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2018 夏 へんじんキャンプ レポート

はじめまして、ミテモの乾 善彦です。
このミテモHOMEROOMの編集長をしています。
いつもミテモHOMEROOMをご覧いただきありがとうございます。
ふだんは組織・人材開発系のワークショップやコンサルティング、さらには新規事業開発を担当してます。

今回、ご縁があって大分の耶馬溪で子どもたちを集めてのへんじんキャンプにミテモが共催参加し、さらに僕はスタッフとして参加しました。
へんじんキャンプは、「大人が一切口出しをしない環境で、子どもたちを思いっきり遊ばせ、子どもが持っている個性をのびのびと育て、混乱の未来をたくましく生きる「へんじん」を育てる」をモットーにしたプログラムです。

▼へんじんキャンプ
https://www.facebook.com/henjincamp/

そんなへんじんキャンプは、実は今回が初開催でした。メンバーは住んでいる場所がバラバラで、もともと深い付き合いがあるわけでもないですが、こころざしを共にしたメンバーがいろんなご縁をきっかけに集まり、即席チームがドリームチームとなり、へんじんキャンプを成功に導けたのが、当事者としてとても価値があり、その場に居合わせたことがとても光栄だったので、そのポイントを中心にレポートします。

そもそものはじまり

そもそものはじまりは、友人の野口真理子(株式会社 VoiceVision : http://voice-vision.com/ )さんに4月ごろ「オランダチーズの会」なるものに呼ばれたのがきっかけ。
オランダから一時帰国の方が土産に持って帰ってきたチーズを、 宅呑みのような感じでつまみながら飲む会と思いきや、実際に行ってみるとしゃれたシェアキッチン&ダイニングスペースで、オランダチーズのほかに、北海道チーズコンシェルジュが美しくチーズをディスプレイしていたり、軽井沢からきたシェフのフードサービスがあったりと、宅呑みのつもりで自家製ベーコンのブロック2つを新聞紙に包んで無粋にもってきた身としては、面食らってしまいまして…。

ま、そうはいうものの、ベーコンを試しに食べていただいたみなさんに好評いただいたので、調子に乗って一番うまい食べ方であるベーコンエッグ(うすーくスライスしたベーコンをあつあつのスクランブルエッグに載せて、トロット脂が溶けたベーコンでスクランブルエッグを包んで食べもらう)をつくったわけです。店の前のファミマのたまごを買い占めて。

ほぼ全員知らない人たちばかりだったので、僕としてはベーコンエッグを黙々と作って、サーブして、喜んでもらって、都度ちょっとベーコンの話とかをして、また料理に戻って、というのが楽ちんやったのですね。そんなことをしている中で話しかけていただいたのが、今回へんじんキャンプの発起人のひとりである遠藤 幹子さん。遠藤さんは、一般社団法人マザーアーキテクチュア代表理事であり、建築と芸術の力で人の暮らしがより豊かになる活動をされている建築家/空間デザイナーです。(ザンビアでマタニティハウスを村の人と一緒につくったりと、すごい方なのをのちほど知りました。)

話の流れで僕が原っぱ大学柏かわせみキャンパスの立ち上げ(詳しくはgreenzのこちらの記事にて)のことなどを話したのをきっかけに、自分も大分の耶馬溪でへんじんキャンプをやりたいのだと。その時聞いた話は初開催にしては結構壮大なプランだったと思うのですが、課題意識がいっしょだったし、何より遠藤さんの元気よくピョンピョン跳ねてるリスのようなエネルギッシュさとへんじんキャンプへのパッションに興味を持って、ぜひお手伝いしましょう、という流れに。

その話をしている向こうでは、同じくへんじんキャンプ発起人でオランダから来た吉田 和充さん(オランダ在住クリエイティブコンサルタント、そして保育士!で海外育児ブログ「おとよん」を運営)がオランダと日本の教育の違い、子育て環境の違いについてショートプレゼンをしていた気がします。苦労して持ってきたオランダチーズは、北海道チーズにお株を奪われ、少々自虐的な吉田さんでしたが。

即席チームを結成

それが事の始まり。
そのあとは僕がほかのメンバーと直接会ったのは、遠藤さんとは6月に2度都内でお会いしたのと、遠藤さんはじめスタッフの川下 昂祐君、遠藤さんの遊び仲間である地域政策デザイナー 齊藤 隆治さんとともに一度耶馬溪にお伺いし、村の田植えを手伝ったときぐらい。そのときに耶馬溪に住むデザイナー(星庭 : http://www.hoshiniwa.com) 福田 まやさんにもお会いしましたね。聞けば同じ奈良出身。奈良県人が懐かしいまやさんとは、ついつい冗談の掛け合いをやったり。

