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アイちゃん(仮名)と私④ ◆アメブロからのお引越し記事◆

2019年1月11日~2023年11月末までのアメブロを閉鎖するにあたって、noteにいくつかの記事をお引越しすることにしました。
今回は2019年9月11日に書いた過去記事です。

この記事↓の続きです。

2月初旬、
アイちゃんのお焼香へ行って数日後。
お母さまから、香典返しが届いた。

一般的な香典返しのほか、
野菜や粉末スープ、レトルト食品などが
たくさん詰まった段ボール。

それはまさに、
『一人暮らしの娘に送るためのもの』で、
私の心はあたたかく、とても切なくなった。

その中に小さな白い封筒が入っていて、
なんだろうかと開けてみた。

アイちゃんがよく身につけていた
ペンダントだった。

それを手にした時の、
私の気持ち……というか、感覚。

ち が う な  。

とてもハッキリと、そう感じた。

一字一句、脳に刻まれるようだった。

そのことに私自身が、とても戸惑った。

「あの子のペンダントです。
 良ければ使ってやってください。」

というお母さまの手紙を読んだ後では、
そのご好意を無下にしているようで、
なおさら自分が怖かった。

違うってなに?

自分に聞いてみたけど、あのハッキリとした感覚が私に答えることはなかった。

でも、

私がこのペンダントを持っていることも、
彼女の代わりにこれを身につけることも、
なにかどうしても『違う』んだ。

それだけが分かった。

結局どうしたら良いか決められず、
いったんそのペンダントをただ仕舞っておくことにした。

***

そして、5月のアイちゃんの月命日。

この記事でも書いた、
私が関西に移住するキッカケになったツアーの参加メンバーで、彼女を偲ぶ会をした。

我が家にて、思い出の写真を
PCのスライドショーで映しながら。

この写真ではちょうど過去の私が映ってる 笑

お花を生けたり、
キャンドルをつけたり。

簡単にその場で調理したり、
持ち寄ったご飯を食べて、
アイちゃんの話をした。

一緒にあそこへ行ったよね。
楽しかったね。
あの時はちょっと困ったね。
今どんな感じでいるのかな……。

その流れで、
私はあのペンダントのことを2人に話した。

そしてペンダントを手渡すと、
その友だちは言った。

「うわぁ! アイちゃんやー!これ!」

それからしばらく、
何かを感じているように黙った。

不思議に思っていると、感覚の鋭い彼女は、
ゆっくりと言った。

「これ……。森に、還してあげたら。」

その言葉を聞いた瞬間、
またあの強い感覚がきた。

そ う だ 、 そ れ が い い ん だ 。

海でも山でもない、森というワードが
すごくしっくりと馴染んだ。

そして何より、私はその会の翌々週に、
屋久島に行くことになっていたから。

***

そして屋久島で、
ガイドさんにもこのことをお伝えしてみた。

友だちをこの1月に亡くしたこと、
お母さまからペンダントが送られてきたこと、私の違和感のこと、
ある友だちがこのペンダントを
「森に還したら」と言ってくれたこと、
そうしたいと思ったこと。

だからこのペンダントをどこか、
屋久杉のある森に埋めてあげたいと。

すると、そのガイドさんは言ってくれた。

「そうしてあげてください。
 このペンダントもきっと、
 森に連れて行ってくれる人のところに
 来たんじゃないですか。」

その言葉で、私のなかにほんの少しだけ残っていた罪悪感(お母さまのお気持ちを無下にすることになるかも)が消えていった。

お母さまのしたことが間違っていたというわけでは、もちろん全くない。

お母さまは、ただ私にこのペンダントを渡したかった。そして、それは叶ったんだ。

それから私がこのことをどう扱うか、
心にわだかまりなく決める瞬間がきた、
ということ。

だから、案内してもらったひときわ大きな
屋久杉の根元に、私はそのペンダントを
埋めることができた。

1月末に行ったお見舞いで、
渡すはずだったカーネリアンも一緒に。

ここでなにかひとつ、
自分のなかで終えることができた。

そう思えた。

***

今もたまに、アイちゃんのことを思い出す。

すると、最後にはあの大きな屋久杉の根元に
ある、ペンダントとカーネリアンを想うことができる。

だからこの一連の流れはきっと、
良かったことなんだと、そう思えるんだ。

***

アイちゃんと私の話を、ここまで読んでくださってありがとうございました。

ブログを通して何名かのお友だちから、
ご連絡もいただきました。

はじめは、なぜこの話を書きたいと思ったのか、書いていいものなのかも分かりませんでしたが、

きっと、私が彼女のことを言えずにいた、
いろいろな人にお知らせする時期だったのかなと思えました。

やっぱり、自分のなかで完結できないことのヒントは、人がくれますね。感謝します。

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