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神田錦町のBGMをつくろう ~Music for KANDA-NISHIKICHO~

こんにちは!はじめまして、ミテモの小林ひろです。

今回、私は11月3日に開催された「神田錦町音楽祭 Our Music Festival 」のプロジェクトに携わりました。Our Music Festival は、ミテモオフィスを構える神田錦町エリアに集う音楽を愛するひとびとによる参加型音楽フェスティバルです。実行委員の下出さんとご縁があって、今回ミテモも参加することになり、社長の澤田さんから何かオモロいことやってくれ!との依頼がありました。( ミテモらしい笑 )

そこで、ミテモは新たな発見・学びにつながる音楽作りに挑戦すべく「神田錦町の BGM をつくろう ~ Music for KANDA-NISHIKICHO ~」を企画しました。

ここで作られた音楽は2019年初春、神田錦町エリアで時報として流される予定です。今回は、その時報音楽のための素材を集めるワークショップと、プレゼンテーションの様子をレポートしたいと思います。

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【読了時間: 12分】
(文字数: 4,700文字)
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1.「土地のための音楽」を作る

Our Music Festival はたくさんある音楽フェスティバルのなかでも、神田錦町で働き、学び、暮らす人たちが主役のイベントです。そんなわけで、私は神田錦町という街と、音楽の関係性を感じることの出来るプロジェクトを考えようと思いました。

私はミテモの地方創生プロジェクトにも携わることがあるので、色々な土地に行くことが多いのですが、その際に印象的なのが時報の音楽です。みなさんも一度は聴いたことがあると思います。夕方5時になると「夕焼け小焼け」や「遠き山に陽は落ちて」などの少し懐かしく、なんか寂しくもなるような音楽が流れてきますよね。その土地土地で流れる音楽も違い、これがきっとその土地の原風景のひとつになっているなあ、などと思うことがありました。

また10年前、札幌駅に行ったとき駅ホームに流れている短い音楽 ( これは時報ではなく盲導鈴です ) がとても印象的で覚えていたのですが、つい最近、再び札幌駅に行ったときにも全く同じ音楽が流れていて、10年前の光景が思い浮かんだり、札幌に来たんだなあという実感が一気に湧いて来たのです。

札幌駅ホームの盲導鈴

私の家の周り ( 渋谷区 ) でも夕方の定時になると、時報の音楽が聴こえてきて、ああ、夜になっていくなぁと、ふと周りの風景に意識を向けたりなんてことがあります。とは言え、その時報音楽が所謂、どこでも聴くような音楽なんですよね。たしか実家の仙台でも同じ音楽が流れてたなぁなんて。どこでも聴けるような音楽を時報で流しても、その土地や風景に想いを馳せたりするかなぁなんて思ったんです。どうせなら、その土地でしか聴くことの出来ない音楽があった方がいいじゃないかぁ!!

この音楽を聴くとこの場所を思い出す!土地のための音楽!ミテモのある神田錦町エリアにそういう音楽があっても良いのではないかしら?と思い、「Music for KANDA-NISHIKICHO」を企画することになりました。

2.環境音楽ってのがあるらしい

さて、以上のような理由から、神田錦町のための神田錦町でしか聴けない時報音楽を作ることになりました。そもそも、音楽によって身のまわりの風景とか土地に意識を向けるってどういうことなんだろう?普段、音楽を聴く体験のほとんどは、コンサートホールや野外会場に行って聴いたり、スマフォとイヤフォンで聴くというようなものじゃないかしら??

そこで、私が参照したのが「環境音楽」「アンビエント・ミュージック」と言われるような音楽でした。初めて目にするキーワードだという方もたくさんいるかと思います。

音楽好きな方だと「アンビエント」というワードは目にしたことがあるかもしれません。このワードは今では音楽のジャンルの一つとして使われています。どんな音楽なのか。簡単に言うと、

ずーっと同じような音が鳴ってる!
終わりも始まりも無いようなダラダラした音楽!
退屈!!
でもなんかリラックス出来るかも!?
けっこう心地よい??