そのあとは、オンラインミーティングおよびFacebookグループでのやり取りのみ。
村のキーパーソンの方から実施OKをいただいたあとは、開催に向けてのタスクを洗い出し、分担と期限を決めて…と、怒涛の準備。
遠藤さんは日本中を飛び回っているし、吉田さんはオランダ、僕は関東ということで、いろんな業者の手配や、村の方々との調整などなどは、川下君とまやさんが担ってくださいました。(ほんと、ありがとうございました。)

みなさん忙しい身なので、必要最低限のタスクはこなしつつ、7/30にへんじんキャンプ準備のため耶馬溪入り。
全員が一堂に会したのは、この日が初めて。
全員で改めて、耶馬溪のフィールドを周ってここでいつ何をするか、そのためには何が必要か…みたいな大枠を手際よくセットしていきます。
あまり細かく決めてもその通り行かないのは目に見えているので、あくまで大枠。このとき、連れてきたうちの息子・れんまとその友達のいっちゃん、吉田さんちのちえいたちが耶馬溪を存分に満喫し、楽しんでいる様子を見ることができて、キャンプに参加してくれるみんなも存分に楽しんでくれるだろうと、ほっと安心。次の日も耶馬溪を満喫しつつも、細かいところの準備を整え、(あ、このとき僕の40歳の誕生日でしたが、そんな場合ではなくw)いよいよ明日からへんじんキャンプがはじまりここで大所帯の生活がはじまるのだな、とようやく実感したのを覚えてます。

いよいよへんじんキャンプスタート

そして8/1、参加こどもたち5名+スタッフのこども3名の合わせてこども8名と看護スタッフとして来てくださったミカさん、お手伝いとしてブンちゃんも合流して、3泊4日のキャンプが始まります。

へんじんキャンプのモットーは、「子どもたちのやりたいということを存分にさせる。そして、やっちゃダメとは(極力w)言わない」。
ま、わかってたことですが、子どもたちはモットー知らずとも思う存分好き勝手言ってくるわけです。とくに最大勢力である小学2~4年生男子5人組のやつらはw 「今、川行きたい」「(移動に時間がかかる)涼しい上の川がいい」「ターザンやりたい」「なんですぐに行けないの?」「ご飯食べたらいける?」「ドラム缶風呂ヤダ」「露天風呂付きの温泉がいい」などなどw

そういうリクエストはうまーくそらしつつ、川に行っては、潜ったり、魚を追いかけたり、沢を登って探検したり、シカの頭蓋骨を見つけたり、蛇の抜け殻を首に巻いたり、初日に聞いたみんなのやりたいことに流しそうめんてのが多くあったので、近所のおばあちゃんちの裏の竹やぶに竹を切りに行ったり、おばあちゃんちにお邪魔して休みながらおしゃべりしたり、流しそうめんの準備をしたり。今日初めて会う子どもたちばかりなのに、すぐに打ち解けてはしゃぎ遊んでる子どもたちを見ていると、へんじんキャンプほんとやってよかった。

そして、みんなそれぞれ遊びたいように遊んでいる中で、それぞれに成長ドラマがあったりして、そんな成長ドラマを見かけたらスタッフみんなで、「今日、あの子がこんなことできるようなった」「こんなことに一生懸命になってた」と我が子のことのように喜びながらシェアするのが素晴らしく。スタッフとしてもキャンプ中は、うれしい話題に事欠きませんでした。

そんなこんなで、初開催かつ、メンバー自体も即席で構成した今回のへんじんキャンプは、事前準備に十分時間がかけられなかった分、スタッフそれぞれが持ち前の臨機応変性を発揮しつつ、酷暑にも負けず怒涛の3泊4日があっという間(ほんとあっという間)に過ぎていきました。

個性豊かでかけがえのないメンバー

いつも優しいまなざしで子どもたちを見守り、ときにはターザンになり、時には川原の木陰で気持ちよさそうに昼寝する遠藤さん。

全体の場を取り仕切りつつ、我が子の言動に時折苦笑を浮かべながらも、ときに小3に戻って男子どもをけしかける吉田さん。

ときに関係者との調整役になり、ときにカメラマンになり、ときに村の方々へのあいさつに回ったり、ときに子どもたちの遊び相手になる川下君。

いつもおいしいご飯を作ってくれつつ、うらでは村の方々にいかにこのキャンプを喜んでもらうか、子どもたちにいかに村を好きになってもらうか、ということに腐心されていた、まやさん。

仕事の合間を縫って、軽トラでいろんな物資を運んでくれたり、最終日散らかし放題の公民館の後片付けを手伝ってくれた、まやさんのパートナーであり、山の漢であり、スイカを作らせたらピカイチなタケちゃん。

