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【文字起こし】未来、人間は無機物の知的生命体"ロボット"になる

ムーンショット目標①「2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現」

そのプロジェクトの内の一つ、「誰もが自在に活躍できるアバター共生社会の実現」のPMである石黒浩教授の動画の紹介




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存在感を二倍にするとか、失われた存在感を復元するというか、存在感を維持するとかね

で、想像の世界でしかなくなった人物の存在感を再構成するというようなことができるんですね

ま、いずれにせよ、人の存在感とは何か
まぁ技術とかロボットというのは人を映す鏡であって、ロボットを通してですね、我々人間は人間を知るということをしていくのだなと思いますね




ロボットは人間を映す鏡である
ロボットを通して人間は人間を知る

で、僕のアンドロイドを作った時の一番大きな問題は、僕のアンドロイドを怖がる奴は結構いるということですね

小さい子は僕のアンドロイドを見て、やっぱり怖がって泣きます
というか僕を見ても泣きます
(笑)
要するに僕の姿形というのは、誰もが受け入れられるものではない
嫌でしょ怖いんやろ?きっと怖いんだと思います

むっちゃ学生は半分くらい震えてますからね

でも、万人が関われるようなロボットを作るにはどうすればいいか、そこから考えたくなるんです

★究極の人間とは

万人が受け入れられるロボットとはどんなものか
石黒が更に生み出すのは、人間とは似ても似つかない奇妙なロボットだった


で、これはもう直感で導き出した答えなんだけど、姿形を完全にニュートラルにする、と
年齢も性別も分からないようにする

左右対称にすると、性別がなくなります
で、綺麗な顔立ちというのは左右対称なんです
ジャニーズの子っていうのは、男にも女にもなれます

女装しても凄く綺麗です

で、人間というのはね、誰しもが人間の姿形を受け入れられるわけではないんです
認知症に入りかけた方というのは、アンドロイドとは喋らないです正直言って
人間とも喋らないです

でも、このテレノイドという姿形を削ぎ落としたニュートラルな姿形にしたロボットだと、幾らでも喋るんです


これがそのテレノイドだ
テレノイドは最低限の見かけと動きしか備えていない
試行錯誤の末、顔の中心だけがリアルで、
外側に向かってだんだんとぼやけていくデザインになっている


テレノイドは通話の為に使うロボットである
遠隔操作で自分の声と顔の動きを相手に届ける
少女は不気味なテレノイドで母親とコミュニケーションできるのか?
結果は、少女はテレノイドを母親と思い込み、キスをした


とにかく人には見えるけれども、年齢とか性別は分からないニュートラルなデザインにしてやると、足りないわけですね
個性が全くない人間になるわけですね

その時は、足りない情報を全部想像で補完するんです
で、声だけは人間らしいんで、声から相手を想像して、その相手が目の前にいるようになる
声から相手を想像するときは全員ポジティブなんです

言ってる意味わかります?

コールセンターに電話して「コイツ不細工や」と思ったことないじゃん
必ずなんかちょっとかわいいかなとかちょっとハンサムかなと思うでしょ
人間ってそういう性質を持ってるわけです

足りない情報が全部ポジティブな想像で全部補完されるんです

で、デンマークでも日本でもどこでやっても同じような結果になるんです
<こうしつ?>の効果が高いんですね

想像力はロボットを人間にする


で、ここまでうまくいくんだったら、これをもっと簡単にしたくなるんですね
で、僕の答えはこれになるんですけど、これハグビーっていう抱き枕なんだけど

ロボットではなく、抱き枕
電話機を入れ、抱き締めながら会話すると、それだけで抱き枕が親密な相手になる

電話できる相手同士だったら、抱き締め合えるんです
分かってる?言うてること分かる?

