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会社の労務担当者にはなかなか理解されないことに、極めて稀有な例ではあるが、採用時(例えば4月1日)に傷病休業中の従業員の社会保険の資格取得がある。雇用保険の資格取得は何も気にせず4月1日付けで届出が可能だ。

社会保険の資格取得では、4月1日時点での雇用契約が存在しても使用従属関係の実態を確認できない場合には、資格取得ができない。間違って届出し、のちに指摘を受け遡及取消なんてこともありうる。

例えば、4月1日に入社し、いきなり疾病や傷病で連続1週間欠勤したとしても、4月1日から資格取得することはできる。その疾病や傷病は偶然のことであり、問われた際は、4月1日付の診断書や服用薬の袋の日付で4月1日以降の日付であることから、当初から予定された欠勤でないことはおおよそ判明するだろう。

それなら、いっそのこと知らんぷりして届出してしまえば(あるいは無知で届出してしまうなら)問題ないのでは? と思われるが、のちに「傷病手当金請求」をしないというなら、それはそれで表面化しない可能性はある。
しかし、「傷病手当金請求」に及ぶというなら、請求書に書く従業員の出退勤状況は4月1日から欠勤が続いているだろうし、医師の証明欄の初診日や労務不能期間も4月1日をまたいでいるはずだから、健康保険協会から請求者の疑義照会は確実(資格取得後短期間での請求は必ず疑義照会されます)で、あわせて年金事務所への労務不能中の資格について確認がなされるだろう。

そうなると、4月1日時点で使用従属関係がないとされるのは明らかで、遡及して資格取り消し、傷病手当金請求は取り下げ(返戻)となり、それまでの期間医療機関への受診がある場合は、治療費の精算作業が必要になってくる。それは会社ではなく、従業員自身がすることだ。

資格得喪の届出義務は、事業主にあり、意図した誤った届出は厳に慎まなければならない。



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