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変わり続けるクルーズ客船スパ業界、今と10年前を比べて

2013年11月末に初めて豪華客船に乗った。
クルーズ客船スパ業界で働き始めた時から10年が経った。
4年半ぶりにこの仕事に戻り、10年前と今を比べるといろいろなことが変わったなと感じる。

もちろん、変わらないこともある。
クルーとゲストの関係性だったり、クルー同士の絆だったり。
今までいろいろと情報発信をしてきたけれど、
更新しないといけないなと感じる情報がいくつもある。
今回のnoteは今と昔を比べながら、変わったこと、変わっていないことを紹介していこうと思う。

クルーズ客船スパ最大手の会社

私が所属する会社OneSpaWorld(以下OSW)。
今も昔もクルーズ客船スパの最大手の会社であり、業界におけるそのシェアは、現在独壇場と言える。
2013年から2019年までの間、私がクルーズ客船スパで働き続けていた時は、他にも豪華客船にスパを入れている会社があったが、
2023年現在は、クルーズ会社独自でスパスタッフを採用している会社以外は、すべてOSWがクルーズ会社と提携しスパスタッフを派遣している。

2017年の時点で言えば、OSW社と別の会社と契約を結び、クルーズ客船スパで鍼灸師として働く選択肢があったのだが、今現在は、OSW社以外の選択肢がないのが現状だ。

他の会社が生き残れなかったのは、おそらく資金面で太刀打ちが出来なかったのであろうと私は予想している。
どの業界でも大企業がシェアをどんどん奪っていくという現実があり、
特殊なクルーズ客船スパ業界は特にそれが顕著だったと言える。

これには良い面も悪い面もあるとは思うが、
働く側からすると、乗れるクルーズ客船の選択肢が増えたというメリットがある。
セレブリティクルーズ、オセアニアクルーズ、セブンシーズクルーズなんかは、以前は別会社と契約をしていたが、今ではOSW社と契約をしている。

2018年の時点でOSW社と契約していなかったけど、
現在はOSW社と契約しているクルーズ会社はかなり増えた印象だ。
その結果、鍼灸師の乗っている船の数も以前に比べて1.5倍ほど増えたと思われる。

私が初めて船に乗った当時、鍼灸師の乗っている船の数は、たしか90隻前後であった。現在は、少なく見積もっても150隻は超えている。(全数把握をするすべがないので、各クルーズ社の船数から概算した数値であることを断っておく)

基本的にはOSW社と契約を結ぶことでしか、日本人鍼灸師が豪華客船で働く道はないと考えてもらうのが良いだろう。
あとは、ピースボートで最近鍼灸師のポジションが新たに作られたので、
狭き門をくぐってコネを頼りにそちらに行く道だったり、
OSW社と契約していないクルーズ客船で未だ鍼灸師が乗っていない船に自分から売り込みに行く道もなくはないのだろうと思う。日本船籍の飛鳥クルーズとか。
限りなく可能性は低いだろうとは思うが、日本の船会社へのアプローチは可能性としては残されている道ではある。


鍼灸師の船での生活

クルーズ客船の中で、鍼灸師はオフィサー(ランクが上のポジションの人の総称)である。というのが10年前はスタンダードだった。
2013年当時でも、カーニバルクルーズなど、一部の船はオフィサーではなく、他のスパセラピストと同様にスタッフ扱いで、部屋は相部屋、食堂は一般のクルーと同じというクルーズ会社もあるにはあったが、
大抵の船では、鍼灸師はオフィサーで、部屋は個室がもらえて、食事はオフィサー用の食堂(食事内容もクルー用の食堂より良い)でご飯を食べることが出来て、
その他、オフィサーの特権を使うことが出来ていた。

しかしながら、最近は、オフィサー用の食堂を廃止するクルーズ会社が出てきたり、鍼灸師をオフィサーから外すクルーズ会社も増えて来たようである。
そのため、食事が一般クルーと同じものとなったり、
部屋が相部屋になり個室がもらえない鍼灸師も少なくないようである。

特に乗客数が小さい船やクルーズ費用が安いコマーシャル船にそういった傾向があるようだ。

鍼灸師は恵まれていて、他のクルーよりも良い生活が船で待っているということを発信していたけれど、最近はそうではないクルーズ客船も増えてきているようである。

もちろん、中には昔も今も変わらず鍼灸師がオフィサーで、好待遇なクルーズ会社もある。
なので、どの船に乗るかで変わり得るものだと捉えておいてもらうのが良いだろう。

給料に関して

売上に対する給料の割合は、今も昔もほとんど変わっていない。
治療費の売上に対する自分の給与の割合、物販に対する自分の給与の割合。
どのクルーズ会社の船に乗るかで1~2%ほどの誤差はあれど、大差はないと言える。

しかしながら、どこの国の会社の船かによって、船内で使用される通貨が変わる。
アメリカであれば、USドルであるし、
イギリスであれば、ポンドで、
オーストラリアであれば、AUSドル、
フランスであれば、ユーロだと聞いている。

そして、船毎に1回の鍼治療費が決められており、
どの船も同じ額ではない。

私が現在乗っている船は、199USドルだが、
別の船だと、179USドルだったり、129ポンドだったり、219AUSドルだったりする。

私が働き始めた2013年11月時点では、150USドルだったので、
この10年間で49USドル値上げしたと言える。

また、10年前にはなかったもので、通常の鍼治療に対して、
カッピング39USドル、E-Stim(鍼通電)29USドル、LightStime(LEDセラピー)49USドル、美容鍼39USドルを追加することが出来るようになった。

つまり、客単価が以前に比べて100USドル近く上げれるようになったと言える。

豪華客船鍼灸師の月間売上額が、ここ数年で年々上がり続けているのは、
そういった追加要素が加わったからだと言える。
そのため、売上に対する給与の割合は変わっていないが、
鍼灸師の給料の自体は以前より中央値が上がったと言える。

トップだけ見れば、3倍~4倍ほど上がっている。


働く鍼灸師の出身国の割合

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