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みざくらの樹 #5 ~ ロンリー・クリスマス に寄せて 

 休日のクリスマス・イブになったが、いかがお過ごしだろうか。私はこれから美容院に行って、クリスマス定番のシャンパン、鳥のレッグ、ケーキなどを買って帰り、最近このnoteで書き始めた、先日亡くなった脚本家の山田太一さんのトリビュート記事をまとめる。そして夜には動画配信三昧で乾杯、という段取りである。

 考えてみれば、自宅で一人でクリスマスを過ごしたことはほとんどない。普段おひとり様行動は平気で、他人の目などは全く気にしない私であるが、クリスマスと年越しだけは、寒さが身に染みる時期だからか、誰かといないとなんとなく寂しいような気がしていた。数年前、家族を亡くしてからのクリスマスは海外旅行のツアーに参加したり、温泉におこもりをしていたものだが、今年は静かに、住み慣れた部屋でロンリー・クリスマスを味わうことにしたい。ようやく心の平穏を得ることができた、自分に乾杯しながら。

 このような境地になれたのには、大好きなエンタメが身近になったことが大いに影響していると思う。昔からクリスマスに視聴する映画やドラマは決まっているが、動画配信の見放題で簡単に観られる。よい時代になったのだ。

 毎年観ているのは、アメリカの医療ドラマ「ER 救急救命室」(1994年~2009年)の第一シーズンの第11話「クリスマスの贈り物」。前の回で闖入してきた患者、マダムX(演者の一人、ジョージ・クルーニーの叔母のローズマリー・クルーニー)が、エンディングで歌う「Have Yourself A Merry Little Christmas 」が素晴らしいからである(声優はペギー葉山で、この方も素敵)。この作品は、あまりに好きすぎてこのシーズンのDVDを買ってしまったほどだが、動画でも観られるのは嬉しい(いずれここで書くことになりそうだ・笑)。

 もうひとつは、「素晴らしき哉、人生 !」(1946年・アメリカ)。フランク・キャプラ監督の名作である。主演のジェームズ・スチュアートは、私が30年ほど前にハリウッド映画鑑賞にハマっていた時の大アイドルである。知的でおっとりしているが芯は強いものを持つ、温かみのある二枚目(と昔はこう言った)。当時のアメリカを代表する大スターである。モノクロ映画だが、それだけに雪の降りしきるクリスマスのシーンが美しく、これを観てから心温まる思いで寝床に入ることをよくしている。ジミーのこともまた改めて書くかもしれない。

 いつもこの記事を届けたいと思っている私の知人の皆様、そしてこれにたどり着いてお読みくださった方々に、メリークリスマス。どうぞ素敵な聖夜をお迎えください。 (2023年12月)