そんな音楽です。。。

こんな音楽を最初に提案したのがイギリス人の音楽家Brian Enoさんと言われています。ん?イーノ、聞いたことあるっていう方もいると思います。そう、めちゃくちゃ大御所の音楽家でありプロデューサーなんです。Windows 95 の起動音は彼が作曲したんですよ。なんかスゴい。。

彼の代表的な作品でもある「Music for Airports」は 1978 年にリリースされました。これは文字通り空港のための音楽というコンセプトのもと作られた音楽です。様々な国の人々が行き交う空港という場所に適した音楽という目的で作られました。空港という場が発する様々な騒音(飛行機の音、構内アナウンス、人々の話し声、空調の音など)と共存し、出入国する人々の妨げにならない音楽。、、、なんかむずかしい。。とにかく、これです!聴いて!

、、、たしかに、そう言われて聴いてみるとそう聴こえるかも、、、!!
意外と心地よい!、、、眠くなってきた。。。

ともあれ、彼はどのような聴き方をしてもよい音楽を目指して、このような平坦で始まりも終わりも無いような音楽を作ったのですね。これをコンサートホールで客席に座って聴くとしたら、なんかしんどい、、絶対寝る!!なるほど、空港とか街中とかでなんとなく聴く音楽としてはいいかも、、!

3.どうやって時報音楽をつくるか?

なんとなく、どんな音楽を作るか想像出来る様になって来た。だけど、どうやって作ろうかしら。。何となくいい感じで音楽作って、はい!これが神田錦町のための時報音楽ですよ! Check it out !なんて言ってもなんか説得力が無いような、、、。う~ん、なんて考えていたら、友人のサウンド・アーティストがアドバイスをくれました。

友人「神田錦町の音で音楽を作ればいいんじゃない?
私 「、、、、、、??、、、、どゆこと。。。」
  「神田錦町の音?で音楽??」
 彼は続けて提案してくれました。
友人「フィールドレコーディングしてみたら?」
私 「フィールドレコーディング、、おお、環境音をマイクとかで録音するやつね。。、、、おお、そうか、、!神田錦町の環境音を使って音楽を作ればいいのかも!! I got it !!」


確かに神田錦町の環境音で作られた音楽ならば、神田錦町のための音楽って言ってもいいかもしれない。。てか、もうそれしかアイデアが浮かばない!!

ということで、フィールドレコーディングのワークショップを開催して神田錦町の環境音を集めてみることにしました。

4.フィールドレコーディングやってみた

フィールドレコーディングのことを調べてみると、なんか色々、出てきました。元々は民族音楽や生物の調査のために行われてたとか、映画やラジオのサウンドトラックに使われてたとか。今では、フィールドレコーディングだけの CD が出てたりするんです。クジラの泣き声だけのレコードが 100 万枚売れたとか売れないとか。。

以下のSound Cloudにもあるように、フィールドレコーディングは音楽作品・芸術作品のジャンルとしても認識されるようになっています。

マリー・シェーファーっていうオジさんが、難しい芸術理論をフィールドレコーディングに与えたとか与えてないとか。難しそうなので、今回はパス!

とりあえず、マイクとレコーダーで色んな音を録音するってことらしい!!簡単!!

で、どうやってやろうか。。マイクとレコーダーは絶対必要らしい。
サウンドハウスとかで値段を調べてみると、

マイク高い、、!
レコーダー、もっと高い、、!
参加者人数分の録音機材を買って用意するとなると、お金イッパイ必要。。。たぶん無理。うーん、、って考えてたら、ありました。一番身近に録音機材。

スマフォの録音機能!!

これが意外と良い音じゃない!いける!さすがにこのご時世、スマフォはみんな持ってるよね!ガラケーじゃないよね!機材問題はこれでクリア。お金もかからない!

