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年収300万が5年で300万貯金できた理由を考察したら、しょうもない投資本のおかげかもしれないって話

要約

  • 年収300万円は一般人やマスコミからも関心が高いことがデータから読み取れるが、リアルな具体例って実はあまり見当たらない。だから5年分の家計簿を紐解いて公開するのって誰かの役に立つでしょ!

  • 実際紐解いてみたら、支出が見事に右肩下がりだった。

  • 支出が減った理由を考察した結果、以下の二つが考えられた。

    • 家計簿をつけたことで金銭感覚が身についた。

    • 投資を始めたことで自然と支出を抑えるようになった。


1.年収300万円の実態、探してもあまり具体的なのがない

 就職して一人暮らしを始めて以来、コツコツと貯金をしてきました。結果、一人暮らしから4年10か月で貯金300万円を達成しました。なお、有価証券の評価益を含めれば400万円に達します。

 そろそろ転職するので赤裸々に書いてしまいますが、源泉徴収票から計算すると、2019年4月~2023年12月の57か月(4年9か月)でもらった給料は1400万円でした。一年あたりで計算すれば296万円なので、ほぼ年収300万円です。

 「年収300万円」はどんなイメージでしょうか。人それぞれだと思いますが、よくメディアでネタにされるあたり、一定の壁だと見られていそうです。例えば、個人的に大好きなプレジデントオンラインを2分くらい調べるだけで、喜怒哀楽さまざまな記事が見当たります。

 プレジデントオンラインに限らない話でもあるようです。例えば、Googleで検索ワードを「"年収■00万円"」にし、さらに直近1年の期間指定を添えて検索すると、年収200万円と300万円の間に壁があることが分かります。

Google検索の結果から筆者作成

 また、厚生労働省による「2022(令和4)年 国民生活基礎調査の概況」内の「Ⅱ 各種世帯の所得等の状況」「2 所得の分布状況」を確認すると、最頻値は200-300万円で、次いで高いのが100-200万円、300-400万円です。こうして見ると、年収300万円が壁であることがよくわかります。なお、中央値は423万円、平均値が545.7万円ですから、年収400~600万円でもヒット数が多いのはそこに起因しそうです。

引用:https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa22/dl/03.pdf

 出版業界もそれを分かっているのか、年収300万円にリーチした出版物が際立って多いです。

出版書誌データベースの検索結果から筆者作成

 ただ、意外なことにその年収300万円でどうやりくりして貯金するかといった話があまり見られません。軽く検索した限りだと、アンケート回答を紹介しているものか、あるいはモデルケースだけ紹介したものしか見当たりませんでした。

死ぬほど楽観的なモデルケースの例
(引用:https://ten-navi.com/hacks/article-687-55459  )

 また、単身世帯では過半数が貯金200万円未満の人で半数を占めています。

引用:オカネコマガジンが作成した、「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査] 令和3年調査結果」が基であるグラフ。
なお、「金融資産」と書かれると有価証券のみに見えて紛らわしいが、「あなたが、現在保有している金融商品(外貨建金融商品を含めます)について、その番号に○印をつけてください」という設問の中に「預貯金(ゆうちょ銀行の貯金を含む)」があるので、単純に保有する全財産と読み替えてよいはず。

 そんなわけで、年収300万円の独身一人暮らし成人男性が5年弱で300万円貯められるまでを、5年分の家計簿データと共に振り返り、その要因を考察することは、きっと似たような境遇の人たちに役立つと思いました。

