スモイン

手紙、日記、小説、エッセイ、会議の議事録など、書けるものはなんでも好きです。ここではエ…

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手紙、日記、小説、エッセイ、会議の議事録など、書けるものはなんでも好きです。ここではエッセイを中心に書いていきたいと思います。

最近の記事

今日でおしまい

昨年の5/15から始めた「5がつく日に1,000字でエッセイを書く」が、今日でちょうど1年になる。あっという間の1年だったが、最近は忙しすぎるせいか、加齢のせいか、文章がうまく書けず、ただノルマを果たしている状態だった。 なので、1年を区切りに、このエッセイは今日でおしまいにしようと思う。読んでくださった方、「スキ」してくださった方、本当にありがとうございました! 最後に書こうと思うのは、両親のことだ。 先日、久しぶりに両親のお墓参りに行ってきた。私の父は38年前に、母は

    • 「チップス先生、さようなら」

      先日、「チップス先生、さようなら」を見た。すばらしい映画だった。 この映画は、イギリスのパブリックスクールの厳格で堅物の古典教師チッピングが、若い女性キャサリンと出会い結婚することで人間的に変わっていくさまを描いた映画である。原作は1934年にジェームズ・ヒルトンが発表した小説『Goodbye, Mr. Chips』で、1939年に初めて映画化されている。私が見たのは1969年のリメイク版で、こちらではキャサリンの職業が家庭教師から舞台女優に変わっていたり、背景にある戦争も

      • ひとりごとを言う人は

        あなたの周りに、ひとりごとを言う人はいませんか? 私にはいます。夫です。夫はテレビを見ていると、かなりの頻度でひとりごとを言っています。ニュースを見ながら文句を言ったり、自分がこれからやろうとしていることもいちいち口に出します。「〇〇やって、△△やって……」という調子で、掃除の手順などを言うことが多いので、それは掃除をしない私へのあてつけ?と気になりますが、聞いてみると、どうもそうではないらしく、心の中で思ったことをただ口に出しているだけのようです。 そんなわけで最近は夫

        • 3/31と4/1のあいだ

          毎年のことだが、3/31から4/1に移るときというのは、緊張感が伴う。 私の脳内カレンダーでは3/31が最後の日となり、ここでいったんプツッと終わるのだ。そして、4/1を初日にした別の新しいカレンダーが始まる。 12/31から1/1に移りかわるときも、もちろん緊張する。さあ、新しい年が始まるぞ、と毎年新鮮な気持ちになる。このとき、家のカレンダーはすべて新しいカレンダーに付け替えるが、なぜか脳内カレンダーでは12/31と1/1はくっついている気がする。〇〇年が終わって「〇〇+

        今日でおしまい

          すぐとなりにある命の危機

          先日の朝、夫を駅まで車で送っていく途中のことだった。もうすぐ駅に着くというとき、フロントガラス越しに見える景色が二重三重にダブり始めた。それと同時に体の組織もおかしくなった。貧血のときのように体がふわっとして自分の体ではないような感覚になったのだ。 「なんか、へん。物がダブって見える。体もへんだ」 私がそんなことを言い出したので、助手席にすわっていた夫が慌て出した。運転し続けるのはヤバそうだったので、なんとか駅のロータリーまで行って車を停めた。 本来なら夫はそこで車を降り

          すぐとなりにある命の危機

          石の上にも三年

          「石の上にも三年」とは「石の上にじっと3年も座っていれば石も暖まる」ということから、どんなに辛くても辛抱していればやがて良いことがある、という意味だそうだ。 この諺を思いだしたのは、最近ようやくコロナが収束しそうな気配になり、ああ、ちょうど3年経ったんだ、と気づいたからだった。 2020年の初めに始まったコロナ禍は、当初、重症になったらすぐに死んでしまうという恐怖心を私たちの脳に植え付けた。不要不急の外出を極力控え、外出するときは必ずマスクを着用し、3密を避けねばならなくな

          石の上にも三年

          スランプ脱出!

          2か月ほど前、突然、何も書けなくなった。理由は、昨年応募した2つの児童小説が両方とも落選したことだ。どちらも一次選考さえ通らなかった。 今までも数えきれないくらい落選しているが、昨年出した作品はどちらも同人誌の合評会ではかなり好評で、自分でもちょっと自信があったのだ。だから、その分、ショックが大きかった。私なんか何を書いてもダメに決まってる、という負の感情に押しつぶされそうになってしまった。それまで書き続けてきた疲れもドッと出てきて、今回はなかなか這い上がることができなかっ

          スランプ脱出!

