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純文学の雰囲気を纏う洋書 Normal People/ Sally Rooney

Normal People / Sally Rooney

缶に入った男女のイラストが気になるこちらの本を、偶然BOOK OFFで見つけて購入したのが去年。前から評判の高さは聞いていたけれども、あらすじを読んでピンとこなかったので新品で買うのはためらっていたのだけれど、まあこの値段(なんと350円だった)なら読んでみようかと思って買っていた。

書評も結構分かれていて、素晴らしい!という人もいれば、何がそれほど人を引き付けるのか分からないという声も。読み終わってみて感じたのは、これは物語のアップダウンを楽しむ本ではなくて、つぶさに描かれる感情の描写に読者がシンクロできるかどうかで、評価が分かれる一冊だということ。そういう点で純文学の面白みに近い本だと感じました。

1組の若い男女が、付き合ったり別れたりしながら人生を過ごしている話で、何故この二人がこんな状況になっているのかを作者は詳しく説明してくれません。あるのはその時、その時に感じた一方の心の描写、読者はそれを読んで「どういうことなんだろう?」と思いながらどんどんページをめくることになる、そんな仕掛けの本でした。

正直に言って、もう若い男女のコイバナを読んでウキウキする歳でもないし、どうなんだろう?と思いながら読み始めましたが、気が付いたらあっという間に読み終わっていました。英語自体はそれほど難しくないのですが、時々見たことないような小難しい単語が出てきます。でも少し前に読んだYellowfaceのような難しさはないので、ある程度洋書になれている人ならすらすら読めると思います。DVに苦手意識がある人は、少しそういうシーンが出てくるのでご注意を。

ちょうど先日、紀伊國屋梅田でやっていた洋書アウトレットセールで、同じ著者の別の作品をお安く入手したので、そちらも読みたいなと思っています。

上記アウトレットセールにはもう5年以上連続で参戦していますが、年々も円安の影響で価格が上がっていて、気軽に紙の洋書が買えなくきているなと感じます。でもKindleよりもできるだけ紙の洋書が読みたい。和書とは違う紙の感覚、ゴージャスなカバー、そしてあの何とも言えない匂いに包まれての読書体験は、Kindleでは補えないなと思うのです。


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