見出し画像

家を買うことにしたら心が病んだ

私は少し前に自分が幸せになれたんだと思った。でもなぜか日々過ごしていると、また欲が出てきて、少し前まで幸せだと思っていたことが足りなくなってきて、もっと、もっと、という風になってきてしまった。ここ数日それに疲れて、TwitterなどすべてのSNSをシャットダウンしたところだ。

きっかけは家買う問題

オランダに家がほしいとずっと思っていたが、自分だけの給料では買えないほどオランダの家は高い。しかも昨今のパンデミックでたくさんの人が家を買い求めているため、住宅価格は高騰し、競争が激化している。私は幸いパートナーがいて、その人と一緒に家を買うことになった。

実はそのパートナーは自由な人間なので、オランダに家など買うつもりはないだろうと勝手に思っていたら、会社で永久雇用になった途端、家を買おうと言い出したのだ。私は嬉しかった。私も家が欲しかったし、自分の好きな人と住む家を買えるのは本当に嬉しい。

ただ、上にも書いたとおり、住宅競争は加熱している。オランダの家探しは全てfundaという住宅サイトで探すのだが、今日投稿されたものをその日中に不動産会社に連絡しても、内見の予約がいっぱいだと言われる。

オランダの住宅価格は、vanafprijsといって、最低希望価格が表示されており、その家を買いたい人がそれより高い価格で入札し、一番高い金額の人が買えるしくみになっている。

やっと内見の予約が取れても、日にち指定はできない。内見を楽しみにしていると不動産会社から電話がきてすでに内見した人が入札した価格で売り手が納得しているので君たちの内見はキャンセルで、と言われたこともある。

入札価格は、大体50,000ユーロは上乗せしなくてはいけない。例えば家の価格が400,000ユーロの場合は、450,000ユーロ以上入札しないとまず勝てない。そして、450,000ユーロで入札したところで、現金で470,000ユーロで買うと言ってくる人が出てくる。そしたらその人たちの勝ちだ。すでに家を持っていてその家を売却したお金で新しい家を買う場合、手元に多大なキャッシュがあり、それを伝えると売り手はキャッシュを持っている人に売りたいと思うのだ。ローンで払えるかどうかわからない人間より、キャッシュでガツンと払ってくれる人のほうを好むのはわかる。しかし、そうすると今まで家を買ったことのないファーストタイムバイヤーは余計不利である。

そんなことを繰り返していると、もう住宅サイトを見るのも疲れてくる。そして、家を借りるためのローンの計算や、銀行とのミーティングなども繰り返して、二人の給料を合わせた金額で借りれるお金の上限を知る。上限を知ったところで、MAXの金額を借りるつもりはない。MAX借りたら月々のローンで生活が苦しくなるからだ。ではいくらなら毎月の生活に余裕を持って家を持てるのか、などなど、とにかく計算に計算を重ねて、話し合いに話し合いを重ねていく。

もう疲れた。

彼氏は私よりも稼いでいるため、共同名義で家を買ったとしても、ローンの支払いは半分ずつにはならない。自分の稼ぎが少なくて申し訳なくなってくる。彼氏の稼いだお金は彼氏のものなのに、私の稼ぎが少ないせいで半々にできない。

でも本当はね、私は今の仕事が好きなんだ。コロナ禍で前職をクビになって、地獄の就活を経て得た仕事はとてもリラックスしながら働ける環境で、私は幸せに働いている。給料は安いが、定時には帰れるし、今は家から働いているし、よりリラックスできている。そして人がいい。職場の立地もいい。給料が安い以外には特に不満はなく幸せなのだ。

なのに、家探しをしていると家の価格が高い、競争率が高い、となると結局お金がある人が優先で家を買えることになるので、お金をあまり稼いでいない自分に失望するのである。私がもっと稼いでいれば・・・と何度も何度も思う。そして、今の仕事を辞めて、もっと高い給料がもらえる仕事に移ったほうがいいのではないかとまで思っている。

そう、人と競争しているしているから疲れるのだ。

SNSを辞めた理由は、私は在外日本人とたくさん繋がっているのだが、彼らは私が求めているような大きな家を持っていたり、自分が働かなくても旦那さんのお給料だけですごくいい家に住めていたり、給料の多くてすごくスキルのある仕事をしていたり、すごくたくさんの貯金をしているだとか、投資がうまくいってお金が増えているだとか、もう、本当に、羨ましい生活をしている人がわんさかいるのを知ってしまうからである。

そうすると、また人と比べて、どうして私は大きな家が買えないんだろうとか、どうして私は働かないといけないんだろうとか、どうして私は少ない給料で働いているんだろうとか、どうしてこの年で貯金が少ないんだろうとか、投資もそんなに増えてないんだろう、とか、自分のことを見ていやになってくるのである。

ばかばかしいな。

人と比べたってなんの意味もない。だからSNSを休止した。今は日々家を探して、自分たちに合った家が見つかるのを期待して、日々こつこつ住宅サイトを検索するのみ。話し合いも後々揉めないために、必要なことだ。

私は海外で仕事をしているだけで偉いし、共同名義でたとえ半分半分でなくても買えるだけ偉い。そう思って過ごしていくのだ。

この住宅購入の競争から早く抜け出して、楽になりたいものだ。

いただいたサポートはオランダの経済を回すために使います。