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渋谷でストリップ鑑賞デビューして来た話②



前回の記事はこちら↓


(前回の続き)



2.邂逅・困惑

・何この雰囲気?


電車に揺られること1時間。渋谷駅で下車して、ザ・都会の道玄坂を登り、少し路地を折れると……


着きました。

開店15分前。僕もそれなりに気合いを入れて早めに行ったつもりだったが、すでに常連と思しきおじさん達が5人、先に並んでいた。


さすがに初ピンサロの時よりは抵抗感小さかったですが、ストリップ嬢の写真が店先に並んでる景色の趣きは、まさしく風俗のそれ。


スーツ姿の女性などが僕のすぐ後ろを通りがかる度に、じわりと背中に汗が滲みます。
……早く、建物内に入れてくれないだろうか。ホラ、熱中症とか、怖いしさ。ね?(今世紀最大の懇願)


人生で一番長い15分間を過ごしたあと、建物から恰幅の良いおじさんが出てきました。オーナーさんかな?「どうぞ〜」とゆる〜い感じで、おじさん×5、リビドーを持て余した男子大学生×1 を建物内へ招き入れてくれました。



入口で僕は「整理券⑥」と書かれたカードをもらい、しばしロビーで待機することに。「ロビー」と言っても、そんな仰々しいものではなく、言うなれば

「田舎のスナックみたいなバーカウンターの付いた、床屋の待合席」


といったような雰囲気。ちょっとした休憩スペースって感じかな? そして、初めて来たのに、妙に居心地が良い。どことなく昭和チックで、ノスタルジックな感じ。


お店の準備ができるまで、おじさんたちと一緒にテレビで世界陸上を見ました。オーナーさんもカウンターに腰かけて、なぜか1リットルの牛乳パックの口を開けて直に飲んでいらっしゃる。いや、それ部活から帰って来た中学生の飲み方なのよ。

オーナーさんが直飲みしてらしたやつ。
(画像引用 : https://www.meijioishiigyunyu.com/)



・劇場へ


今から女性の裸を見ると言うのにも関わらず、ひたすらに凪いだ雰囲気しか醸し出さないおじさん達に戸惑うばかりの時間も束の間……


どうやらお店の準備ができた様子。


ここではじめて、整理券番号順でお会計カウンター前に並び、入場料金を払います。僕は学割で¥3,000です。チケットをもらい、お店の従業員の1人と思しきお姉さん(お姉さん!)にすぐそのチケットをもぎってもらって…… さぁ、いよいよ劇場内に入ります。

半券。


地下に続く階段。


クッパ城の入口みないな、重そうな観音開きのドア。すぐ横に男子トイレ(男女共用トイレは地上階にある)もあります。妙にアクセス良いな……非常に示唆的な配慮を感じます。



そんなトイレを横目にしつつ、深呼吸をし、意を決して中に入ると……


……狭い!(心の中の千鳥ノブ)


意外と狭い。文化祭で学校の教室にステージ無理やり嵌め込んだ、みたいな圧迫感がありました。

ステージは、普通のステージから前方後円墳が客席に向かってせり出しているみたいな形。


後円部分がおそらく回転する舞台になっていて、その後円部分を中心に、弧の形の長椅子が同心円上に三列ほど広がっていました。



今回、僕はとにかく良い席を取ろうと思って、家族に「僕明日朝早くから物流倉庫の派遣バイトだから」アリバイ工作に勤しみ、開店直後の浜銀に凸し(前回記事参照)、あの地獄の15分間にも耐えたと言うのに…… なぜかここでチキりの心が出て、中央2列目あたりに腰を下ろしてしまいました。


それでも、回転舞台への距離は目算にして1m50cmほど。


かなり近いです。


これは、劇場が狭いからこそ生まれる距離感。なるほどね、と僕は1人頷きました。別に広くある必要など微塵も無いのです。



・まさかのメーカー名指し


時刻はam11:08。開演の12:00まで、めちゃくちゃ時間あります。チケットは1度買えば、その日の深夜の終演までずっと劇場にいられますが、無論一時外出も可能です。


とりあえず、トイレにでも行っとくか。


再び重い扉を開け、そのすぐ横にある男子トイレのドアノブを捻ると、アサガオ便器×1、個室×1が2畳ほどの広さに収まってました。相変わらず狭いです。


アサガオ便器に用を足し、洗面器で手を洗って外に出ようとしましたが…… ふと気になって、個室にも入ってみました。


どうということも無い、普通の洋式トイレ。しかし顔を上げると……

抑えきれぬ衝動への牽制。



まさかのメーカー名指し。


僕はゴム業界については全然詳しく無いのでよく分からないですが、まぁ「等」とついているということは、不二ラテックスゴムであろうがジャパンメディカルゴムであろうが、とにかく使用済みゴムを流したらいかん、ということなのであろう。


この「白い情熱を発射するのは構わないけど、ゴムは流さないでね」とでも言いたげな、見たことないタイプの寛容さというかなんというか…… 僕はなぜかこの注意書きでツボってしまい、個室の中でしばらく「フッフッフッ……笑笑笑」と震えておりました。



それにしても、こんな貼り紙を見てしまったら、否が応でも盛ってしまうではないか。すぐに白い情熱を発射したくなるぞ、と雄弁に語る設備の数々……



僕の胸は、期待感で高鳴るばかりでありました。


(次回へ続く)

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