幸いにも熱中症や大けがもなく過ぎたので、看護師としての出番はなかったけど、いろんなアドバイスをくれたり看護以外のお手伝いをいっぱいしてくれたみかさん。

2人のお子さんを連れつつも、ごはんづくりやさらには男子どもの遊び相手にもなってくれたぶんちゃん。

最終日前日から駆けつけてくれて、縁の下の力持ち的サポートに尽力いただいた斎藤さん。

ま、僕はドラム缶風呂作ったり、朝からスケボーでクルージングしたりと、自分の好き勝手にやっていましたw

キャンプ開催前まで、オンラインではつながっていたけれども、ほとんど会っていなかったメンバーが耶馬溪に集結し、準備も含めて1週間、耶馬溪の夏を子どもたちとともに駆け抜けました。
多くを語らずとも全体の場を眺めて自分は何をすべきか読み取り、それぞれの得手不得手は双方で補完し、うれしいできごと、笑い話はみんなでシェアして喜んだり笑ったり。即席で集まった1週間限定のチームでしたが、ほんと気持ちのいいみなさんばかりで、間違いなくドリームチームでした。

最後の最後に決まったフィナーレ

そんなドリームチームの集大成となったのが、へんじん表彰式。
3泊4日で子どもたちそれぞれが自分の興味関心の元、いろんなことにチャレンジ・没頭したことをこどもたちとともにみんなで思い出して、本人が一番楽しかったと思うものをもとにXXXへんじんと命名して表彰しちゃおうというもの。

これも最終日前夜のスタッフミーティングで、「へんじんキャンプだし、みんなのへんじんっぷりを讃えたいよね」という意見から即席で考案したもの。
ここからがすごかった。最終日午前中に、遠藤さんオーガナイズの元、それぞれのへんじんっぷりをみんなで列挙して、その中からこどもたちがお気に入りを選んで、遠藤さんが即興でかつ素晴らしく滋味深い表彰状のデータをつくってくれて。そしてまやさんが宝物にしたくなるような賞状に仕上げてくれて。

へんじんキャンプ最後の卒業式。表彰状授与のときは、生意気なことや、おちゃらけてばっかりだった子どもたちも、真摯に喜んで表彰状を受け取ってくれる様子を見て、とても感慨深いものがありました。

「へんじん」ってなに?

「へんじんキャンプ」という名前だけれども、なにをもってへんじんとするか?そこが最後までずーっとふわふわとスタッフの頭の中に漂っていたと思うのです。でも最終日前夜、スタッフの間で、子どもたちが何か没頭することを見つけて、それがうまくいこうがうまくいかまいが、やり続けたいと思うぐらい楽しいのであれば、それがへんじんの種だし、その種を大きく育ててエッジぃなおとな=へんじんに育ってほしい、ということにあらためて想いが至り、それを願って、表彰式のときに
●ふかいところおよぐへんじん
●てつだいへんじん
●いしなげへんじん
●さかなとりへんじん
●たけわりへんじん
●とびこみへんじん
●すもぐりへんじん
●ポテサラへんじん
という称号をそれぞれの子どもたちに授与しました。

たかが、ふかいところおよぐ、おてつだい、いしなげ、かもしれない。
でも、子どもたちそれぞれにしかできない、ふかいところおよぐだし、おてつだいだし、いしなげ。
最後に、そんなささやかなことだけれども大切なことをスタッフ一同から表彰できたことは、僕個人としても大変誇らしいし光栄に思います。子どもたちに今すぐじゃなくても、いつか伝わればいいなぁー。
へんじんキャンプは、僕個人としては大成功だったと思うし、40歳最初の夏にこのキャンプを飾れたのは、身に余る光栄でした。

へんじんキャンプはまだつづく

今思えば、ほんとあっという間のへんじんキャンプな1週間でした。まさに夏の夜の夢のごとし。

そんな夢を楽しませてもらった、引き込んでくれた遠藤さんはじめとしたほんと気持ちのいいスタッフのみなさん、参加してくれて一緒に遊んでくれた子どもたち、初開催かつ即席チームを信頼してお子さんを預けてくださった保護者の皆様、へんじんキャンプの開催を承諾いただき、さらにはいろいろとご支援、ご協力いただいた村のみなさん、へんじんキャンプを直接的、間接的にでも応援してくれたみなさん、1週間耶馬溪にこもることを許してくれたミテモのみんな、スタッフとしても親としてもキャンプを楽しいものにしてくれた我が息子蓮馬、そして蓮馬と一緒に1週間キャンプに行くことを快諾してくれた妻に、あらためて感謝です。ありがとうございました。

へんじんキャンプのベースとなった公民館は、キャンプ中は窓が全部開け放たれ、フェンスには洗濯物が所狭しと干され、子どもたちが駆け回っていましたが、今はまたすっかりもとのとおりの静かなひっそりとした公民館に戻っていると思います。
まやさんはじめ、村の方々はまたあの公民館に賑わいが戻ることを楽しみにしているはず。
また来年もあの公民館に集えることを願って。

▼へんじんキャンプ
https://www.facebook.com/henjincamp/


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