電話できる相手だったら誰とでも抱き締め合えるんです
あの子と抱き締め合いたいと思ったらハグビーを贈って、ハグビーで電話すればいいんです

これはねポジティブな想像も引き出すんで、凄くうまくいきます

15分これ使って話してもらって、前後で血液検査唾液検査をして、体内のホルモンがどういう風に変化するか見てみると、コルチゾールっていうストレスホルモンが急激に、明らかに減ります
要するに凄いリラックス効果があるということです

で、小学生ですね、小学生
これ、小学生自分ら覚えてるかわかんないけど、小学校一年生っていうのは、小学校一年病っていうのがあるんです
それはね、幼稚園までは皆親御さんとか保母さんに丁寧に相手されてるのに、小学校になると急に集団生活になって、落ち着きがない

前の方では先生の話聞いてるけど、後ろは全然聞いてない

全員にハグビーを渡してそっから先生の声が聞こえるようにすると、こんな感じになる


でもこれで成績もあがるんです
例えばね、精神的な障害を持ってる子どもの学校にこれ持っていくと、本当にちゃんと記憶力上がったりするっていうのは証明されてるんです


で、結論から言うと、ハグビーっていうのは抱き枕なんで、声は聞こえるよね、触感はあるよね、二つのモダリティというか、二つの表現手段で二つの方法で、人間らしいものが表現されてると、急に僕らはそこに存在感を感じるということなんです

2つの知覚があれば存在を感じる


どの組み合わせでもいいんです
味覚と触感でも、臭いと触感でもいいですね
その人の使ってる香水を抱き枕につけるだけでその人を抱いてる気分になるみたいなそんな感じですよね

完全に証明するにはまだまだ時間かかります
けれども人の存在を認識する原理としては凄く面白い仮説になってるかなと思います

だから、君らがもしも出会いに飢えてるとすれば、今なんかね、皆あんまり彼氏彼女を作らないといいますけど、相当強烈に彼氏彼女が簡単にできてしまうということですね


どこまでも掘り下げる人間探究
石黒は遂に自分が亡き後の遥か未来に思いを馳せる


1000年後の人間


いよいよ講義はラストメッセージだ

1000年後の未来、人間はどのように進化するのかということですね
1000年後ですから、あんまり我々は関係ないかと思うかもしれないですけど、実はそうでもないですね

で、人間における進化の方法は二つあるんですけどわかります?

ま、答えは、遺伝子と技術ですね
我々は一応体は生物なんで、遺伝子によって進化するわけなんだけど、一方で技術によって加速的に能力を高めてるわけですね

で、技術による進化というのは、遺伝子による進化よりも遥かに速度が速いわけですね
で、人間というのは技術を使う猿というか動物やということですね

この定義は明らかでしょ
人間から技術とか道具を奪ったらただの猿になっちゃって、だから僕はね、そもそもロボットと人間ってどこが違いますか?って聞かれたら、大体同じです、というのが僕の答えなんですね

で、少なくとも今の君達の活動、我々の活動を考えれば、ビルの中にいて服を着て、眼鏡かけてパソコン使って、周りは人工物だらけで、東京都内で自然な所って一ミリもないじゃないかと思う

だから我々の活動はほぼほぼ技術に支えられていて、丸々生身でやってることなんてちょっとしかないわけですね、
乱暴にいうと、9割くらい技術で、10%くらい動物的な部分かなと、
まぁそんなに根拠はないんだけど、なんとなくそんな感じがするわけです

で、少なくとも人間の定義において、生身というのは必要がないような気がします

例えば人工の手足を使っていても100%人間じゃないですか
パラリンピックの選手は80%人間ですか70%人間ですかって聞かれたときにどう答えます?どう考えても100%人間で、時に健常者よりもすごい運動能力を発揮して、普通の人間よりも恰好良かったりするわけですよね
120%くらい人間なんじゃないかと思ったりします


