voyage(misty)

セリーヌ、大江健三郎、カフカ、カミュ、アルトー、バタイユ、ドゥルーズ、デリダ、柄谷行人…

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セリーヌ、大江健三郎、カフカ、カミュ、アルトー、バタイユ、ドゥルーズ、デリダ、柄谷行人などを愛好しています。

マガジン

  • 携帯詩集

    携帯(スマホ)を使って書かれた数々の言葉たち。 最初に入るべき言葉たちは、僕が不用意にスマホの電源を壊したことにより、二度と蘇ることもなかった。 本マガジンは、とりもなおさず、その失われた言葉たち(と、データが入ったままのスマホ)のためのレクイエムである。

最近の記事

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(弱い)私は(強かった)私に祈りたい。

 タイトルのようなことを人生の命題として最近悶々と考えている。僕はほかでもない僕自身に祈りたい。弱い僕は、かつて強かった僕に祈りたい。 この命題は(まずは僕に対して、それから他の人にとっても)どこまで説得性を持つだろうか。ゆるりと考えてみる。 自分の話の場合には「僕」と、一般的な方向に話を向けたい場合は「私」と書いておく。 (弱い)私は(強かった)私に祈りたい。 「強い/弱い」「現在と過去」「祈り」「たい」という幾つもの展開しなければならないポイントはあるのだが、あくまで

    • 旧Twitterの幾つかのレクイエム(古参兵の手記)

      2009年、秋 一羽の小鳥が飛び立った 電子空間の アーキテクチュアは 平面(すなわち、灰色)から立体図形(つまり、白色の)へと 虚空に叫ぶ声、蒼穹の空 僕はここで初めて 自由の本当の姿に出会った ★ 2010、春と夏 蒼空の自由の鳥よ、 おまえは急に「イイネ!」と発声した ふぁぼからいいね!への変換=返還奪還闘争 「いいね」の押売り専制支配の時代が始まろうとした それはひとつの革命だった やがて人はふぁぼと呼ばれていた時代をいともたやすく忘却した 「ワタシの、お気に入

      • 道(携帯詩集)

        小さなリンドウの花が並ぶ 始まりはいつもの道だった 柔らかな公園の光に子供たちは包まれて 慎ましげな横道には小さな雲雀たちが停まっている 少女は未来の自分の姿に気付かないままでいる 賑やかな町工場で懸命に針を刺す人々は 労働の歓びを感受しながら わんぱくな唄を歌う 私たちは生きてきた、 不確かな日々の祈りを 確かな明日へと繋いできた お人好しな男たちは旗を振る 古びた軽トラックから勢いよく身を乗り出し 急ぎ込んだ車たちを惚け顔で制止する 今日ははよ上がれ

        • 政治は悪ではないんだろう、しかし……

          政治「そのもの」の地位が失墜している、というのは、日本のテレビや世界のニュースを見て思うことなのではなかろうか。しかし、政治それ自体が絶対悪であるわけはさすがにないだろう(必要悪という概念はここではあまり関係ない)。しかしもはや、政治家こそが悪であるというのは、日本に限らず世界の公理となっている節さえある。マスメディアの不用意な煽りを差し引いても、昨今の日本政治家のあれこれには開いた口が塞がらない。そんな日々の連続では、最早はやあくびすら出ない。 政治は国家や社会の運営にと

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        • 携帯詩集
          8本

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          一番好きな映画と『道』と。

          「一番好きな映画は?」と試しに自分に問いかけてみた。その答えは、「ロード・オブ・ザ・リングか、ジュラシック・パークか、プライベート・ライアンかなぁ……」だった。なんということか。よりにもよって(?)同じ監督が二作も入っている。僕はスピルバーグ主義者なのだろうか。E.T.もジョーズもとても好きだけど……そもそも映画を監督別に観ていないという癖もある。作家主義ではないんだろう。現在でも。  結局、バカみたいに高額なお金が投入され、視覚効果をふんだんに活かしたいかにもハリウッド的な

          一番好きな映画と『道』と。

          あなたの字は素敵だねだと言ってくれたから(エッセイ)

           字が汚かった。小学生のあるとき、通っていた塾の算数の先生に「おい、ちょっとこれを見てくれ」と、苦笑されながら自分の書いた答案を渡された。確かにそこには自分でも判別するのがやっとなほどの乱雑な走り書きがあった。算数の先生は、まるで現役のヤクザのような風貌をした痩せぎすの男性で、僕はその先生が大好きだった。怒ると怖いけど、快活な笑い話で生徒の心をぐっと掴むところに惹かれた。その先生が、「さすがにこれは読めないな。次からは気をつけろよ」とポンと僕の肩を叩き、そのまま颯爽と去ってい

          あなたの字は素敵だねだと言ってくれたから(エッセイ)

          音楽との密やかな共犯関係

           人は、どんな歌や音を求めて、音楽へ全身の情熱を捧げるのだろう。そして僕はそれを今も手にしているのだろうか。  中学二年生の秋から冬にかけて、僕は"何か"を必死にもとめて、衝動的な勢いでインターネットの波にもまれつつ(まるで神聖かまってちゃんの「ロックンロールは鳴り止まないっつ!」そっくりだ)、近所のレンタル屋に駆けつけては手当たり次第に借りたCDを、当時流行っていたミニディスク(MD)にぎゅうぎゅう詰め込んで、きらきらと光る宝石のように周りに並べて大事に愛でていた。僕にはそ