2.筆者のプロフィール

  • 大学まで東京都で実家暮らし→就職後に愛知県で一人暮らし。

  • 食事はほとんどが自炊で、外食の頻度は月1回以下。

  • 趣味は料理、お菓子作り、読書、ネット麻雀。

  • 家賃は5万弱のところ、会社の福利厚生によって負担額が減額されて約2.5万円。

  • 会社の飲み会はほとんど発生せず、平均で年1~2回。

  • 大学では第一種奨学金を利用→就職半年後に返済開始(月13,000円程度)。

  • 途中までは銀行に貯金していたものの、2021年6月から投資に手を染めた。そこから現在まで、全財産の9割を有価証券にしている。

3.年次別の家計簿チェック

 ここでは家計簿のデータをもとに、2019~2023年の収支と、年ごとの支出の詳細をまとめ、そこから分かったことを書きます。

【3.項全体の注意点】

  • 投資の費用や評価益は一切計算に含めていない。

  • 2019年4月から一人暮らし&就職したため、2019年3月までのデータは存在しない。

3-1.年別の収支

【このグラフの注意点】

  • 税金は収入・支出から除外している。したがって、収入額は手取り。

  • 給与は右肩上がりだが、臨時収入の都合で上下している。


3-2.支出の詳細

【このグラフと表の注意点】

  • グラフ上で、寒色は生活に必要なもの、暖色は不用品(贅沢品)という括りで色分けしている。

  • 「生活用具」は、消耗品、日用品、家具、家電などが含まれる。

  • 「勉強」は書籍、関連するオンラインサブスク(英語添削サービス、eラーニングなど)、資格受験料が含まれる。

  • 「その他」は交際費などの生活に必要かつ突発的出費をまとめた項目。贅沢品についてはその他に含まれず、3項目(趣味、漫画/同人、嗜好品)に入っている。

3-3.収支バランスと支出の内訳が示すこと

  • 2019年は収支+21万円/年(9か月分のデータなので2.3万円/月)だったが、漸増して2023年に+85万円/年(7万円/月)となった。

  • 収入は大幅に上下していないので、収支が漸増した理由は支出が漸減したことによる。

  • 不用品への出費は、2020年は50万円だったが、2021年には24万円、2023年には14万円となった。なお、趣味が2022年まで常に約10万円以上あったものが、2023年で1.3万円へ激減しているが、これは高額なガジェットを買う機会がなかったため。メンタル病んで趣味すらやる気が出なくなったからではない

  • 代わりに食費が増え、エンゲル係数は2020年には17%だったものが、2023年には25%になった。

 以上のことを考えると、貯金できた要因として、いかにして支出が減らせたかに注力したほうが良さそうです。現職は給料がぜんっぜん伸びないので最初から分かっていたことですが

4.貯金できた要因の考察 ―なぜ支出が減らせたか―

 では、支出が減らせたのか?これの要因としては、家計簿と投資の経験が大きいと考えています。その理由について、一つずつ見ていきます。

4-1.一人暮らしで家計簿をつけたことで金銭感覚が身に着いた

 大学までは実家暮らしで、家計を管理することはありませんでした。一人暮らしになってからが初めてです。

 大学生のときは、軽率に様々なものを買っていました。お菓子やジュースが最たる例です。当時は同人誌も大量に買っていました。一人暮らしを初めてしばらくは同様の生活をしていたのですが家計簿をつけていくと、そういった必需品でないものの購入がそのまま家計に響くことが自覚できました。すると、必然的に買うのを控えるようになりました。加えて、実家ではペットボトルのお茶を愛飲していたのも、ただの水道水を飲んだり、お茶を淹れることで対応するようになりました。

 また、一人暮らしを始めて以来、今でも自宅周辺にはスーパーしかないような場所に住んでいます。東京の実家にいた当時は、ネットカフェでダーツに打ち込み、夕飯は外食チェーン店を延々とハシゴするのが趣味でしたが、その環境がなくなりました。自宅周辺にスーパーだけがあったおかげで、必然的に興味が料理へ向かいます。その結果、一人暮らしを始めてから今現在までの約5年間はほぼ自炊で、外食するのは月1回未満です(1年半程度は昼食を社食で済ませていたことはありました)。

 なお、ほぼ自炊しているわりには食費がかさんでいます(月30,000~35,000円)。私は食事を全くケチらないので、ちゃんと量を食べますし、果物もどんどん買いますし、お菓子は既製品を買わない代わりに作ります。普通に外食しても、吉野家レベルで安くない限りは基本2000円前後になりますから、むしろ自炊だからこそこの金額で収まっているかもしれません。

