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日本で曲解されているインドの素顔、政策、外交 『インドの正体』 伊藤融(とおる) 中公新書ラクレ


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<本文>


(2023年7月2日記)

本書のテーマは、今や世界情勢の鍵を握ると言われるようになった、「インドの素顔、政治体制、外交などについて」でした。

既に皆さんも承知のように、

対中包囲網としての日米豪印、4ヵ国のクアッド、自由で開かれたインド太平洋(FOIP)と、安倍さんの偉大なレガシーが定着し、国際的にも、アジアの集団安全保障のさきがけ

となっています。

その中の重要な一角をインドが占め、その存在は将来、ますます重いものになることが必至です。
日本では、「日本と同じ民主主義の国で価値観が合う」「両国は戦時中から深い関係がある」と喧伝されてきましたが、安倍さん亡き今、安倍さんとモディ首相の親密な関係もなく、おまけに愚かな岸田・林はインドの重要性を正しく認識せず、岸田訪印でも「塩対応」にあうほどです。

目次の一部を、ざっと紹介すると、

ふらつくインド
自由民主主義の国なのか
ヒンドゥー・ナショナリズムの台頭
独自の民主主義観
中国の影
中国は脅威なのか?
国境線敗北のトラウマ
周辺国に対して上から目線
インドと距離を置く選択肢はあるか?
目標は世界の工場
世界第3の軍事力
日本のGDPがインドの4分の1になる日
インドをどこまで取り込めるか?
考えられる3つのシナリオ
実利重視の伝統
スイング国家たりうる前提条件
厄介な国とどう付き合うか?
ビジネスライクでドライな国
インドが日本に期待していること
進出企業が注意すべきこと
日本は傍観者でいいのか?

などとなっていました。

最初にインド外交の大前提を示しておくと、「非同盟の単独安全保障」の国です。
1960年代からソ連と友好的・親密でしたが、1979年のソ連によるアフガニスタン侵攻で、インドは必要以上に近づくことはリスクと悟り、以来、どの国とも一定の距離を置くようになったのです。

著者は内心で反安倍なのか、そのインドを、ぐいっと引き寄せた安倍さんの功績を認めないどころか懐疑的な評価をしていましたが、ここは誤りですので流して下さい。
安倍さんの第一次政権からのアプローチがなければ、クアッドにも参加するかどうかグレーゾーンだったでしょう。

この点で好き嫌いにかかわらず、著者の公正さ、人としての高潔さは信頼するに値しないものでした。
それでも中国、ロシアとの関係、西側との付き合い方では妥当と感じたので紹介するのです。

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3,435字
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