          音楽との密やかな共犯関係

          トイカメラな日々

          先日、トイカメラを買った。 二眼レフ型とあるが、正確には二眼レフ風である(そのことは商品ページにもちゃんと説明がある)。正面の「ON/OFF」という小さなボタンを押して、レトロな粗目の画質の写真が撮れるというもの(動画や音声録音もできる)。ちなみに撮ったその場では確認できず、スマホやPCと接続することで出来上がりを確認。この手間が楽しい。 もちろん、無加工。いやぁ、エモいなぁ(自画自賛)。 以前、「カメラとキャメラ」という記事を書いたことがあるが、僕は元来、人物を撮るこ

          トイカメラな日々

          【携帯詩】命の灰

          僕はある種の靄の中に在る 固定化された、記憶の、回廊…… 僕はその中で羽根ペンを取り出し 確立された人類の負債のために 僕自身の遺書を認める それは以下のような(畏れ多く、かつ傲慢な、何も知らない最後の人間のさらにその末裔の)断片-手帖だ。 「僕は世界=COVID-19以前に百日咳に罹り、フクシマ=3.11以前に大学紛争に明け暮れ、ニューヨーク=エンパイア・ステート・ビルディング以前に右手の掌に托鉢印を受け、メトロポリス=地下鉄事件以前に世界を三度に渡って横断-旅行し、ベルリ

          【携帯詩】命の灰

          久々に肩の力が抜けたいい記事が書けた!(自画自賛) 長くないし、よかったら読んでもらいたいです。看護の現象学、リハビリテーションの現象学気になるなぁ

          久々に肩の力が抜けたいい記事が書けた!(自画自賛) 長くないし、よかったら読んでもらいたいです。看護の現象学、リハビリテーションの現象学気になるなぁ

          Scatterbrain(エッセイ)

          Radioheadの6枚目のアルバム『Hail To The Thief(ヘイル・トゥー・ザ・シーフ)』に、「Scatterbrain(スキャッターブレイン)」という曲が収録されている。哀しく、トム・ヨークの歌声が優しくてとても好きなのだが、scatterbrainの意味を知ったのはだいぶ後になってからである。「注意力散漫な人」。ハッ自分のことじゃん、だから好きだったのか……?となった、苦いような甘いようなアンニュイな思い出。 「mistyさんは、不注意なところは基本にある

          Scatterbrain(エッセイ)

          【掌小説】街灯

          街灯(掌篇)  外を歩いていると、さして強くない一筋の光に誘われてかえって暗闇の中に迷い込んでしまった。確かに夜だった。私の目線は灯を捉えていた。それはひどく汚れた、白熱電球の光だった。丸みを帯びた硝子の球体から、暖かみを含んだ奇怪な光が流れていた。電球はおそらく剥き出しの姿であろう、二つばかり同じ形状のものが不気味なまでに仲良く並んでいた。白熱電球の周りには蜘蛛の巣が執拗に絡まっており、地上から僅か二メートルあたりの所で私を見下ろしているのだった。まず、電球はどのようにし

          【掌小説】街灯

          【詩】歯譚

          僕の奥歯にかかる地球の重力 弾け飛んだ孤独な宇宙飛行士の咥内 貴女に金歯の夢は似つかわしくない お喋りな虫けらどもの痛みとともに原初の罪は去りゆく 痛い/固い/物々しい/うざったい 発狂した法的=合憲的請求書の山 「私ハ私ノ名ニオイテ等シク生成変化スルノ権利ヲ行使スル」 だが年老いた赤頭巾の彼女は かささぎの鳴き声を聞き分けては大人しく抗弁を取り下げた 流出する銀歯のシークエンス 現実に実在する実存的なホワイトニング 僕には一切必要ない インプラント・発狂的・スタイリッシ

          【詩】歯譚

          noteたのしい。ffさんの文章、みんな違って素敵。文章にはどんな些細な点であれ個性が出る。 自分が書かないと中々開かなくて日が空いちゃうんだけど(無念)、毎日書いてる方も尊敬しています🍁

          noteたのしい。ffさんの文章、みんな違って素敵。文章にはどんな些細な点であれ個性が出る。 自分が書かないと中々開かなくて日が空いちゃうんだけど(無念)、毎日書いてる方も尊敬しています🍁

          【詩】内的体験

          復讐の怨恨-原因となる私の内的体験 感化された彼の耄碌の眼は 八十一の時に飛び立った 夢から起立する 夢から孤立する 「砂浜の海岸」にて 僕は君との新しい舞踏-蜂の戯れを夢みる 明日には還ろう 明後日には死のう 夢想は続くが頑丈なロープを買うあてもない プロコフィエフの戦慄を効かせた私たちは 新たなる革命の兆しに唇を震わせる やがて全き自由が到来する それは銃声もなく殺害もない 誰もが夢想した新しき素晴らしき死の世界 射殺もなく抑圧もなく差別もない 一続きの理想化かれた弾丸の

          【詩】内的体験