 とはいえ、これだけでは2021年から支出が減って収支が爆伸びした理由がつきません。

4-2.投資を始めたことで、余剰金を投資に回すように心がけた

 では、2021年に何があったかというと、6月から株投資を始めました。

 2021年の5月あたりに、ふと投資に関する本を2つ読みました。一つはよく変な使われ方されるをせいでボロクソ言われがちな「金持ち父さん貧乏父さん」です。

地獄のようなサジェスト

 この本で、以下のことを学びました。投資においてはごくごく基本的な話です。

  • 現金として保有して漬けておくだけだとお金は増えない

  • 収入はもちろん支出も大事

  • お金に働かせる(投資する、人に行動させる)とお金を生み出すこともある

 ただ、この本は基本的に金持ち父さんを崇め、貧乏父さんをこき下ろし、自分が儲けたエピソードでドヤり倒すばかりだったので、あまり刺さりませんでした。多分そのおかげか、このときは実際に投資をしようと思っていませんでした。もちろん、不動産売買で儲けようとするほどの勇気もなかったです。あと、この本の文脈を悪用すると「金持ち父さん貧乏父さんの著者は勉強に金使えと言っている!今、君は金持ちになるために金を使うタイミングだ!さあ、この数十万の講座を受けよう!」と言って集金する人がいそうだなとも思いました。

 投資への興味が少し湧き始めた数週間後に、kindleunlimitedによってもう一冊の本に出合いました。それが「世界を見てきた投資のプロが新入社員にこっそり教えている驚くほどシンプルで一生使える投資の極意」という本です。

 おそらく、一部の人はタイトルと表紙で察することができると思いますが、かなりしょうもない本です。外資系のベテラン(書影左上の男性)が、新入社員(書影右上の女性)にノウハウを教えるというテイの本なので、中身が会話調です。こういった体裁をとるとただでさえページ数に対して内容が薄くなるのですが、会話の内容がしょうもなさすぎてイラついてくるレベルです

加藤 航介. 世界を見てきた投資のプロが新入社員にこっそり教えている驚くほどシンプルで一生使える投資の極意 (Kindle位置No.28). 東洋経済新報社. Kindle 版.


同No.833 ちなみにこの男性の口調はここに限らず常にルー大柴
同位置No.1248 文体が固めのおじさんLINE

 全体の8~9割ほどはこういったしょうもない会話が続くのですが、その道中では投資に対して全く無知だった自分にとって、また今の自分が振り返ってみてもなかなか鋭い指摘が入ります。

 とりわけ刺さったのは、以下の教えです。本文から引用したいところですが、そのまま引用してしまうとファニーなワードセンスがトゥギャザーしてるので、私なりに要約します。

 日本企業で働き、日本円で貯金しているということは、ポートフォリオは人的資産でも金融資産でも100%日本円。投資をしない選択は、むしろバランスが悪い。

 全体としてはしょうもない本でしたが、唐突に入る鋭い指摘により、実際に2021年6月に投資を始めることになりました。投資を始めるにあたって情報収集をしたことも、投資を始める後押しになりました。

  • (当時緩やかなデフレだった日本はともかく)世界は緩やかにインフレしているから、現金の価値は目減りするが投資しておけば物価に従って価値をキープできる。

  • 利回り5%程度だと約15年で2倍になるから、早くやったもの勝ち。S&P500あたりに投資していたら、30年で100円が3000円になっていた。(このあたりはあくまで歴史がそうだっただけで、今後もそうなる保証はないですけどね……)

 この投資をきっかけに、不用品に対する費用をさらに抑えるようにしました。2020年までは「有意義な時間を過ごせたのであれば、無料で享受できるコンテンツであろうと還元すべき」という思想がとても強く出ていたため、幅広い範囲に投げ銭をしていた時期でしたが、それも控えめにしました。

 また、投資をし始めてから貯金を一気に有価証券へを変え、目に見えて現金預金が少なくなり、ここ数年ほど預金口座に約10万円しかない状態が続いていました。それも、消費を抑えるきっかけになったと思っています。ただ、方向転換が極端すぎて預金口座に23円しかないこともあったので、最近はもうすこし余裕を持つようにしました。

 いずれにしても、余剰金を投資に回すという行動によって、自然と支出が抑えられたことも大きいと思っています。

5.まとめ

 というわけで、年収300万円成人男性が一人暮らしをしながら5年で300万円貯金できた理由を考察した結果、家計簿を記帳したことと、投資を始めたことによるものと推測しました。

 正直、家計簿のデータを蓄積した割にはあまり活用できていない感じがするので、分析不足感が否めません。ここについては、しばらく考えてもこれ以上の気づきが得られなかったので、塩漬けにする前に潔く公開してしまいました。こんなんでも参考になれば幸いです。

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