絵をとにかく上手く描けるように修行をしてきた人たちです。それも当たり前ですよね。そもそも大学生なのもありますし、ロジカルに物事を考える力が弱かったり、そうするとアプリやWebのUIを作るようなUIデザイナーになりたい志向の人があまりいませんでした。UIデザイナーという職種があるということを、学生たちにそもそもあまり知られていないということもその時に学びました。美大系の人たちはゲーム業界か、広告業界を目指している人が多いように感じました。

今年の新卒の子について

 ここで話が戻りますが、今年も新卒のデザイナーの育成担当になりました。その子も特にグラフィックが強いというわけじゃありませんでした。
しかしながら、今まで何十人も見てきた中で、とりわけ素直な人でした。
私が教えていく内容を、純粋に受け止め、自分なりにしっかりと考えて文章にまとめたものを社内で公開していました。まだ数ヶ月ですができるようなことも急速に増えてきました。その子に教えていく中で、私が驚いたことがあります。「他の先輩デザイナーの方々がどんどん自ら進んで教えている!!」ということです。

 元々私自身がクックパッドに入社して驚いたことの一つに、なんだこの会社!まじで親切すぎる!というものがありましたが、またそこでもとても驚きました。笑
なぜなんだろうと思って様子を観察していると、素直だからつい教えたくなるようでした。何か教えても、「え?必要ですか?」みたいな態度を取られると、ここはまあ教えなくてもいっかみたいな気持ちになるもんなんですが(人間だもの)あんなにも素直に教わっていると、親切な人達はつい教えたくなるようでした。笑

 私もその例にもれずに、何年も課題に感じていたことをついに試そうという気になりました。大学生の時には絵の予備校で3年間、絵の先生をしていたこともあり、会社で同じように絵を教えてみようと思ったのです。特にその子に教えてほしいと言われたわけではありませんが、アイコンなどを作っている様子を見て何とかしたいと思わせられたのですよね。

本気で絵を教えることにしてみた

 早速行動に移してみました。必要な画材を指定して、鉛筆の削り方から教えてみました。そうするとYoutubeで教えている動画が公開されていましたしかも英語字幕をつけられていました。笑
 
 ここでデザイン戦略部長の倉光に「他にも絵がうまくなりたい人がいるよ。募集してみれば」と言われたので、社内で募集してみたところ、#絵がうまくなりたいチャンネルに51人が参加してくれました。 多い・・・


 やる気がある人に向けて部会を開きました。継続が大事だと説いたので、きちんと継続してきてくれています。(今の所。笑)


実際のクロッキー帳

こんな感じでクロッキー帳に鉛筆で描いてきてくれます。

どうやってお絵かき教室を開催しているか

・Slackにかいてきたら 絵をアップロードする
・ipadで添削する
・Slackでフィードバックする

こんな方法でやっています。
なので、業務時間を圧迫することなく出来ています。よく描いてきてくれる方たちのクロッキーの様子を下に貼っておきます。私の方では、ipadでもっとこうしたらというのを具体的に描きます。(字が汚い自覚はあります。ごめーんなさい。)


そういえば高校生に教えている時と、決定的に違うと感じることがありました。

うまくなるのが早い

なんでだろう。色々みなさん考えて描いてるからだろうか。とにかく社会人の人たちのほうがうまくなるのが早いと感じています。ちなみにipadで添削するときはこのソフトを使っています。Tayasui Skech pro

クロッキーを学んで何が変わるのか

 クロッキーを描くというのは、基礎の基礎の基礎を鍛えるということです。色々なクリエイティブに良い面が出る可能性はあるとは思います。例えば、よく観察をしてと今はよく言っています。よく観察を出来るようになると、美しくない箇所にすぐに気づけるようになるはずです。

 例えばロゴを作った時に文字と文字の間のスペースがバランスが悪いだとかに気づき、より美しいものが作れるようになるはずです。アイコンを作るときにも、パスで美しい線が引けるようになるはずです。それは気付けるからです。歪んでることに気づく力が養われるはずです。
こういうことはデッサン力をつけた後に起きる変化の一部です。

私はそう考えています。


まとめ

実験的に本気で絵を教えることを始めました。1日やそこらで突然上手くなるものでもないので、本当に継続が必要です。長い目で見ていくことになると思いますが、デザインのテクニックではなく、根幹のところです。
ただ、絵は努力を絶対に裏切らない系なので、安心して努力できることの一つだと思っています。才能ではなく、どれくらい絵をたくさん描いたかでうまくなるかどうかがただ単に変わってきます。

さて、半年たって何人が継続しているかな。楽しみです。


クックパッドでは一緒に働いてくれるグレートな仲間を募集しています。
https://info.cookpad.com/careers/


 



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kaori mishima / みっしー

東京芸大を卒業後、任天堂にて脳トレ、リズム天国等のゲームをアートディレクターとして開発。2014/Yahoo! Japan。IT業界へ大きくシフト。2015/DeNA。競合調査、新規事業企画などを経て、食への興味から2018/クックパッドへ。どんなことでも前向きに取り組みます。

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コメント1件

素敵なアイデアですね!
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