多分みんな同意してくれるよな
それはどういうことかというと、生身の身体は人間の定義の要件にもないということです


で、人間というのは技術を使う動物やということですね
ここは凄く重要で、で、この技術開発というのは止まることがないわけです

技術開発によって我々はどんどん能力を拡張していくわけですよね

でもどっかに最後の砦みたいなものがありそうだと
で、それはよく言われるのは脳だって言われるわけですね

脳をコンピュータに置き換えられるかどうか
で、1000年先のことだからよく分からないんだけど、人間の方が勝てるような気がしない

で、こういう話をすると、シンギュラリティっていう話題が思い出されるんですけど、シンギュラリティというのはそもそも技術の変革点っていう意味で、今までは年に応じて技術は比例して進歩してきたんだけど、あるところから指数関数的に爆発的に技術が進歩するんだと

で、その根拠は何かというと、例えばコンピュータがコンピュータを作り出して、人間を置き去りにして加速的に進歩するからだということですね

で、ムーアの法則っておいうのがあります
ムーアの法則っていうのはインテルの創業者のムーアが、18か月で2倍コンピュータは性能を向上させるっていうことを言ったんですね

僕らもその内頭打ちになるだろうと思ってたら、ならない
今でも、まぁ1年に2倍くらいのコンピュータの性能向上は進んできてるわけですね
で、1年で2倍って言うと、10年経つと1000倍違うくなっちゃうわけですね、10数年でね

で、今コンピュータどれくらい速いかっていうと、ゲームは全てコンピュータが勝ちます
チェスであろうが、囲碁であろうが、株の取引きなんてコンピュータなしではありえないです

給与の計算とか、定義された仕事において、人間がコンピュータに勝てるものなんてないっていうくらいコンピュータ今、凄いですね

そんなのがですね、人間の脳より劣るわけがないですよね

まぁだからあの、人間の脳レベルのものは遅くとも100年以内には作れるはずだと思うわけね

で、作ったら置き換えは可能な可能性が出てくるわけです
そうすると何が起こるかっていうと、人間ただの技術の結晶になっちゃう、まぁ謂わばロボットになるということですね
機械になるということですね


更なる人間の進化とはその体を機械化することである


まぁ最終的に人間どこに向かおうとしているかというと、人類は無機物から生まれて、無機物に戻ろうとしてるような気がするわけです

地球の歴史を考えると、地球は誕生した時は無機物しかなかったわけやね
それが、まあ偶発的に有機物が誕生してですね、その有機物の最終進化の形態として人間があるわけでしょ

その人間は、今の君達見たら分かるように9割は機械化が終わってるわけだ
もの凄い技術に支えられた生活をしてるわけで
要するに有機物だけで生活してないわけですね

で、後ほんの少しで機械化が終わってしまうというか完全に無機物化してしまう可能性があるわけですね

で、有機物がこの世に生まれたことの意味、人間がこの世に生まれたことの意味を考えれば、ロボットになろうとしているような気がしてしょうがないわけです


人間はロボットになる

有機物が存在した意味というのは、複雑な分子構造を持つ有機物は環境適応性が非常に高いんだけども
その複雑な構造は壊れやすくて永遠に維持できないので、大体蛋白質でできてると120年がまぁ限界ですよね


120年が限界だと何が起こるかわかります?
太陽に多少の異変が起こったり、地球の温暖化が急に進むと、有機物の身体って消滅してしまうんですよ

我々生物っていうのは、単純に生き残りゲームを戦ってるわけだから、環境変動に適応できなければ消えるだけですよね

だから、人間という有機物の身体は物質の進化、知能化を加速させる為の手段であって、我々はもう一度無機物に戻ろうとしてるんじゃないかと

で、そう考えるとですね、我々が凄くロボットに興味をもって、ロボットを通して人間を知るというのは、根本的な意味はここにあるような気がしてしょうがないわけです

有機物がこの世に存在したことの意味とか、人間がこの世に存在したことの意味を考えると、我々はそもそも無機物の知的生命体になろうとしてる、そういう使命を以て生きてきたから、これほどまでに技術とかロボットに興味を持ってるんじゃないのかと、いう風に思ったりするわけです

これはもう答えはでないし、出口がないので、しんどくなるかもしれないですけど、ただまぁこの世に人間が存在したことの意味から、もう一度ロボットの研究の面白さを考えてもらえると、いいかなと思います

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