          占いとウラハラ

          占いが好きだ。 よく見るのはテレビの「めざまし占い」で、いいことを言われたら一日中気分がいいし、悪いことを言われたらその日は慎重に過ごす。良くも悪くもない日は見た直後に内容を忘れる。毎日見たくなるのは「運勢がいい」と言われたときの浮き立つ気分を味わいたいからかもしれない。 めざまし占いで「今日は絶好調!」と言われて本当に絶好調だったことなどないのだが、一度だけ「当たった!」と思ったことがある。長男が一浪したあとの大学の受験日だった。星占いで「今日は今までの努力が実る日」と

          占いとウラハラ

          旅のスパイス

          先日、夫と沖縄に行ってきた。 せっかく沖縄に行くなら、那覇在住の先輩作家Aさんに会いに行こうと思った。Aさんとは数年前にお互いの知人を介して知り合い、私が本を送るたびに丁寧な感想を返してくれたりして交流が続いていた。Aさんは執筆の傍ら、ご主人がやっている飲食店を手伝っているという。お店で食事をしながらAさんとおしゃべりできたらいいなと胸を弾ませた。 問題は連絡手段だった。Aさんは携帯のメールしかやっておらず、その迷惑メールの受信設定の関係か、私のPCメールもGmailもは

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          孫S子の幸せ

          私の孫S子(5才)の話である。 S子は誰とでも仲よく遊び、大人顔負けの気配りができる子だ。特に、自分より弱い人に優しいところがS子の長所だと私は思っている。 S子は遠方に住む従姉のH子(7才)にも、会えば人懐っこい笑顔で積極的に話しかけ、遊びの提案をする。H子にとってはS子のやること全部が魅力的に映るらしく、年上のH子が年下のS子の真似をする。S子はまるで「小さなインフルエンサー」のようだ。 そんなS子の特筆すべき能力とは「表現力」にほかならない。2才のとき、「怖い顔し

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          片付けの極意と「古着買い取ります」電話への絶好の断り文句

          家事の中で最も苦手なのが掃除と片付けだ。 しかし、そんな私も、断捨離を進めている今、家がだいぶすっきりしてきた。いったんきれいになった部屋は散らかすと目立つので、散らかさない努力もするようになってきた。すごい進歩である。 そこで、私なりに「片付けの極意」をまとめると、次のようになる。 ① 物を使った後は必ず元の場所に戻す。 ② 物を重ねるとき、小さいものの上に大きいものを載せない(探し物の時間を無駄に増やさないため)。 ③ 物を買うときは置き場所を考えてから買う(場所を取る

          片付けの極意と「古着買い取ります」電話への絶好の断り文句

          人生待つのが仕事

          創作のことばかり考えている私が、一年365日のうちで「やったー」と思える日は2,3日あるかどうかだ。あとの360日余りは、書いているか、読んでいるか、(公募の結果や原稿を預けた編集者からの返事を)待っているかのどれかである。いや、書いているときも読んでいるときも、常に心の奥底では結果や返事を待っているような気がする。 それで気づいたのだが、私たち人間は(創作者でなくても)いつも何かを待っているのではないだろうか。具体的に、知っている誰かや予定されているイベントを待っているこ

          人生待つのが仕事

          二度と会いたくない看護師

          昨年末、5回目のコロナワクチンを打ってもらうため、近所に開業したばかりのクリニックを初めて訪れた。 医師の問診が終わり、指示された小部屋に入ると、中に二人の看護師がいた。ひとりは左側の机の前に座り、もうひとりは扉の正面に立っている。受診者用の丸椅子は机の横にある。私は座っている人が注射を打つものと思い、左側に向けて、左腕の服の袖をまくり始めた。 すると、立っている看護師が言った。 「左腕にするなら、扉のほうを向いてください」 「え?」 扉は私の背中側だ。なぜ、うしろを向か

          二度と会いたくない看護師

          大人になると時間が速く進むのは

          今年もあっという間に一年が過ぎたような気がする。 年々、時間の経過が速くなっているように感じるが、それはなぜだろうか? NHKの「チコちゃんに叱られる!」では、その理由を「大人になると、ときめきがなくなるから」と言っていた。 子どものときは初めてのことが多く、そのたびに感動があるから、時間の経過がゆっくりに感じられるが、大人になると、新たな感動が少ないため、時間が速く過ぎていくように感じられるのだという。 でも、それって本当だろうか? 私自身の子ども時代を思い起こすと、

          大人になると時間が速く進むのは

          ねがいごとをもつことは 途中まで行ったのとおなじこと

          これは、絵本研究者の正置友子さんがご著書『絵本の散歩道⑤ 絵本があって 花があって』(1994年創元社)にサインとともに書いてくれたことばだ。 正置さんは1970年代から90年代まで大阪のタウン誌「千里タイムズ」にエッセイ「絵本の散歩道」を書いていた。それをまとめたのが「絵本の散歩道」シリーズ全5巻である。 その頃、大阪に住んでいた私はこのエッセイが大好きで、毎週「千里タイムズ」が届くのを楽しみにしていた。あるとき、私が通っていた「絵本の会」に正置さんがゲストで来ることが

          ねがいごとをもつことは 途中まで行ったのとおなじこと

          ことばのマジック

          最近、友人と会って話したり、メールのやりとりをしていて気づいたことがある。みんなそれぞれ違った能力がある人たちなので、私は「すごいねー」を連発してしまうのだが、意外にも彼女たちは私の「すごいねー」に、ものすごく喜んでくれるのだ。 きっとみんな謙虚だからなのだろうと思うが、もしかしたら、彼女たちは日々頑張っていても、誰かに褒められることがあまりないのかもしれない。 みんな、もっと自信をもっていいんじゃない? と、根拠のない自信を持ち続けている私は強く思う。しかし、そんな私

          ことばのマジック