ということで、参加者を募集して 10 月 28 日にフィールドレコーディングのワークショップを開催しました。丸一日じゅう野外録音だけっていうのも、疲れそうだし辛そうなので、後半はワイングラスと水でメロディーを作って録音をする「グラスハープ・ワークショップ」も同時開催することになりました。

当日、神田錦町某所に集合し、まずは今回の企画説明。時報のこととか、イーノ大先生のお話をしました。

そして、実際に外に出て録音開始!!難しいことは要らない!とにかく音を聴いて録るべし!

これは、ビルとビルの間から聴こえる何かの音・・・。

澤田さん(ミテモ社長自らワークショップ参戦!!)、iPhone を地面に付けて何かの音を聴いている、、、!!なんかポーズがかっこいい。

これは、換気ダクトの音を聴いてるのかしら?

私も負けじと録音してみました。

これ。

そう郵便ポスト

こっそり、投函口に半分 iPhone を差し込んで、ポストの中の音を聴いてみました。辺りをキョロキョロしながら、、こっそり録音。時々、通行人から怪しい目で見られます。。。これでポストの中に iPhone を落としてしまったら、そこで The End。iPhone は郵便物として世界中を彷徨うのかしら。。。しかも録音しながら。。なんてしょーもない想像をしながら、いろいろな環境音を録音をしていきました。

テラススクエアの中庭の小川の水の音を録音してる下出さん。なんか爽やか。。

神保町の方に足を延ばしてみると、偶然にもブックフェアが開催されていました。いろんな本屋さんや屋台が出ていて、たくさんの人で溢れています。

ここでは、ネパール?の民族音楽の演奏が。これも録音じゃあ!! REC ! REC !

こんな感じで参加者が各々、神田錦町エリアを散策しながら、色々な音を探して録音していきました。

お昼休みを挟んで、後半は、室内で「グラスハープ・ワークショップ」。

みなさんも一度は見たことがあるんじゃないかと思います。そう、ワイングラスに水を入れて、水で少し濡らした指でワイングラスの淵を擦る。

す・る・と!!

キュイイイイイイン、フイイイイイン、なんていうなんとも美しい音色が聴こえるじゃありませんか!

参加者の皆さんも夢中で、水の量を色々と調整して、色んな音階を作って演奏しました。皆さん音を積極的に探しています。次第にジャムセッションに。。。。グラスを箸で叩いてます、、割らないでね。。。

水をこぼしたり、箸で照明のガラス叩いてる。もはや、グラスじゃねーし。

これらを全部録音して、音楽のための素材集めは十分といって良い程集まりました。

あ・と・は・・・

音楽編集!!

そう、音集めただけじゃ、音楽は作れないんよ、当たり前だけど。
そこはミテモクリエイターの腕の見せ所! Come on ! My Mac Book Pro !!!

はい、徹夜しました。

でも、参加者の皆さんのおかげでとても良い音素材が集まっていたので、いい感じに音楽が出来たと思います。頑張った。

5.プレゼンテーション

そして、11 月 3 日、Our Music Festival 当日、テラススクエア内のカフェスペースにて、ワークショップの報告会と、完成した時報音楽のプレゼンテーションをしました。友人のサウンドアーティストにも参加してもらい、フィールドレコーディングの説明や環境音楽の話をしてもらいました。それにしても、Our Music Festival の会場では、音楽のライブはもちろん、DJ 講座や、生演奏カラオケもあって、なんだか、カオス、、、!でもみんな楽しそうでした。

そんなわけで、いろいろ初めての試みも多かったのですが、無事に良いイベントが出来ました。そして、2019年の初春(多分!)、神田錦町の音で作られた、神田錦町のための時報の音楽が、神田錦町で流れます!!

詳しい日時と場所は現在、打ち合わせ中です。決まり次第、お知らせします。

そして、次回のレポートでは、実際に街の中で音楽が流れている様子をレポートしたいと思います。乞うご期待!!


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