TOP Bakery No.4 ~マーケティング~

ガーナのパン屋の石本です。
前回の投稿では、日本式パンを諦めてガーナ式パンの生産を始めたものの非常に苦いスタートを切ったお話をさせて頂きました。
今回は、どん底からbreak evenに行くまでどの様に改善させて行ったのかをお話できればと思います。
パンの販売チャネルを決定する
ガーナのパンの販売ルートは大きく分けて二つあります。
一つはKIOSK・スーパーなどに売るか、もう一つは道端でパンを売っているベンダーのおばちゃん達に売るか、です。

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*ベンダーのおばちゃん達は何種類ものパンを売っています。
前者と後者では販売する顧客ターゲットが異なります。
前者は、KIOSKやスーパーの近所の人たちが朝ごはんとして購入しに来るケースが多く、KIOSKでは1セディ(約25円)ずつ切り売りしたりしています。
後者では、ガーナ第二の都市クマシから地方都市に帰る人たち、家族・友人・同僚などへのお土産としてパンを購入して行く人達がターゲットとなり、クマシで生産・販売されているパンの多く(恐らく6〜7割)はお土産として地方へ販売されていると思われます。
地方都市に友人・ホストファミリーがいる人は、アクラやクマシなどの大都市に行くときには、「お土産にパンを買ってきてね」と言われる経験をされている人が多いかと思います。なぜパンなのかは不明ですが、地方に行くときにはパンをお土産に持って行くと非常に喜ばれますので、是非お忘れなく。
以上の状況から、既存のパン屋とべったりなKIOSKを狙って行くよりも、よりマーケットの大きいストリート・ベンダーを狙って行く方が可能性が大きいと判断し、ストリート・ベンダーを中心に営業を仕掛けて行く事にしました。
ガーナ人がパンを購入するプロセスを観察する
営業対象をストリート・ベンダーと定めた後、今度はどの様にベンダー達がお客さん達にパンを販売し、お客さん達もパンを選んでいるのかを観察しました。
ストリート・ベンダーは、道端に机を出してその上にパンを山積みしている為、乗合バスが一時停車した際にお客さんバスの窓から売りつけるのが主流であり、ベンダーのおばちゃんにまずは選んでもらわない事にはお客さんの手元に届かないという事がわかりました。
また、自分の車で乗り付けて買って行くお客さんでは、お土産として購入して行く為、まずは①見た目(パッケージの可愛さ、大きさ)で選び、次に②持って重さを確認(重たいパンがいいパン)、そして③匂いを嗅ぎ(バター・ナツメグ・パイナップルなどの香りがしっかりついているものが良いパン)、④価格を確認(大体どのパンも同じ値段)して購入して行く事がわかりました。
つまり、まずは”見た目”が何よりも重要なんだ!と判断した私たちは、兎に角売れているパンのパッケージを徹底的に真似ることから始めました。当時、お土産としてのパンとして人気だったのは、ハートがプリントされたセロファン素材のラッピングをリボンで両サイド縛ったキャンディー型だったので、同じ柄・素材で、他社と見間違う様なパッケージにして販売を開始しました。

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他社製品と見間違う様なパッケージにした事で、他社製品と間違えて購入してくれる人たちも増え、順調に売上を伸ばして行った私たちは、次なる試練に直面する事になりました。
次回は、ちょっとした工夫とストリート・ベンダーとの戦いについて書きたいと思います。

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